暁短編
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汝、隣人を殺戮せよ
『なァおい、リリーもジャシン教に入信しろよ!』
『……ジャシン教なんて貴方から聞く前は全く聞いた事のない新興宗教ね』
静かな昼下がりは一瞬にして消え去る。暖かな陽気に禁書にでも手を出そうとこっこり持ち寄り読んでいたのだが、遠くからリリーを見つけた飛段がそれを邪魔してきた。もっぱら飛段は邪魔するつもりが無いらしいが構っては欲しそうだ。いつもなんだかんだ相手をしてくれている角都が今日は不在だったからだ。
『可愛い顔してっけどよー暁に入ってるって事は強いんだろォ?ホラ…あの水影暗殺にも関わってたって角都から聞いたぜ?不死身の身体を手に入れたくないのかよ』
「不死身ね、不死身と言ってもその代償はかなりあるはずでしょ?」
『まぁなー…ジャシン教のモットーが汝、隣人を殺戮せよだし、呪って殺した奴を儀式で捧げ続けなきゃならんてワケ。俺にとっちゃ最高の戒律だがな』
「……すごい矛盾してない?それ?だとすると貴方方ジャシン教信者は布教を続けてるけれど、信者同士は戒律によって殺した合ってたら信者が増えるどころか減る一方じゃない?」
飛段の話を聞き流すつもりだったが、そのジャシン教の面白い戒律に少し食いついてしまったのが悪かった。飛段はニヤリとして話を続ける。
『俺にも難し〜ことなんざ分からねェけど、俺は不死身を手に入れたわけだから関係ないの』
「まぁ随分物騒な宗教だこと。」
『まてまてまて!不死身他にもちゃ〜んといいことあるんだって!』
「何よ?」
『俺の死司憑血ってのは対人と体感がリンクするだろ?だから…』
飛段は嬉しそうにリリーの手を掴むと手のひらに指をススス…と動かした。
『気持ち良さもー2倍っつーの?ゲハ!』
「馬鹿、聞かなきゃ良かった!」
『おいおいおい!食いつくかと思ったのに…』
「貴方じゃ無いんだから!もうお話は終わり!じゃあね!」
『おい!ジャシン教の信者にしてやるからよォ!今に見てろよー!』
それから数日飛段がリリーに近寄っても必要最低限は無視をし、角都を通して注意させることで飛段は大人しくなったが突然身体に異変が起きた。リリーは明日のトビとの任務に備えて仮眠を取ろうと横になった時違和感を感じる。何かに触られているような感覚…そしてそれはどんどん強くなり身体が痺れていく…。
「絶対飛段だわ…でも、どうして?」
飛段の身体のリンクは相手の血が必要になる。血を入手しなければ………あぁ…そうか…
リリーは理解したと共にとてつもない飛段に対する嫌悪感を抱いた。ホントにやったとしたら最低だ…飛段を今すぐにでも止めるために立ち上がったが、腹部がムズムズして歩こうにも上手く歩けない。きっと私の身体とリンクしながら自慰行為をしている…!許せん…。
「っ!ホントにタダじゃおかないんだから…ぅう」
部屋を出て廊下をフラフラ壁伝いに歩いていると後ろから腕を掴まれた。振り返るとそこにはトビが立っている。
『こんな夜中にどうしたんスかー?なんだかリリーさんフラフラしてますけど!』
「大丈夫…大丈夫だから離して」
『全然大丈夫じゃないですよね?』
まずい。不覚にもトビに腕を掴まれただけなのに身体が一気に熱くなり顔に赤みが増した感じがした。
『あれれー?ちょっともしかして…部屋まで連れて行きましょうか?介抱しますよ?』
「いらない!ホントに離して…」
『でもリリーさんすごい熱いですよ?』
「ん…っ…大丈夫…あの、飛段見なかった?」
『…いや?見てないですけど』
トビに支えられながら会話するのがやっとだった。なぜならもうあと少しでリンク先の飛段がイきそうだったからだ。リンクしたリリーの身体は限界値まで達しそうだった。今すぐ1秒でも早くトビから離れたいがトビが心配すればするほど掴む腕が強くなるばかりだった。今の私の力では簡単に振りほどけそうにない、こうしている間にも限界は迫っていた。
「んあっ……あの、お願い…今すぐ耳塞いで目を閉じて…いいから」
『は…?はい』
「……っはぁ…あぁー…」
飛段の悪用術で絶頂に達し、酷く脱力した後に耳を塞いだトビに持たれ掛かった。しばらくしてトビは少しずつ手を離した。
『………リリーさん、おかずにしていいっスか?』
「…………飛段殺す!!!!!」
トビを振りほどき、少しの間普通の感覚を取り戻したリリーは急いで飛段を見つけるべく足を早めた。術中飛段はあの陣を出ることは出来ないはず…だいたい予想できる普段儀式によく使っていた場所に向かった。
『……やっぱり来てくれると思ったぜ子猫ちゃん!』
「今ここで死にたいわけ?」
『それを俺に言うかーっての、…どうよ?気持ちいいだろォ?』
「最低の気分よ!貴方経血を摂取したと言うなら許さないから…」
『バレちゃった?まあ、それが手っ取り早い方法なんだよ、生理の日はトビが教えてくれたしな!」
(……あいつ…!!!)
『それより物足りなくねェ?こっち来いって』
「水遁・爆水衝……『まてまてまて!!命が欲しくねェのか?!…俺はタダこっちに来て楽しもうって言ってるだけだろォ!』
「……!」
飛段は自分に刃物を向けてリリーに来るようにと命令した。
『俺は気持ちいいだけだから良いけどよ、その白い肌が血に染まるぜ?…そうそう、いい子じゃんかよ』
「……っ!貴方のことが大嫌いだわ」
『俺はずーっと好きだったぜ?無理矢理でも手に入れたいくらいに…』
飛段に腕を取られ、横たわっている飛段に覆い被さる状態となった。リリーは無抵抗になりされるがまに飛段に口付けされた。
『後悔はさせねェからよ…ゲハハ!』
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