暁短編
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白檀
『暑苦しい、離れろ』
「ん…もうちょっとだけ」
日は落ちていないがヒグラシが鳴き、森に夕暮れだと知らせている。夜は任務も無く、武器の整備もそこそこに角都は賞金首の情報が乗っているファイルに目を通していた。任務がない日の角都はだいたい組織の金作りの為か、趣味か分からないがずっと賞金首を狙い続けている。賞金首を連れてくれば換金所の往復だ。それに慣れているリリーは大木の切り株に腰掛けている角都の背中に寄っかかり、時々ファイルを横目で見ては武器の整備をしていた。昔はくっつくだけで怒っていた角都も、金にならない事に時間は割いてられないと放置されている。それをいい事にリリーはくっつきたい時に角都を抱き締めたり、ベタベタしても基本任務以外何も言わなかった。角都の外套に擦り寄ると角都の匂いがする。
角都の匂いが好きだ。飛段はジジくせーと言っていたがその言い分も分かる。少しポマードの様な整髪剤の香りとお線香の様な香りが、爽やかや軽やかとは真逆の重めな匂いがする。それに加えて換金所のあの死の香りが混ざってお世辞にもいい香りだとは言えないが、好きな匂いだ。……好きな匂いなのか?多分きっと角都だから好きな匂いになったんだろう。堪らなく愛おしい。いつの間にか顔を埋める様にして楽しんでいると、呆れた角都から離れ落ちた右腕がリリーの後ろに周り首根っこを掴むと、ゆっくりと引き離した。
『……しつこいぞ』
「………だって、」
名残惜しいように首元に居る離れた右腕にキスをすると大きな蜘蛛の様に動き出してリリーの体の上を這って胸まで来るとまさぐり始めた。大きな手が胸を包み込む様にして動いている。触れられた所が熱い。角都に至ってはこちらに振り向きもしない。
「……あっ…」
『片腕に遊んで貰え』
離れた右腕は個体の生き物様に動き、外套の外から中へと潜り込むと体を伝って太腿まで降りてきた。柔らかい肌からゆっくりと移動し下着に手をかけ濡れた秘部に太い指がつぷりと音を立て侵入してくる。狭い肉壁の中を蠢き、リリーが気持ちいと感じる所を分かっているかのようにグリグリと刺激した。触れられていると考えるだけで興奮し愛液が溢れ、脚が震えた。もっと欲しい…角都のが…無慈悲に突いて欲しい
「…っ…んんっ…嫌…だ…っ」
『楽しんでいるように聞こえるが?』
「…角都ぅ…っ…角都じゃないと嫌」
『それも俺の体の一部だ』
秘部から片腕の指が愛液と一緒にぬるりと抜け落ちるとスルスルと角都の腕に戻った。振り返ると既に出来上がったリリーの肩を抱え、乱れた着衣を直すと賞金首の写真をリリーの前に掲げる。
『丁度この近くの里にこの賞金首が居るらしい』
「……それで?」
『今夜はその里の宿を取る。お前はこいつを取ってこい。そしたらご褒美くれてやる…続きをな』
「……ずるい!…そんなの…あんまり」
『欲しくないのか?』
あえて角都はリリーの耳元でいやらしく囁く。背筋がゾクゾクして子宮が疼いた。今すぐにでも欲しいくらいだ。
「…やっぱり指でいいからイかせて?」
『お前を横に置くのは金になるからだ。賞金首を取ってきたらいくらでもくれてやる。…日が暮れる前に里に行くぞ』
角都はリリーの頬を掴みながらそう言うと、離して里のある方向に向かって行ってしまった。いくらでもくれるように次の任務前に終わらせなきゃ…
リリーは立ち上がり木屑を払うと角都の後を追った。
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