ADULT STORY
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ーー…どうして男は女の趣味が悪いのかしら…?
安物の香水が香り、ブランド物のヒョウ柄のファーを身にまとった典型的な美人をセブルスは好きになった。
そんな私もセブルスに片思いして5年程
経つのに友人から進展無いまま、その女とくっ付いたというのを耳にして絶望していた。
実際友人主催のセブルスの家でパーティを開いた時にも、その女とセブルスは寄り添い、セットの様になっていて近いうちに結婚するのではないかと皆に囁かれていた。
(……もうチャンスはないのかしら)
その光景を目にするだけで胸がチリチリに焦げて痛い。嫉妬の渦に飲み込まれて、どうしたら良いか分からない。
ヤケになってリリーは友人に混ざって深酒をした。
「ー…リリー…起きなさい…」
肩を軽く揺さぶられ、ぼんやりした頭のまま目を開くと目の前にセブルスが立っていた。
「…セブルス」
「君が寝てしまって君一人になってしまった…このまま家に帰れるか?」
「……セブルス…今日は私このまま居たい」
「ダメだ、帰らないと」
「私はセブルスが好きなのよ!」
「…何を急に…」
「…本当は貴方と結婚したかった」
いつの間にかリリーは自分の気持ちを叫んでいた。
セブルスはしばらくリリーを見ていたが、視線を下に逸らした。……あぁ…もう駄目なのだろうか。
「…セブルス、私は、」
ゆっくりセブルスの方へ近づいたがそれでも距離があった。その距離は詰めて変わらないような感じがした。
ふと奥のソファーに目を移すと女物のヒョウ柄のファーが置いてあった。…なんだ…一人じゃないじゃないか。あの女が居るんだ。だから早く帰ってほしいのか。
「…帰るわ…わかった」
「……」
リリーは立ち上がって玄関に行くフリをして寝室へ向かった。寝室らしきドアノブに手を伸ばすと、セブルスがいつの間にか少し離れた後ろに立っていた。
「……リリー」
「……セブルス」
セブルスの表情は廊下が暗くて分からなかった。
それでも呼び止められた声は冷たくて、自分が何しているのかだんだん罪悪感と共に迫ってきた。1歩前に歩み寄るとつま先に何が当たった。そこに視線を落とすと、あの女が付けていた真珠のネックレスの1つが転がっていた。
(……真珠の…ネックレス…)
何故か身震いした。
分からない恐怖心か、勘なのか、手に掛けたドアノブの先に彼女は生きているのか気配がしなかったのはどうしてなのか。リリーはゆっくりとドアノブに掛けていた手を離した。
「……そこには何もないよリリー」
怒っていのるかいないのかの声のトーンだけでは分からないセブルスがそう言った。その日はどうやって帰ったのか分からないが、何とか家に帰れたみたいだ。
一週間ぶりに、パーティで一緒だった友人がセブルスと恋人が行方知らずと噂されていて、皆は早いハネムーンでも行ったんじゃないかと笑い話になっていた。
「まったく、良いよね」
浮かれた話題にリリーは愛想浮かべながら
本心はもう忘れようと思っていた。
その日の夜にドアノックが部屋の中に響いた。
お風呂上がりリリーは髪を乾かすためのタオルを首に掛けたまノックのする外へ応答した。
「…誰なの?」
「…セブルスだ」
その声を聞いた途端に胸の中で心臓が大きな音を立てて跳ねた。心拍数がどんどん上がっていくのを感じる。
「……このドアを開けてくれリリー」
恐る恐るドアチェーンが付いた状態で扉を開ける。少しの開いた隙間から雨で濡れたセブルスが立っていた。
「あら…こんな夜にどうしたの?」
「…考えたんだ…あれから…」
「…何を…」
「僕達…結婚しよう」
真剣とも取れるセブルスの言葉に以前だったらあまりにも待ち焦がれだ言葉にリリーは動揺した。あんなにあの時は駄目だったのに。…何故?
「あの時、貴方は私を拒絶した…」
「拒絶なんてものじゃない、しっかり考えたかったんだ…入れておくれリリー…」
ドアチェーンに手がかかったままですぐには動かせなかった。嬉しさ反面、恐怖も同じくらい怖いからだ。
(……あの子はあの晩どんな気持ちだったんだろう)
ふと安物香水が香る女の顔が浮かんだ。
大丈夫……なんて保証されないけれど
気付けばドアチェーンを外していた。
「……どうぞ」
「……ありがとう」
セブルスは儚げに微笑んでリリーに腕を伸ばすとゆっくり抱きしめ、耳元で小さくそれでもハッキリした口調で話し掛けた。
「…あの晩何を見た?」