LONG STORY
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汽車から降りると2m以上ある大男が待ち受けて居た。もじゃもじゃな髭と髪の毛からつぶらな瞳が見下ろしている。森番のハグリッドだと自己紹介して1年生を迎え入れた。
ハグリッドに連れられて湖のボートに乗り込むと遠くの方へホグワーツ城が見える。きらびやかな光に照らされてお城が湖に浮かぶ1つの国のように見えた。
しばらくしてボートを降りると乗る前より遥かに迫力がある本当に大きなホグワーツ城だ。城に合った大きな扉を潜ると中も宮殿のような白い階段を上がっていく。
天井も高くて、上をみて歩いていると前方が止まった事に気付かず前の子によろけてしまった。相手もホグワーツ城に気を取られていたらしい。
「おっと、ごめん」
「私こそ、よそ見していてごめんなさ…」
相手を見ると目の前に居たのは額の稲妻の傷からしてハリーポッターだった。
私が産まれてからずっと彼は有名人だ。有名過ぎてもっと気取った子かと思っていたがハリーは痩せていて、ちょっぴり気弱そうな子だったのには驚きだった。自然とドラコの様な子を想像していたのかもしれない。想像とはずっとかけ離れた男の子だった。
それでもメガネの奥は今後の期待感で
綺麗な緑色の優しそうな瞳が輝いている。
「あなた…ハリーポッターね…こんな所でアレだけど丁度挨拶したかったの。…よろしくね。リリー・エヴァンスよ」
「僕はハリーポッター…って言わなくてもみんな分かるんだよね、よろしくね」
照れ臭そうにハリーは握手をしてくれた。握った手は見た目に反してなんだか力強い握手だった。
隣には列車で見た双子に似ている赤毛の男の子がチラチラ見ていたので挨拶すると、ロン・ウィーズリーとちょっと声が裏返りながらそう言って握手した。緊張しているのか手が少し汗ばんでいるのが可愛くて微笑んだ。
「…本当に君がハリーポッター?」
ズイっとリリーの隣に現れたドラコの声に周りはざわめきはじめる。クラッブとゴイルを引き連れたドラコは嬉しそうにハリーの隣に居たロンを貶すと家柄の話を持ち出し、純血だとしてもどの家柄がいいかちゃんと見た方がいい等、それがまたいかにも鼻にかかる言い方だった。
その言い方からしてドラコはずっと幼い頃からパパにハリーの事を散々聞かされてきたのだろう。もしかしたらハリーと仲良くするように言われていたのかもしれない。期待に満ちたドラコの言った言葉で周りがどんな顔をしてるかなど眼中には入っていないのだ。
「僕が教えてあげよう」
ドラコは祝福を込めて手を差し出したが
ハリーの顔は曇ったままだった。
「…いいよ。友達くらい自分で探せる」
ハリーにしては冷たい予想外の返事にドラコはショックで手は宙に浮いたままだった。
「…間もなく中へと入りますよ。準備はいいですか?」
マクゴナガル先生が訪れ大広間へと
案内の準備が出来たようだ。
「……なによ、あのハリーの言い方。何も悪いこと言ってないじゃないの」
パンジーは一目散にドラコを庇うように
小声でリリーへ耳打ちをした。
「……そうだね」
私がスリザリンではなく他の寮になったらパンジーは友達のままで居てくれるだろうか…自然と指先に力が入る。
天井の高い夜空を映した大広間はたくさんのキャンドルが浮かび上がっていた。ハーマイオニーの声が天井の夜空は魔法でそうしていると説明がどこからともなく聞こえてくる。そこには多くの生徒と目の前には先生方達が肩が肩を並べて1年生の組み分けを待っていた。
中央には1脚置かれた椅子にはボロ帽子が置かれている。
マクゴナガル先生が羊皮紙を広げて生徒の組み分けを始めるようだ。
「ハーマイオニー・グレンジャー」
「…大丈夫…大丈夫よ……」
ハーマイオニーは自分を落ち着かせるようにブツブツ呟きながら椅子に座りボロ帽子を被る。
ーーグリフィンドール!!!
グリフィンドールのテーブルからは拍手喝采が鳴り響き、ハーマイオニーは緊張がほぐれてテーブルにむかう。
「ドラコ・マルフォイ」
ーースリザリン!!!
拍手喝采が鳴り響く。ドラコに引き続き、組み分け帽子で
スリザリンとなったパンジーも歓迎されながらスリザリンのテーブルの元へと走って行った。
「……リリー・エヴァンス」
名前を呼ばれ椅子に座ると組み分け帽子を#2#の頭へ被せた組み分け帽子はしばらく悩んでいる。
(……私は…)
ーーースリザリン!!!
スリザリンのテーブルに拍手喝采が鳴り響いた。スリザリンと聞いてリリーはホッとしたような何故か少しだけ落胆したようなおかしな気持ちになった。
スリザリンのテーブルの元へ向かうとパンジーが隣の席を開けて待っている。
「待ってたわよ!」
パンジーが満面の笑みで迎えた。その笑顔が見れて嬉しいはずなのにどうして少し悲しいのだろう。
「…ありがとう」
ーーースリザリン!!!
その声に振り返るとセオドールがスリザリンになったところだった。向かいの席の男の子が席を空けてくれてセオドールが座り込むと男の子は握手を求めた。
「俺はブレーズ・ザビニ、よろしくな」
「……僕はセオドール・ノットだ」
はじめてまともにセオドールが挨拶をした。
ブレーズは褐色の肌に無造作ヘアーの黒髪。ラテン系でひと目で万人に好かれそうな甘いマスクで太陽の様な笑顔をセオドールに向けた。
それでも氷のような冷たい表情のクールなセオドールに太陽と月の様な対照的さでより笑顔が際立っていた。無理矢理セオドールの手を掴み握手をする。
「おい、見てみろよ!」
ちょうどハリーが名前を呼ばれ
当たりが静かになった。
組み分け帽子がハリーの頭へ被せられる。
ーーーグリフィンドール!!!
拍手喝采はこの時が一番大きいものとなったドラコはやっぱり納得いかないと不貞腐れる。
組み分けが終わると校長先生の合図で空っぽだったテーブルのお皿に大量の料理が華やかに現れる。美味しそうな照りの入ったローストチキンにポテトやラムチョップ、豆のスープ、ミートパイ、ローストビーフ…数えて切れないほどの料理がどれも山盛りいっぱいに積まれ、お祝い事で特別に出される様な料理に生徒は喜びをあげて一斉に食べ始めた。
食事がだいたい終わると今度はお皿が綺麗になって代わりにたくさんのデザートが現れる。チョコレート掛けのプチシュークリームにプディング、糖蜜パイ、ゼリーにてんこ盛りの色んな味のアイスクリーム。あんなにたくさん料理を食べたのに、デザートは別腹でどれから食べようか迷ってしまう。隣のパンジーもいつもダイエット話で盛り上がるのに、今は忘れてしまったようだ。
「美味しい~!リリー、ちょっとこれ食べてみて!」
パンジーの手でスプーンにすくわれたプディングを口に運ばれた。一口食べると卵とミルクの滑らかで、バニラの香りと共に甘い味が広がる。ちょっと固めなのが昔ママがよく作ってくれたプディングの味に似ていて懐かしくなった。
「…っ美味しい…!」
「でしょ!」
パンジーの笑顔とママの笑顔が重なった。
「ねぇ、俺にも食べさせてよ」
それを見ていたブレーズが笑いながら言うと、パンジーは嫌よ!っとそっぽを向いた。ドラコの方をちらっとみてドラコなら食べさせたいらしい。ブレーズの隣のセオドールはスルーしてもくもくと食べている。ブレーズは諦めて周りの女の子をデザートを選ぶように物色していた。どうやらちょっとやそっとじゃ動じないらしい。
パンジーが見つめてるドラコの方を見るとドラコは寮監はスネイプ先生だとフォークを向ける。スネイプ先生が僕達と同い年だった頃、僕の父は監督生だったと周りに説明し始めていた。
ドラコのフォークの先を見ると顔色があまり良くない眉間にシワを寄せたスネイプ先生がもくもくと食事をしていた。あまり食べている様子はない。こんなにどれも美味しい料理ばかりだったのに、その表情はあんまり美味しく無さそうに見えた。
「………」
食事も終わり監督生に連れられ大広間から地下牢のスリザリンの寮に入ると黒と緑色を基調としたアンティーク調の黒張りのソファーや肘掛け椅子がたくさんあった。暖炉もあって見た目は寒々しいが暖かい。食べた後もあって眠くなってきた。
「私達、部屋も同じなのなのよ!」
パンジーは嬉しそうにリリーの手を取り女子寮へと向かう。近くに居たセオドールにおやすみを言ってパンジーに付いていく。部屋に入ると部屋は5人用らしく5個分の天蓋付きベットがヒーターの周りを囲んでいる。トランクがすでに運ばれていて、メンフクロウがつまらなそうにホーと鳴いていた。
「ごめんね、今外に出してあげるから」
「リリーー!」
パンジーの声に振り向くとパンジーはトランクが3つもありすでに開けられたトランクの中から今日のパジャマはどれがいいかベットに並べて悩んでいた。
「どれがいいかしら?」
「どっちでも似合うよ」
「今日の気分はピンクなのよねぇ~」
身体にパジャマを当てながらクルクルと回ってみせる。パンジーが選んでいる間に他の子は準備が終わってさっさとお風呂に行ってしまったらしい。
「朝になっちゃうよ、お風呂いかなきゃ」
天蓋付きベットに入った頃には消灯ギリギリで
お風呂を出たのも私達が最後だった。
「おやすみ~」
「おやすみなさい」
周りから寝息が聞こえてきてうとうとして頃に誰かが足元に湯たんぽを入れたのは確認出来たが、確認する前に眠りに落ちた。