SHORT STORY
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皆が寝静まった女子寮でリリーは部屋を微かに照らす月明かりを頼りに呪文学の教科書を眺めていた。どうしても眠れない夜は難しい本を読みながら寝落ちするしかない。
ふと、明かりの無いはずの背後から暖かい光が本を照らした。
「寝れないのかリリー?」
「…スネイプ先生…?」
声のする方へ寝返りを打つと、スネイプ先生がリリーのベットに腰掛けていた。手に持っていた蝋燭をランプの近くの台に起きこちらの様子を眺めている。
「…な…なんですかこんな時間に」
「そんな暗いところで本を読むと目を悪くするぞ」
「…あ、ありがとうございます。…まだ何か?」
「…いや」
ギシ…っとスネイプ先生がリリーの方へゆっくり寄るとベットが軋んだ。視界が暗くなり、気づいた時にはスネイプ先生がリリーにキスをしていた。
「…んっ…んあ」
軋むベットの上でキスが繰り返される。唇を噛まれたり、舌を入れたり、まるで食べる様なキスはリリーを混乱させ戸惑わせた。息遣いは荒く、スネイプ先生は覆いかぶさり、リリーが抵抗しないようにするとパジャマの裾から手を入れ込んだ。
「……ンンっ!!やめっ…あっ」
「……ちょっと!!!」
「……っわーーー!」
目を開けると同じ寮のパンジーがリリーの上に乗っていた。通りで重かったわけだ。辺りは朝日が入り込み、眩しく思いながら目を擦った。…それにスネイプ先生はどこにも居ない。
「……えっと……私って変なこと言ってた?」
「……何も?…ほら!さっさと支度しないと朝食間に合わないよ?」
「……ああ…うん」
なんだか半分寝ぼけたまま朝支度を済ませて、朝食を取りに大広間に向かった。その間にもリアルな夢を回想をさせる度に顔が熱くなる。
周りのみんなに軽い挨拶をすると席につき、焼き目の薄いトーストを選んで取ると軽くバターを塗って口に運ぶ。ほんのり温かいトーストにとろけたバターが甘く感じて美味しい。サクサクと口に続けて運んで居ると自然にスネイプ先生の姿を探した。
眉間にシワの寄ったスネイプ先生は淡々とオートミールを口に運んでいた。…不味そうに。
リリーがボーっとその姿を観察しているとちょうど顔を上げたスネイプ先生と目がガッチリ合ってしまい思い切りむせた。
「……っゲボっ…ゲボっ」
「ちょっとリリー!大丈夫?!」
隣に居たパンジーに牛乳を貰い、むせて痛んだ喉に牛乳を流し込む。目の前にいたドラコは笑いながらハンカチを手渡した。
「…なにかそんなに面白い事でも?」
「…あ、ありがとうドラコ」
リリーはハンカチを受け取り口元に当てた。
落ち着いた頃にスネイプ先生へ視線を移すと、先生は既に食事を終えて席を立っていた。
「リリー、次の授業教室移動遠いからもう行かないと」
「ああ、…うん」
立ち上がって行き交う生徒をくぐり抜けながら大広間を出て階段を上がっているとスネイプ先生が目の前に歩いてきた。
「…先生」
「…パーキンソン、我輩はエヴァンスに話がある。先に行っていろ」
「分かりました。リリー、先言ってるね」
「…うん!」
先に歩いて行くパンジーの背中を見送るとスネイプ先生の方へ視線を移した。大きなコウモリの様な身体に私は…ーええっと…ー
夢の中のはずだったのにリリーは熱くなって顔が赤くなるような感覚がした。その様子をスネイプ先生は黙って見下ろしていた。
「…な、何か…?」
「それはこちらのセリフだ。先程から様子がおかしいぞ…?何がやらかしたのかね」
「…いえ、…とんでもございません」
「…なんだその言い方は?怪しいぞ」
がっと手を掴めれた肩にリリーはビクっと震えてまたみるみる顔が熱くなった。…夢なのに、実際起きているようにリアルに思い出してしまってリリーは何も言えなくなった。
……先生は私と……私と……
「った!…体調悪くて…授業前に医務室行こうか迷ってました……」
「それなら早く行かんか!…熱でもあるのか?」
「大丈夫です、1人で行けますのでっ」
スネイプ先生の話を聞く前にリリーは腕を振り切って医務室に走って行った。挙動不審過ぎる自分の行動にどこか呆れを持ちつつ、体調も悪くないまましばらく医務室で休ませてもらうことにした。
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