SHORT STORY
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「……っリリー・エヴァンス!!!」
「……ふぁ?!」
「……勝手に我輩の私室に入るなと以前にも言っただろう!」
口元で乾いた涎を袖で拭きながら大欠伸をして起き上がったリリーはソファーでスネイプのローブをタオルケット代わりにして眠り込んでいた。鍵はしっかり掛けてあるのに最近中に入るとリリーが仮眠室代わりに使用していた。
「…おはようございます。スネイプ先生」
「…今は夕刻だ。また授業をサボっていたのか?!」
「…ゴホッゴホッ…ちょっと今日は風邪気味でゴホッ…」
わざとらしく咳き込むリリーにスネイプは肩がワナワナと震えた。1度だけ本当に風邪で倒れたリリーを助けて"しまった"おかげで懐かれてしまった。
外で見つかればスネイプのローブにしがみついて引きずられてもお構い無しで、フェルチが通りかかればいつの間にかスネイプの大きなローブの後ろの中に隠れるという天真爛漫な荒技もみせる。
「…だいたい、地下牢教室ではなく我輩の私室から授業をサボっている女子生徒が出られる所を他の生徒や先生に何度も見つかると色々厄介だ。今後入るな」
「え~~先生誘ってるんですか?」
笑いながらリリーはスカートの裾を少しだけペラっと捲り上げスネイプを挑発した態度を取る。そっちがその気ならこっちだって…。
つかつかとスネイプはリリーに鼻が当たりそうなくらい近づいて「…それも良いかもしれないな」と呟くとリリーはカッチンコッチンに固まった。誘うのは平気なクセに誘われるとこうなるリリーのパターンをスネイプは知っていた。
(…フン…やはりまだ子供。…ただマセているだけなのだ)
「……いいですよ…先生なら」
そう言ってあろう事かリリーは本気にしてローブを脱いでシャツのボタンを外しはじめる。スカートのチャックも下ろし、スカートに手を掛けた。
「脱ぐなーーー!!!」
「えっ」
「冗談に決まっているだろう!ほら!早く着直せ」
「…あんっ!ひどい…」
「どこから声を出しているんだ馬鹿者…ほら、さっさとローブを着ろ!」
先生が女子生徒を弄んだーーー!なんて泣き言を言ってスネイプの胸に抱きつき、ちんたらちんたらしているリリーに無理矢理ローブを上から羽織らせる。雑にネクタイを締め上げ、リリーはぐえっと鳴いたが構わず上まで締めた。
…ーコンコン
「…スネイプ先生、今ちょっと良いですか?お話が~」
すると外からノックが聞こえる。声の主はマルフォイだった。きっとポッターの事で報告しに来たんだろう。ノックがなんとなく嬉しそうに鳴っていた。
「…っリリー!少し隠れていろ!」
「はーい」
そう言うとリリーはもぞもぞとスネイプの後ろのローブの中に入り込む。出そうとローブを引っ張ったものの、すでにマルフォイがスネイプの私室へ入ってきていた。
「スネイプ先生!ポッターがまた悪巧みを…先生?」
「……ああ、すぐ行く。先に行っていなさい。」
マルフォイはそう聞くと嬉しそうにスネイプの私室を出ていった。グラップとゴイルを引き連れた音が遠のいた。
「……という訳だリリー…もう出ていきなさい」
「先生、このローブ後ろに穴が空いてますよ?いいんですか?」
スネイプは振り向くとスネイプのローブから#1#の指が貫通していた。ローブが長く引きずる為どうしても引きずられた所から穴が空く。最初は直していたが直すことも忘れるほど忙しいのだ、この目の前に居る小娘が!
「…って事で空いた穴を直しておきましたよ!」
そう言ってリリーはさっきまでソファーでタオルケット代わりにしていたもう一つのローブを掴み、腕を通せと振り上げる。スネイプは仕方なく、今着ている穴あきローブを脱いでリリーの持つローブに袖を通す。
「…これで満足か?出るぞ」
「はい先生!」
着てもらってご機嫌が良いのか、リリーはすぐさま荷物を持って先に出る。微笑みながら小走りで寮の方へ走って行った。
(いつもこのように素直ならいいものの…)
溜息をつきスネイプはマルフォイの方へ歩き出す。背後のローブの穴あきの部分には可愛いクマさんワッペンが縫い付けられているとも知らずに……
夕食の席でマクゴナガル先生に可愛いですねと指摘され、スネイプはやっと気づく。寮のテーブルで美味しそうに夕食を食べていたリリーを肩を揺らしながら強く睨んだ。