たにんだいじに
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え?チョコ?おじさんに?いや悪いね~。ありがとね!」
長谷川泰三。
「配って回ってんのか?大変だなお前も。まっ貰っとくよ、サンキュー」
服部全蔵
「こんなジジイん所まで、お前さんも物好きな奴だな!」
平賀源外。
「なに?友チョコ?知らないわよ!ま、貰ってあげてもいいけど?せっかくだし貰ってあげてもいいけど?」
猿飛あやめ。
「あら~私も渡しに行こうと思ってたのよ。交換ね?ウフフ」
志村妙。
「バレンタイン?何だそれは。武士たる者チョコレートなぞ軟弱なものに手は出さん」
桂小太郎。
『桂さんの分は後で渡しときます。すいませんこの人バカなんで、脳みそ蕎麦で出来てるんで』
エリザベス。
その他商店街や行きつけのスーパーまで足を伸ばして、あらかた配り終わったところで、紙袋の中身は残り3個になっていた。
これを渡せば、今日のかぶき町散策も終わりである。三木は万事屋のインターホンを押した。
一瞬の静寂のあと、ドタドタと激しい足音が響いて、勢い良く玄関扉が開いた。
我先にと飛び出してくるのは、当然、坂田銀時と志村新八である。
「はい!います!みんなの銀さんここにいまーっす!」
「ちょっと銀さん押さないでくださいよ!僕宛かもしれねーじゃん!僕のお客さんかもしれねーじゃん!」
「お二人宛ですよ~」
二人は三木の姿を認めると、ぴたりと押し問答をやめ、肩を震わせて泣き始めた。
銀時は三木の右手を、新八は左手をそれぞれ両手で握って、おいおい声をあげている。男泣きだ。
「来ると思ってた。お前なら来ると思ってた!」
「ありがとう…!三木さん、ありがとう!」
「大げさでは?」
受け取ったチョコレートを大事そうに抱えた銀時は、三木の持つ空の紙袋を見て、ははあと頷いた。
「どうやら俺たちの所で終いらしいな。どこ回ってきたんだ?」
「かぶき町をぷら~っと。長谷川さんと、服部さんと、源外さんと、さっちゃんさんと、お妙さんと…あと桂さんに」
「桂ァ?おいおい、いいのかよ。あいつらにバレたらヤバいんじゃねーの」
「えへ。個人的にってことで。近藤さんたちには内緒のシーですよ」
「あはは…。他にはどこも行かなかったんですか?」
「えーと、あとは商店街の皆さんに…」
そう言いかけて思わず口を閉じてしまったのは、一番最初に渡した相手のことを思い出したからだった。
もともと高杉には渡すつもりは無かったとはいえ、出会ってしまったら仕方なかった。そういう偶然の邂逅を想定して、三木はもともと余分にチョコレートを用意していた。だから三木が個人的に高杉にチョコレートを渡したことは、大して問題ではなかった。
ただ、それを銀時に正直に話していいものかどうかは少し悩むところだ。
あの紅桜の一件で高杉と銀時たちが決別してしまったことを三木は何となく知っていて、今江戸に高杉が来ていることをわざわざ教えて火種を作ることもない…そうとっさに判断して三木は高杉のことは言わないことにした。
その不自然な間に疑問を抱いた様子を見せるも、銀時は問いただそうとはしなかった。
新八が言う。
「あの、よかったらあがってってください。お茶出しますよ」
「あ、いいんです、玄関先で。渡したらすぐ帰るつもりだったし…」
「なんだァ?まだ行くとこあんのか?」
「え~っと、その」
珍しく歯切れの悪い三木の様子に、二人は同時に首を傾げた。
ドS王子の待つところ。(続きはない)
2014.10.16