短い話
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※現パロ ※杉元両親捏造
「ママ、私今日ちょっと遅くなるかも」
鏡とにらめっこしたまま目線を外さずに髪をいじくる私に、ママはあらそうとだけ返事をして洗濯機のボタンを押した。
「晩ごはんは?」
「食べる。ねえママ、私可愛い?」
「可愛いわよぉ。三つ編みもキュートね」
ウインク付きの賛辞をくれるママにありがとうと笑って洗面所を出た。廊下で新聞紙を持ったパパに出くわす。パパはまだパジャマのままだった。
「なんだ。今日は早いな」
「日直なの。パパ、トイレで新聞読まないでね」
どうやら図星だったらしい。エヘン、とわざとらしい咳払いを返されて、私はジト目でパパを睨んでやった。もう、何度もやめてって言ってるのに。思春期の娘に対するデリカシーが足りてないんだよね…。そういうことしてるといつか嫌いになっちゃうから。今はまだ大好きなパパ、だけど。
二人でリビングに戻るとパパは目覚ましのコーヒーを淹れに台所へと消えた。行ってくるねと声をかけると、気を付けるんだぞと声だけが返ってくる。気を付ける、気を付けるね。何に気を付けたらいいんだろうね。
玄関のへりに腰を下ろして鼻歌を歌いながらローファーに足を収めたところで、「三木」と後ろから声がした。
陽気な気分が一瞬で落っこちた。
ママでも、パパでもない声に体が強張るのが分かる。おそるおそる振り向くと、4つ上の兄が階段を降りてきたところだった。
「…佐一くん」
「学校、もう行くの?」
「うん、日直なの、私。行ってくるね」
「待て」
明るい声を装ってそそくさと玄関扉に手をかけるも、佐一くんの制止の声に動きを止めざるをえない。手のひらに冷や汗がにじんでいるのを隠すように後ろで手を組んで、笑顔で体ごと振り返った。作り笑いは、得意なほう。
「なに?」
「ちょっとこっちおいで」
言われた通りに玄関の上がりの際に立つ佐一くんの元へ寄ると、佐一くんはしゃがみこんで私の下半身をじっと注視した。顎に手を添えて少しばかり眉根を寄せている。緊張で、ごく、と喉がなった。
「スカート、ちょっと短くない?」
「そ、そうかな。いつも通りだよ。折ってないし」
「そう?…ならいいけど」
そう言いながら、佐一くんは私のスカートを掴んで遠慮なくめくり上げた。突然のことにヒッと喉の奥で悲鳴がこみ上げるものの、ここで反抗しようものならもっと酷いことになるって、私は知ってる。悲鳴のもとを唾と一緒に飲み込んで、佐一くんの挙動を持った。
「ピンク…」
いささか不機嫌そうな色を滲ませる声に心臓が震えるようだった。佐一くんのかたい指先が、パンティと太ももの際をゆっくりなぞった。ぞわぞわと背筋に走る悪寒に耐えながら、最悪の回避を祈った。
「レース…ピンクのレースね…」
「、」
「…まあいいか」
どうやらお眼鏡にかなったらしい。スカートを元に戻され、ホッと胸を撫で下ろした。
佐一くんは、いつもこうだ。
いつもこうやって、私が身に付ける下着なんかをチェックする。まるでそれが当たり前のことみたいに、そのくせ、ママやパパのいないところで。佐一くんが気に入るかどうか、実際のところどういう良し悪しで判別されているのかは分からないけど、あんまり派手だったりちょっとオトナなデザインのときは、羞恥をともなうお仕置きとともにそれらは没収されてしまうのだった。ふいに、以前されたことを思い出して身震いした。あんなこと、もう二度とごめんだ。
「じゃあ、いってらっしゃい。あんまり遅くなるなよ」
かけられた言葉にドキリとする。
遅くなるって、何時までのことを言ってるのかな。私だってもう高校生なんだから、門限なんてあってないようなものだったし、この時期だから日の落ちるのも随分遅くなっていた。晩ごはんまでに帰れば大丈夫だよね。大丈夫、なのかな、……。
もし兄の機嫌を損ねるようなことになれば、それがどういうことか。
分かりきった答えに辿り着いてまた体が震えた。つま先から這い上がってくるような恐怖と、植えつけられた火照りをごまかすみたいにふるふると頭を振る。
大丈夫。大丈夫だよ。いつもよりちょっと遅れるくらいなんてことない。今日は部活のミーティングがあるだけで、夜遊びしにいくわけじゃないんだから…。私は、もう小さい子供でもなんでもない。
「うん。行ってきます」
心の奥底での強がりを見せないように、いつも通りを貫いた。佐一くんもいつも通り、に、見える。
口の中はカラカラに乾いていた。私の返事を聞いた佐一くんは満足気な顔をしてリビングの方へと消えていった。戻ってくる気配はない。私はようやっと深呼吸して、深い息を吐いた。やっと、やっと外の世界に出ていける。
安寧の時間が始まる。
兄の干渉を受けない学校が、私にとって何よりのオアシスになっていた。
エロシーンの導入用に書いた話です。お仕置きせっせに続きたい。
2018.12.2
「ママ、私今日ちょっと遅くなるかも」
鏡とにらめっこしたまま目線を外さずに髪をいじくる私に、ママはあらそうとだけ返事をして洗濯機のボタンを押した。
「晩ごはんは?」
「食べる。ねえママ、私可愛い?」
「可愛いわよぉ。三つ編みもキュートね」
ウインク付きの賛辞をくれるママにありがとうと笑って洗面所を出た。廊下で新聞紙を持ったパパに出くわす。パパはまだパジャマのままだった。
「なんだ。今日は早いな」
「日直なの。パパ、トイレで新聞読まないでね」
どうやら図星だったらしい。エヘン、とわざとらしい咳払いを返されて、私はジト目でパパを睨んでやった。もう、何度もやめてって言ってるのに。思春期の娘に対するデリカシーが足りてないんだよね…。そういうことしてるといつか嫌いになっちゃうから。今はまだ大好きなパパ、だけど。
二人でリビングに戻るとパパは目覚ましのコーヒーを淹れに台所へと消えた。行ってくるねと声をかけると、気を付けるんだぞと声だけが返ってくる。気を付ける、気を付けるね。何に気を付けたらいいんだろうね。
玄関のへりに腰を下ろして鼻歌を歌いながらローファーに足を収めたところで、「三木」と後ろから声がした。
陽気な気分が一瞬で落っこちた。
ママでも、パパでもない声に体が強張るのが分かる。おそるおそる振り向くと、4つ上の兄が階段を降りてきたところだった。
「…佐一くん」
「学校、もう行くの?」
「うん、日直なの、私。行ってくるね」
「待て」
明るい声を装ってそそくさと玄関扉に手をかけるも、佐一くんの制止の声に動きを止めざるをえない。手のひらに冷や汗がにじんでいるのを隠すように後ろで手を組んで、笑顔で体ごと振り返った。作り笑いは、得意なほう。
「なに?」
「ちょっとこっちおいで」
言われた通りに玄関の上がりの際に立つ佐一くんの元へ寄ると、佐一くんはしゃがみこんで私の下半身をじっと注視した。顎に手を添えて少しばかり眉根を寄せている。緊張で、ごく、と喉がなった。
「スカート、ちょっと短くない?」
「そ、そうかな。いつも通りだよ。折ってないし」
「そう?…ならいいけど」
そう言いながら、佐一くんは私のスカートを掴んで遠慮なくめくり上げた。突然のことにヒッと喉の奥で悲鳴がこみ上げるものの、ここで反抗しようものならもっと酷いことになるって、私は知ってる。悲鳴のもとを唾と一緒に飲み込んで、佐一くんの挙動を持った。
「ピンク…」
いささか不機嫌そうな色を滲ませる声に心臓が震えるようだった。佐一くんのかたい指先が、パンティと太ももの際をゆっくりなぞった。ぞわぞわと背筋に走る悪寒に耐えながら、最悪の回避を祈った。
「レース…ピンクのレースね…」
「、」
「…まあいいか」
どうやらお眼鏡にかなったらしい。スカートを元に戻され、ホッと胸を撫で下ろした。
佐一くんは、いつもこうだ。
いつもこうやって、私が身に付ける下着なんかをチェックする。まるでそれが当たり前のことみたいに、そのくせ、ママやパパのいないところで。佐一くんが気に入るかどうか、実際のところどういう良し悪しで判別されているのかは分からないけど、あんまり派手だったりちょっとオトナなデザインのときは、羞恥をともなうお仕置きとともにそれらは没収されてしまうのだった。ふいに、以前されたことを思い出して身震いした。あんなこと、もう二度とごめんだ。
「じゃあ、いってらっしゃい。あんまり遅くなるなよ」
かけられた言葉にドキリとする。
遅くなるって、何時までのことを言ってるのかな。私だってもう高校生なんだから、門限なんてあってないようなものだったし、この時期だから日の落ちるのも随分遅くなっていた。晩ごはんまでに帰れば大丈夫だよね。大丈夫、なのかな、……。
もし兄の機嫌を損ねるようなことになれば、それがどういうことか。
分かりきった答えに辿り着いてまた体が震えた。つま先から這い上がってくるような恐怖と、植えつけられた火照りをごまかすみたいにふるふると頭を振る。
大丈夫。大丈夫だよ。いつもよりちょっと遅れるくらいなんてことない。今日は部活のミーティングがあるだけで、夜遊びしにいくわけじゃないんだから…。私は、もう小さい子供でもなんでもない。
「うん。行ってきます」
心の奥底での強がりを見せないように、いつも通りを貫いた。佐一くんもいつも通り、に、見える。
口の中はカラカラに乾いていた。私の返事を聞いた佐一くんは満足気な顔をしてリビングの方へと消えていった。戻ってくる気配はない。私はようやっと深呼吸して、深い息を吐いた。やっと、やっと外の世界に出ていける。
安寧の時間が始まる。
兄の干渉を受けない学校が、私にとって何よりのオアシスになっていた。
エロシーンの導入用に書いた話です。お仕置きせっせに続きたい。
2018.12.2