短い話
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朝食堂へ向かうと何やら神田とファインダーが揉めていた。
喧嘩というよりも神田が無神経なことを言ってファインダーの反感を買ったらしく神田が一方的にまくしたてられてるという感じだった。こういう光景を見るのは初めてじゃないし原因もきっかけもだいたい今みたいな感じなので神田の狂犬っぷりがうかがえる。彼ほんと共感性とか思いやりがないよね…。「もうちょっと言い方ってモンがあるわよね〜はいたまご粥上がり〜」「あははは神田ですから〜」ジェリーさんも慣れっこの様子で淡々とオーダーを受け取っては出して行く。ほかほかのたまご粥を受け取って僕は神田の正面の席についた。
「は?」
「ここいいですか?」
神田の顔にはありありと「テメエ何でわざわざそこ座るんだよ」って書いてあるしファインダーの人も空気読めよ的な顔で僕を見ていた。だって他に知ってる人いないしわざわざ離れて座るのもなんか避けてるっぽくて感じ悪くない…?神田は不可解なものを見る目で僕を見ているけどその腕はずっとファインダーの首を締め上げているし締め上げられているはずのファインダーもなぜか神田と同じ目で僕を見ていた。れんげを口に運ぶ手を止めて彼らを見つめ返してみてもその目は変わらずに僕を見ていて食堂は水を打ったように静まり返っていた。なにこの沈黙…。
「え…僕何かしました…?」
「いや〜…」
近くにいたファインダーにこそっと耳打ちすると彼も神田くんたちと似たような目をしていたし返事も歯切れが悪かった。
「…普通止めないスかね?」
「ええ…」
止めて欲しかったのかよ…ファインダーと神田で言いたいこと言い合う空気作ってたから邪魔しないほうがいいかなと思ってたのに…僕なりに読んだ空気は間違っていた。周りにこれだけ人がいるのにひょっこり現れた僕に仲裁を求めるのっておかしくない?君らで止めればいいじゃんよ…。しかしよく考えてみれば相手は神田だった。この暴れん坊侍に立ち向かう勇気をファインダーが持つのはなかなか難しいことだろうな、それでタイミングよく現れたエクソシストの僕が強制和解に持ち込めば万事解決だったということなのか。神田恐れられすぎじゃない…?アクマよりは優しいと思う…神田一応人間だし…。
「あっマキ!マキー!」
おはようございまーす!!と叫びながら笑顔でこちらに向かってくるアレンくんの空気クラッシャーっぷりはなかなか見事なものだよ…君ってほんと便利なやつだよな…。「おはようございますマキ何食べてるんですか?お粥?たまご粥?アハハマキたまご粥食べてる〜!相変わらず流動食しか食べないんですかおじいちゃんですね〜!」おい流動食って言い方はやめろ。
「あれ?…神田何してるんですか?」
「…」
「ちょっと。その人離してください」
「うるせえモヤシ」
「モっ…」
神田の侮蔑を含んだ一言にカチンときたらしいアレンくんは額に青筋を立てている。そんなアレンくんを見て神田はターゲットをファインダーからアレンくんに変更したらしく絞りあげていた巨体をパッと離してアレンくんに向き直った。僕の頭上で…ガンつけ大会が始まった…。
「早死にするぜ、オマエ。嫌いなタイプだ」
「ご忠告どーも」
なんでこの二人こんなに険悪なの…?神田は孤高のロンリーウルフなので別に二人が仲良くなることに期待はしてないからせめて僕を挟んで喧嘩するのやめて…ごはん美味しくない…。
「エクソシストって面倒な人ばっかっすね」
さっきのファインダーが呆れながらそう言った。お前さっきはあんなに歯切れ悪かったのに…お前…。
気苦労。
2016.5.27