もはやこれまで!
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※R15
9:28
えっ
9:28
まって
9:29
三木ちゃん?
9:29
三木ちゃんなの?
9:30
ほんとに?
9:31
不在着信
9:32
不在着信
9:33
今どこ
9:34
不在着信
9:34
俺のこと覚えてる?
9:35
三木ちゃん
9:35
どこにいるの
9:35
不在着信
9:36
不在着信
……
「は?ウゼエ」
「尾形さん人のスマホいじるのやめて…」
そう言って素直に返してくれる人ならそもそも初めからそんなことしない。正論。
私がコーヒーを淹れている間に勝手に充電器からスマホを抜き取って、我が物顔で操作している尾形さんは、見つかってもどこ吹く風でいじり続けている。尾形さんてそういうとこあるよね…。目の前にコーヒーを差し出す代わりにスマホを抜き取ると不満そうな顔をされた。
「連絡取ってたのか」
「え?」
「杉元のバカと」
「スギモトノバカト…?」
そのスギモトノバカトというのがあの杉元さんのことを指していると、自分のスマホ画面を見て初めて理解できた。尾形さんによって開かれたトーク画面にびっしり表示された、杉元さんからのメッセージの羅列をスクロールして一番上まで戻ると「友だちとして追加されていないユーザーです」の一文が表示されていたので、おおかた白石さんに私の連絡先を教えてもらったのかなと予想がついた。
「杉元さん、元気そうですね」
「知らん」
「お、ひ、さ、し、ぶり、です…と」
「おい無視しとけ。ブロックしろ」
「尾形さんってさぁ…」
自分がされたら怒るくせに…。尾形さんは昔から杉元さんと何かと反発しあっていたので、今生でもその関係が継続されていることにちょっと笑ってしまった。似た者同士だから嫌っていたのか、それとも違いすぎるから分かり合えなかったのか。結局最後まで私には正解が見えなかったけど、まあ正直どっちでもいいかなと思って早々に放っておいたところもある。
「あ、電話」
「出るなよ」
「ええ〜…。…あ、もしもし?」
「おい…」
『三木ちゃん!?』
画面越しに聞こえてきた声が、記憶の中の杉元さんとピッタリ重なった。
始めに白石さんと出会ってから、尾形さんと続いて杉元さん。今更ながら本当に生きている現実に驚いちゃうな。小さい頃は前世の記憶があるなんて、自分がおかしいのかと思って何かと苦悩したものだけど、ていうか四日前までは悩みの種のひとつだったんだけど…。現実…なんだもんな…。そりゃ、多少浮かれてしまうのも仕方のないことだと思うよ。
「杉元さん、すごい、ひさしぶ」
『今どこ?』
「りですね…。ハ?」
『どこにいる』
「自宅」
『家どこ』
「ですけど…。あの?杉元さん?」
「ははッ」
噛み合わない会話をしていたら真後ろから吐息とともに尾形さんの笑い声が耳をかすめた。反射で振り向く前に、胸元に伸びてきた手に視線が引っ張られてしまう。何。何何何。
「お、おがたさ、」
『あ?』
「余裕ねえな」
『は?尾形?は?』
「ちょ、ちょっと待ってどこ触って」
『は?三木ちゃん?え?』
「朝の続きだ。邪魔すんな」
『は?…は!?』
後ろから体重をかけてくる尾形さんが、私の胸元をまさぐりながら杉元さんに話しかけるので、やっぱりこの人めちゃくちゃバカなんだと思った。杉元さんを挑発するのに私を使うのやめてほしい…。
「待って、やだ、尾形さん!っん、」
『待って尾形いんのそこに!おい!』
「うるせえな。切るぞ」
そこでほんとに切っちゃうんだから尾形さんって人はさぁ…。暗くなった画面は当たり前のようにすぐ次の着信を知らせてきたけど、尾形さんによってソファの上に投げ捨てられて、マナーモードの音だけがくぐもって聞こえてきた。その間も迷いのない手つきでパーカーの裾から侵入してきた手がブラのワイヤーに触れて背筋が震えた。
「尾形さん!やだ…」
「言ったろ。続きだ」
「なんで、やだって、あっ」
「そう言うな。すぐによくなる…」
尾形さんの太い指が、その感触をわざと知らしめるみたいにゆっくりとブラのふちをなぞりだした。後ろ手にまとめて拘束された手がびくともしなくて、朝とは違うんだってことが嫌でも分かった。よくない。全くよくない。尾形さん、全然よくないよ。よくしてもらっちゃ困るんだけど…!
そのうち背中に回った手があっさりとホックを外してしまった。
「私、ほんとに、やです…!」
「そうか」
心もとない胸元をかばうみたいに前かがみになっても、尾形さんの手が追っかけてきたら意味がなかった。滑り込んだ手のひらが胸に押し付けられて一瞬呼吸を止めてしまう。胸の輪郭をたどるみたいに添えられた手がその丸みを優しく撫でるので、もう鳥肌が止まらなかった。
たぶん、人差し指だと思う。胸を下から持ち上げるみたいに包みながら、伸ばされた指で先端をつつかれた。
「あっ…!」
「…そういう声を出すから」
「な、んですかそれ」
出させてるのは尾形さんじゃんか…!抗議しようとした瞬間に、ブラごとパーカーを捲り上げられた。お、お、尾形さん!何してるのこの人!さすがにこれ以上はダメだ。外気に晒された胸を尾形さんの指が好き勝手に這い回るのが見てられなくて目を背けたら、それをからかうみたいに先端を弾かれて、もう本当にダメだった。
「やだ、やです、見ないで」
「無茶言うな」
「あっ、や…っ」
固くなってしまった先端をつままれて、くにくにと刺激されると自分でも分かるくらい甘い声が出た。さっきから、私が弱い触り方ばっかりしてくる尾形さんが、なんかもう、本当に本当にダメだった。
「やだ、…杉元さん…っ」
「…、は?」
尾形さんの低い声が私の耳を侵すその後ろで、マナーモードの音はひっきりなしに続いていた。
スギモトノバカ。
2019.1.18
9:28
えっ
9:28
まって
9:29
三木ちゃん?
9:29
三木ちゃんなの?
9:30
ほんとに?
9:31
不在着信
9:32
不在着信
9:33
今どこ
9:34
不在着信
9:34
俺のこと覚えてる?
9:35
三木ちゃん
9:35
どこにいるの
9:35
不在着信
9:36
不在着信
……
「は?ウゼエ」
「尾形さん人のスマホいじるのやめて…」
そう言って素直に返してくれる人ならそもそも初めからそんなことしない。正論。
私がコーヒーを淹れている間に勝手に充電器からスマホを抜き取って、我が物顔で操作している尾形さんは、見つかってもどこ吹く風でいじり続けている。尾形さんてそういうとこあるよね…。目の前にコーヒーを差し出す代わりにスマホを抜き取ると不満そうな顔をされた。
「連絡取ってたのか」
「え?」
「杉元のバカと」
「スギモトノバカト…?」
そのスギモトノバカトというのがあの杉元さんのことを指していると、自分のスマホ画面を見て初めて理解できた。尾形さんによって開かれたトーク画面にびっしり表示された、杉元さんからのメッセージの羅列をスクロールして一番上まで戻ると「友だちとして追加されていないユーザーです」の一文が表示されていたので、おおかた白石さんに私の連絡先を教えてもらったのかなと予想がついた。
「杉元さん、元気そうですね」
「知らん」
「お、ひ、さ、し、ぶり、です…と」
「おい無視しとけ。ブロックしろ」
「尾形さんってさぁ…」
自分がされたら怒るくせに…。尾形さんは昔から杉元さんと何かと反発しあっていたので、今生でもその関係が継続されていることにちょっと笑ってしまった。似た者同士だから嫌っていたのか、それとも違いすぎるから分かり合えなかったのか。結局最後まで私には正解が見えなかったけど、まあ正直どっちでもいいかなと思って早々に放っておいたところもある。
「あ、電話」
「出るなよ」
「ええ〜…。…あ、もしもし?」
「おい…」
『三木ちゃん!?』
画面越しに聞こえてきた声が、記憶の中の杉元さんとピッタリ重なった。
始めに白石さんと出会ってから、尾形さんと続いて杉元さん。今更ながら本当に生きている現実に驚いちゃうな。小さい頃は前世の記憶があるなんて、自分がおかしいのかと思って何かと苦悩したものだけど、ていうか四日前までは悩みの種のひとつだったんだけど…。現実…なんだもんな…。そりゃ、多少浮かれてしまうのも仕方のないことだと思うよ。
「杉元さん、すごい、ひさしぶ」
『今どこ?』
「りですね…。ハ?」
『どこにいる』
「自宅」
『家どこ』
「ですけど…。あの?杉元さん?」
「ははッ」
噛み合わない会話をしていたら真後ろから吐息とともに尾形さんの笑い声が耳をかすめた。反射で振り向く前に、胸元に伸びてきた手に視線が引っ張られてしまう。何。何何何。
「お、おがたさ、」
『あ?』
「余裕ねえな」
『は?尾形?は?』
「ちょ、ちょっと待ってどこ触って」
『は?三木ちゃん?え?』
「朝の続きだ。邪魔すんな」
『は?…は!?』
後ろから体重をかけてくる尾形さんが、私の胸元をまさぐりながら杉元さんに話しかけるので、やっぱりこの人めちゃくちゃバカなんだと思った。杉元さんを挑発するのに私を使うのやめてほしい…。
「待って、やだ、尾形さん!っん、」
『待って尾形いんのそこに!おい!』
「うるせえな。切るぞ」
そこでほんとに切っちゃうんだから尾形さんって人はさぁ…。暗くなった画面は当たり前のようにすぐ次の着信を知らせてきたけど、尾形さんによってソファの上に投げ捨てられて、マナーモードの音だけがくぐもって聞こえてきた。その間も迷いのない手つきでパーカーの裾から侵入してきた手がブラのワイヤーに触れて背筋が震えた。
「尾形さん!やだ…」
「言ったろ。続きだ」
「なんで、やだって、あっ」
「そう言うな。すぐによくなる…」
尾形さんの太い指が、その感触をわざと知らしめるみたいにゆっくりとブラのふちをなぞりだした。後ろ手にまとめて拘束された手がびくともしなくて、朝とは違うんだってことが嫌でも分かった。よくない。全くよくない。尾形さん、全然よくないよ。よくしてもらっちゃ困るんだけど…!
そのうち背中に回った手があっさりとホックを外してしまった。
「私、ほんとに、やです…!」
「そうか」
心もとない胸元をかばうみたいに前かがみになっても、尾形さんの手が追っかけてきたら意味がなかった。滑り込んだ手のひらが胸に押し付けられて一瞬呼吸を止めてしまう。胸の輪郭をたどるみたいに添えられた手がその丸みを優しく撫でるので、もう鳥肌が止まらなかった。
たぶん、人差し指だと思う。胸を下から持ち上げるみたいに包みながら、伸ばされた指で先端をつつかれた。
「あっ…!」
「…そういう声を出すから」
「な、んですかそれ」
出させてるのは尾形さんじゃんか…!抗議しようとした瞬間に、ブラごとパーカーを捲り上げられた。お、お、尾形さん!何してるのこの人!さすがにこれ以上はダメだ。外気に晒された胸を尾形さんの指が好き勝手に這い回るのが見てられなくて目を背けたら、それをからかうみたいに先端を弾かれて、もう本当にダメだった。
「やだ、やです、見ないで」
「無茶言うな」
「あっ、や…っ」
固くなってしまった先端をつままれて、くにくにと刺激されると自分でも分かるくらい甘い声が出た。さっきから、私が弱い触り方ばっかりしてくる尾形さんが、なんかもう、本当に本当にダメだった。
「やだ、…杉元さん…っ」
「…、は?」
尾形さんの低い声が私の耳を侵すその後ろで、マナーモードの音はひっきりなしに続いていた。
スギモトノバカ。
2019.1.18