雨と姫
高校を卒業した俺たちは、その年の七月。
カップルバンド『四季雨』『四季姫』としてメジャーデビューした。
桜子の宣言通り、新人賞も異例の二組同時最優秀賞で巷を騒がせたのだが、カップルバンドつまりメンバー同士が付き合っているバンドなので、バンドと言うのは人気商売だからか最初はアンチファンが多く、上手くいかなかったけど、段々『四季雨』のファンが『四季姫』のファンになったり、その逆もあったりで、どんどん俺たちはファンを増やしていった。
その過程で、俺の幼馴染たちとその姫たちは次々婚約、結婚、出産。
めでたいこともたくさん起きて、でも、活動休止の時期とかもあり、波乱万丈な俺たちのバンドは、沢山のファンに愛された。
その中で、一番人気があったのが、他でもない、俺の桜子だ。
愛らしい容姿で、愛らしいソプラノで歌い、愛らしい笑顔でギターをかき鳴らす姿は、人々を熱狂させ、俺の彼女への想いも最高潮になっていた。
そして、今日は、ある音楽フェスの当日だ。
活動休止明け、椿姫の産休明けの久しぶりのライブだ。
酷暑にもかかわらず、野外にはたくさんの人が集まっている。
舞台袖で、桜子は、俺に抱き着いた。
「さ、桜子?!」
「蒼依くん、私を春姫にしてくれてありがとう」
俺はきつく桜子を抱きしめてから、その彼女の前に跪いた。
そして、桜の刻印がしてあるペアリングの箱を開けた。
「俺の恋人になってほしい」
舞台袖の他のメンバーは、「いや、まだ付き合ってなかったのか」と笑っているが、無視してやる。
「ようやく言ってくれた」
えへへ。と照れ笑いする桜子は、「これからも、よろしくね」と言って、左手を差し出してきてくれた。
俺は彼女の細く白い薬指に指輪を通す。
そして、俺の指にはその片割れを。
「やだ、いつサイズ知ったの?」
「内緒」
どうやらぴったりだ。
そして、この告白現場は白斗によってSNSで拡散され、色んなコメントで俺たちを溺れさせた。
こうして、俺は公私ともに大切なパートナーを獲得したのだった。
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