終焉の始祖
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リバースしているというのに自分を見つめる櫂の瞳はなんと優しいのだろうか。
――優しく、哀しい。
内なる炎を象徴するかの如く熱い唇を離した櫂は、先導の元へと進み出る。遠ざかる櫂の背中が、何故だか無性に泣きだしたい気持ちにさせた。
櫂に気を取られていた幸子であったが、側で聞こえた小さな呻き声にハッとしてそちらを注目した。
「レン君!!」
頭を抑え立ち上がった雀ヶ森に慌てて駆け寄る。
「レン君、大丈夫?!」
「幸子…?! はい、僕は大丈夫です。…そうか、アイチ君はタクトを倒したのか。それで僕のリバースがとけて……?!危ない、幸子!」
言葉を止めた雀ヶ森は幸子を庇うように己の許へと引き寄せた。
瞬間、ドオオオン!と大きな音を立てて上空に浮かぶ朽ちたリングの欠片が落下した。
崩壊が始まったのだ。
直にこのビルも崩れ去ることだろう。
「逃げましょう、幸子。櫂とアイチ君を連れて早く………!?」
微動だにしない櫂と先導に雀ヶ森は悟り、密かに微笑んだ。
「このファイトの邪魔はできませんね」
「レン君、みんなを連れて早く外へ逃げて」
「幸子、君も」
「私はここに残る。見届けたいの。最後まで」
説得されるかと思ったが、雀ヶ森はあっさりと引き下がった。幸子の答えを少なからず予期していたようだ。
「じゃあ先に行くよ」
「気をつけて」
「幸子もね」
「アイチ君とトシキと、絶対に3人で戻るから!」
雀ヶ森は笑みを浮かべて頷いた。
立ち去る雀ヶ森を見送り、幸子は再び櫂と先導を振り向いた。
「俺の中のリンクジョーカーの力は消えつつある。このデッキももうすぐ消える――。
今最強のお前と戦わなければ、この力を受け入れた意味がない」
だからこそ、この禍々しい力が消える前に試したい。自分が選んだ力が、果たして最強だったのかどうか。
「みんなをリバースさせるなんて、絶対にやっちゃいけないことだ!」
先導がその表情と同じく悲痛な叫びを上げた。
純粋な先導はきっと分からない。
強さへの渇望。
強くなる事ならどんな事でもする――その貪欲なまでの欲求。
それはヴァンガードファイターの運命なのだ。
「分かっている。俺がした事は許されない事だ。俺は俺を罰しなければならない。この罪を一生背負っていく」
リンクジョーカーに魂を売った己の罪は、地球が救われたからといって消えるわけではない。
「俺はお前達を傷つけるだけの存在なのだ。俺は消える。お前達の前から永遠にな」
赤閃く翡翠が意志を持ち静かに告げた。
――優しく、哀しい。
内なる炎を象徴するかの如く熱い唇を離した櫂は、先導の元へと進み出る。遠ざかる櫂の背中が、何故だか無性に泣きだしたい気持ちにさせた。
櫂に気を取られていた幸子であったが、側で聞こえた小さな呻き声にハッとしてそちらを注目した。
「レン君!!」
頭を抑え立ち上がった雀ヶ森に慌てて駆け寄る。
「レン君、大丈夫?!」
「幸子…?! はい、僕は大丈夫です。…そうか、アイチ君はタクトを倒したのか。それで僕のリバースがとけて……?!危ない、幸子!」
言葉を止めた雀ヶ森は幸子を庇うように己の許へと引き寄せた。
瞬間、ドオオオン!と大きな音を立てて上空に浮かぶ朽ちたリングの欠片が落下した。
崩壊が始まったのだ。
直にこのビルも崩れ去ることだろう。
「逃げましょう、幸子。櫂とアイチ君を連れて早く………!?」
微動だにしない櫂と先導に雀ヶ森は悟り、密かに微笑んだ。
「このファイトの邪魔はできませんね」
「レン君、みんなを連れて早く外へ逃げて」
「幸子、君も」
「私はここに残る。見届けたいの。最後まで」
説得されるかと思ったが、雀ヶ森はあっさりと引き下がった。幸子の答えを少なからず予期していたようだ。
「じゃあ先に行くよ」
「気をつけて」
「幸子もね」
「アイチ君とトシキと、絶対に3人で戻るから!」
雀ヶ森は笑みを浮かべて頷いた。
立ち去る雀ヶ森を見送り、幸子は再び櫂と先導を振り向いた。
「俺の中のリンクジョーカーの力は消えつつある。このデッキももうすぐ消える――。
今最強のお前と戦わなければ、この力を受け入れた意味がない」
だからこそ、この禍々しい力が消える前に試したい。自分が選んだ力が、果たして最強だったのかどうか。
「みんなをリバースさせるなんて、絶対にやっちゃいけないことだ!」
先導がその表情と同じく悲痛な叫びを上げた。
純粋な先導はきっと分からない。
強さへの渇望。
強くなる事ならどんな事でもする――その貪欲なまでの欲求。
それはヴァンガードファイターの運命なのだ。
「分かっている。俺がした事は許されない事だ。俺は俺を罰しなければならない。この罪を一生背負っていく」
リンクジョーカーに魂を売った己の罪は、地球が救われたからといって消えるわけではない。
「俺はお前達を傷つけるだけの存在なのだ。俺は消える。お前達の前から永遠にな」
赤閃く翡翠が意志を持ち静かに告げた。