誘う虚無
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ファイトは進む。
互いにダメージ4のまま、グレード3に突入しようとしていた。
幸子は改めて櫂トシキというファイターの実力を思い知らされていた。
指先で手札を触りながら、小さく微笑む。
「やっぱり強いね。闘ってみると、トシキの強さがよく分かるよ」
「!?…」
櫂は真っ直ぐ相手を見据えたまま、黙って幸子の次の言葉を待つ。
そう、櫂は強い。
今だって充分すぎる程に。
「……でも、それだけじゃ足りなかったんだね」
三和は言っていた。
櫂が及ばないと感じるほど――先導と雀ヶ森は強くなった、と。
「そうだ。俺は前へ進む。アイチやレンを倒し、最強になる為に…!!」
櫂の声は静かだったが、みなぎる闘志が伝わってくる。
それだけ追いつめられていたのだ、櫂は。いや そこまで己を追いつめてしまったのだ、櫂は。
「……トシキが苦しんでいるのは、なんとなく気づいてた」
気づいていたが、どうにも出来なかった。
見守るだけでいた自分が悔やまれる。だからこそ、同じ過ちは繰り返したくない。
幸子は大きく息を吸い込み、ツンとこみ上げてくる涙をひっこめた。
手札から顔をあげ、真正面から櫂を見る。
「こんなやり方間違ってる…!! こんなの全然トシキらしくないよ」
想いが少しでも届けばいいと願いながら、幸子はカードを引いた。
「……っ…」
暫しカードに見入る。
今この時ここで、このカードを引くなんて…。
「ねえ、トシキ…私のこのデッキ覚えてる?」
「?……」
「これね、ヴァンガードを始めた頃 トシキが一緒に作ってくれたデッキなんだよ?」
「……」
「あなたのおかげでヴァンガードの楽しさを知った。私にとってヴァンガードは……いつでも『=トシキ』だった」
いつも孤高で自分に厳しくて、なのに心根は誰よりも優しい。
そんなあなたを、私は――‥
「私はこれからもトシキと一緒にいたい。ヴァンガードをしたい。だからこれで――あなたの目を覚ます!」
幸子はドローしたカードをヴァンガードサークルへと勢いよく置いた。
「ライド! ドラゴニック・オーバーロード!!」
巨大な竜の戦士が幸子の背後に現れた。
互いにダメージ4のまま、グレード3に突入しようとしていた。
幸子は改めて櫂トシキというファイターの実力を思い知らされていた。
指先で手札を触りながら、小さく微笑む。
「やっぱり強いね。闘ってみると、トシキの強さがよく分かるよ」
「!?…」
櫂は真っ直ぐ相手を見据えたまま、黙って幸子の次の言葉を待つ。
そう、櫂は強い。
今だって充分すぎる程に。
「……でも、それだけじゃ足りなかったんだね」
三和は言っていた。
櫂が及ばないと感じるほど――先導と雀ヶ森は強くなった、と。
「そうだ。俺は前へ進む。アイチやレンを倒し、最強になる為に…!!」
櫂の声は静かだったが、みなぎる闘志が伝わってくる。
それだけ追いつめられていたのだ、櫂は。いや そこまで己を追いつめてしまったのだ、櫂は。
「……トシキが苦しんでいるのは、なんとなく気づいてた」
気づいていたが、どうにも出来なかった。
見守るだけでいた自分が悔やまれる。だからこそ、同じ過ちは繰り返したくない。
幸子は大きく息を吸い込み、ツンとこみ上げてくる涙をひっこめた。
手札から顔をあげ、真正面から櫂を見る。
「こんなやり方間違ってる…!! こんなの全然トシキらしくないよ」
想いが少しでも届けばいいと願いながら、幸子はカードを引いた。
「……っ…」
暫しカードに見入る。
今この時ここで、このカードを引くなんて…。
「ねえ、トシキ…私のこのデッキ覚えてる?」
「?……」
「これね、ヴァンガードを始めた頃 トシキが一緒に作ってくれたデッキなんだよ?」
「……」
「あなたのおかげでヴァンガードの楽しさを知った。私にとってヴァンガードは……いつでも『=トシキ』だった」
いつも孤高で自分に厳しくて、なのに心根は誰よりも優しい。
そんなあなたを、私は――‥
「私はこれからもトシキと一緒にいたい。ヴァンガードをしたい。だからこれで――あなたの目を覚ます!」
幸子はドローしたカードをヴァンガードサークルへと勢いよく置いた。
「ライド! ドラゴニック・オーバーロード!!」
巨大な竜の戦士が幸子の背後に現れた。