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雑踏を抜け、福原高校へ向かう道すがら。
「何してんだ、木梨?」
突如かけられた声に、幸子はビクリとして足を止めた。
エスコートする雀ヶ森を仰ぎ見れば、いつになく険しい顔をしていた。しかし幸子が己を見ていると知るや否や大丈夫というように頷き、くるりと体勢を変えた。
雀ヶ森が体勢を変えた事により、幸子は声の主と真正面から向き合う。
「三和君…」
確かに三和であったが、いつもの明るい雰囲気はそこにない。
リバースしているのだと…瞬時に悟る。
「櫂に隠れて雀ヶ森レンとよろしくやってんのか?」
「そんな事してない…!!」
「じゃあ何であいつの家であいつを待っていてやらなかった? 櫂がお前を探してるってのによ」
「そ、それは……」
「所詮お前が櫂を想う気持ちなんてそんなモンなんだろ?」
「違う!!」
違いやしねぇさ――そう言って三和は薄く笑った。
幸子だけではなく、福原のメンバーも彼の様子がおかしな事に気づいたらしい。
「ちょっと! レン様とよろしくやってたなんて勘違いも甚だしいけど、木梨幸子は櫂トシキを裏切ったりしないわ!!」
「アサカさん…」
こと雀ヶ森になると当たりの強い鳴海であるが、そんな彼女だからこそ、味方についてくれるなど想定外で嬉しさが込み上げてきた。
だが三和はそんな鳴海を「威勢の良い姉ちゃんだ」と嘲笑っただけでやり過ごした。あくまでターゲットは幸子なのだ。
「しかし木梨、お前もすげー女だな。櫂を追いつめた本人に取り入ってるなんてさ。
それがお前の愛のカタチか?」
再び三和によって紡がれたその言葉。しかし以前とは全く違う意味を持って幸子にのし掛かった。
言うべき言葉を失っている幸子の代わりに雀ヶ森が口を開いた。
「どういう意味です?――僕が櫂を追いつめた!?」
「そうさ。正確には、あんたとアイチ、がな」
いつになく厳しく責めるような目で雀ヶ森を見ながら三和は続ける。
「あんたらは強くなった。櫂が及ばないと感じるほどに――。だから奴は力を得たんだ。雀ヶ森レン。あんたとアイチに並び立つ為に」
櫂程の男がそこまで自分達に脅威を感じていた事に驚く反面、力を追求する彼ならば…という思いもある。
(櫂がリバースしているなんて…)
それでもにわかに信じがたかった。
「……それで君は、櫂の許に嫌がる幸子を無理矢理連れて行こうというんですか?」
「櫂が木梨を望んでいる」
悪びれた様子もなく三和は言う。
「友にとっていいと思えることの為に俺は行く」
それはリバースにより曲がってしまった友情だった。
「何してんだ、木梨?」
突如かけられた声に、幸子はビクリとして足を止めた。
エスコートする雀ヶ森を仰ぎ見れば、いつになく険しい顔をしていた。しかし幸子が己を見ていると知るや否や大丈夫というように頷き、くるりと体勢を変えた。
雀ヶ森が体勢を変えた事により、幸子は声の主と真正面から向き合う。
「三和君…」
確かに三和であったが、いつもの明るい雰囲気はそこにない。
リバースしているのだと…瞬時に悟る。
「櫂に隠れて雀ヶ森レンとよろしくやってんのか?」
「そんな事してない…!!」
「じゃあ何であいつの家であいつを待っていてやらなかった? 櫂がお前を探してるってのによ」
「そ、それは……」
「所詮お前が櫂を想う気持ちなんてそんなモンなんだろ?」
「違う!!」
違いやしねぇさ――そう言って三和は薄く笑った。
幸子だけではなく、福原のメンバーも彼の様子がおかしな事に気づいたらしい。
「ちょっと! レン様とよろしくやってたなんて勘違いも甚だしいけど、木梨幸子は櫂トシキを裏切ったりしないわ!!」
「アサカさん…」
こと雀ヶ森になると当たりの強い鳴海であるが、そんな彼女だからこそ、味方についてくれるなど想定外で嬉しさが込み上げてきた。
だが三和はそんな鳴海を「威勢の良い姉ちゃんだ」と嘲笑っただけでやり過ごした。あくまでターゲットは幸子なのだ。
「しかし木梨、お前もすげー女だな。櫂を追いつめた本人に取り入ってるなんてさ。
それがお前の愛のカタチか?」
再び三和によって紡がれたその言葉。しかし以前とは全く違う意味を持って幸子にのし掛かった。
言うべき言葉を失っている幸子の代わりに雀ヶ森が口を開いた。
「どういう意味です?――僕が櫂を追いつめた!?」
「そうさ。正確には、あんたとアイチ、がな」
いつになく厳しく責めるような目で雀ヶ森を見ながら三和は続ける。
「あんたらは強くなった。櫂が及ばないと感じるほどに――。だから奴は力を得たんだ。雀ヶ森レン。あんたとアイチに並び立つ為に」
櫂程の男がそこまで自分達に脅威を感じていた事に驚く反面、力を追求する彼ならば…という思いもある。
(櫂がリバースしているなんて…)
それでもにわかに信じがたかった。
「……それで君は、櫂の許に嫌がる幸子を無理矢理連れて行こうというんですか?」
「櫂が木梨を望んでいる」
悪びれた様子もなく三和は言う。
「友にとっていいと思えることの為に俺は行く」
それはリバースにより曲がってしまった友情だった。