突きつける選択
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「難しく考えることはありませんよ。幸子は自分の守りたいものを守ればいい」
雀ヶ森の言葉は、身動きが取れずにいた幸子の背中を押した。
守りたいものを守る――
守りたいと思うものなどひとつしかない。
(トシキ……)
そうだ。私は彼を守りたい――。
それからはいつ帰るか分からない櫂を彼の自宅で待つのをやめ、外へ出た。
生きるのだ。己の生活を。
「ユッキー、お待たせしました」
駅前のカードショップ。
ほわんとした穏やかな声に振り返れば、声の主である雀ヶ森レンと――
「ちょっと木梨幸子! 抜け駆けしてレン様と2人きりで会おうなんてどういうつもり!?」
「うふふ。櫂トシキから乗り換えた…って事で間違いないかしら?」
「なんですって?!! 許さないわよ!!!」
「落ち着けアサカ」
鳴海アサカ、立凪スイコ、そして新城テツといった福原高校の錚々たる顔触れだった。
「アサカさん、そんな気はないから安心して下さい」
「そうですよアサカ。ユッキーは櫂に心底惚れているんですから、そんな事あり得ません」
「れ、レン君…っ!!」
しれっと恥ずかしいことを言われてしまった…。
「今日は2人でのんびり食事でもしようとユッキーを誘ったんです」
飛び出した爆弾発言に、雀ヶ森至上主義の鳴海は短い悲鳴をあげてフリーズした。そんな鳴海を横目で確認しながら、新城はボソボソと雀ヶ森に忠告する。
「しかし…木梨とお前が2人きりで会っていたら、それこそ櫂が――」
「いいんです、テツ」
いつになくぴしゃりとはね除ける。
「彼女には今、そんな時間が必要なんですから」
ねっ、ユッキー?――と屈託ない笑顔で言われた。
雀ヶ森レンとは本当に不思議な人だ。
こうして全てを包容し、丸く納めてしまうのだから。
だからこそ、彼の好意を無にしたくない。
「そうだ。レン君、せっかくだからみんなで一緒にご飯食べようよっ」
「さすがユッキー、それは名案ですね♪」
「ま、まあ…レン様がそうおっしゃるなら」
「素直に嬉しいって言えばいいのに」
からかうスイコを(雀ヶ森からは見えないように)鳴海が睨み付けた。それをまた新城が諌める。
なんだかんだでチームワークが良い福原を見て自然と頬が緩む。
「可笑しいですか?」
「仲がいいんだな、って思って」
「やっぱり幸子には笑顔が似合います」
誰にも聞こえないよう、雀ヶ森がそっと耳打ちした。
雀ヶ森の言葉は、身動きが取れずにいた幸子の背中を押した。
守りたいものを守る――
守りたいと思うものなどひとつしかない。
(トシキ……)
そうだ。私は彼を守りたい――。
それからはいつ帰るか分からない櫂を彼の自宅で待つのをやめ、外へ出た。
生きるのだ。己の生活を。
「ユッキー、お待たせしました」
駅前のカードショップ。
ほわんとした穏やかな声に振り返れば、声の主である雀ヶ森レンと――
「ちょっと木梨幸子! 抜け駆けしてレン様と2人きりで会おうなんてどういうつもり!?」
「うふふ。櫂トシキから乗り換えた…って事で間違いないかしら?」
「なんですって?!! 許さないわよ!!!」
「落ち着けアサカ」
鳴海アサカ、立凪スイコ、そして新城テツといった福原高校の錚々たる顔触れだった。
「アサカさん、そんな気はないから安心して下さい」
「そうですよアサカ。ユッキーは櫂に心底惚れているんですから、そんな事あり得ません」
「れ、レン君…っ!!」
しれっと恥ずかしいことを言われてしまった…。
「今日は2人でのんびり食事でもしようとユッキーを誘ったんです」
飛び出した爆弾発言に、雀ヶ森至上主義の鳴海は短い悲鳴をあげてフリーズした。そんな鳴海を横目で確認しながら、新城はボソボソと雀ヶ森に忠告する。
「しかし…木梨とお前が2人きりで会っていたら、それこそ櫂が――」
「いいんです、テツ」
いつになくぴしゃりとはね除ける。
「彼女には今、そんな時間が必要なんですから」
ねっ、ユッキー?――と屈託ない笑顔で言われた。
雀ヶ森レンとは本当に不思議な人だ。
こうして全てを包容し、丸く納めてしまうのだから。
だからこそ、彼の好意を無にしたくない。
「そうだ。レン君、せっかくだからみんなで一緒にご飯食べようよっ」
「さすがユッキー、それは名案ですね♪」
「ま、まあ…レン様がそうおっしゃるなら」
「素直に嬉しいって言えばいいのに」
からかうスイコを(雀ヶ森からは見えないように)鳴海が睨み付けた。それをまた新城が諌める。
なんだかんだでチームワークが良い福原を見て自然と頬が緩む。
「可笑しいですか?」
「仲がいいんだな、って思って」
「やっぱり幸子には笑顔が似合います」
誰にも聞こえないよう、雀ヶ森がそっと耳打ちした。