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普段の日常に身を委ねる直前、急に櫂への罪悪感を感じてカードキャピタルを飛び出してきてしまった。
ツカツカと足早に歩く幸子の頭には愛しい恋人の後姿が焼きつき、三和の言葉がBGMのように何度も反芻されていた。
(私…何してるんだろう…)
櫂がリバースされているとほぼ確信しているのに…。
もう事態は動きだしているというのに…。
なのに現実から逃げ、一時の心の安息を求めている。これではただの現実逃避だ。
『これがお前の愛のカタチか?』
三和の言葉が忘れられない。
櫂の全てを肯定し、従うことが自分の愛のカタチなのか。
(――違う)
ただ、櫂の傍にいられれば良かった。
櫂の傍で、櫂だけを見て、櫂と笑いあう。それだけで幸せだった。
(私は――トシキがリバースしている事を…認めたくない…の…?)
何故?
彼に嫌われたくないから?
彼との関係が変わってしまうかもしれないから?
多分、そのどっちも。
(トシキを失うのが怖い…)
それが素直な本音だ。
だが櫂は既にリバースしているのだ。
本来の彼でないのならば、もう失いかけているではないか。それとも、自分が愛してるのは櫂の器だとでも言うのか。
(――違う。違う違う!)
私はトシキを――‥
「あれ~、ユッキーじゃないですか」
「――!?」
思い詰めた空気を破るような、ほわーっとした穏やかな声に振り向くと、福原の制服に身を包んだ雀ヶ森が立っていた。
この純白の制服が雀ヶ森以上に似合う人は、まずいないと推測する。
「っ、レン君……」
「やっぱりユッキーだ。最近よく会いますね。きっと――!」
柔らかい笑顔を浮かべた雀ヶ森は、言い終える前に言葉を止めた。幸子の瞳が潤んでいるのに気づいたからだ。
「ユッキー?!」
「好きなんだもん。だって…ずっと…。分かっていても…失いたくなくて。どうしたらいいか分からないの…」
「……」
彼女の途切れ途切れの言葉を黙って聞いていた雀ヶ森は、左手を伸ばして幸子の腰をそっと抱き寄せた。
「っ、レン君…!?」
腰を引き寄せた手はあがり、背中を撫でる。
「泣かないで、幸子」
「っ…」
雀ヶ森の顔が近づき、耳許で低くも高くもないちょうどよい音域が優しく響く。
「離れたくないよ……!!」
塞き止められていた感情が一気に吹き出し、幸子は雀ヶ森の胸に顔を埋めたまま わんわんと大声で泣いた。
ツカツカと足早に歩く幸子の頭には愛しい恋人の後姿が焼きつき、三和の言葉がBGMのように何度も反芻されていた。
(私…何してるんだろう…)
櫂がリバースされているとほぼ確信しているのに…。
もう事態は動きだしているというのに…。
なのに現実から逃げ、一時の心の安息を求めている。これではただの現実逃避だ。
『これがお前の愛のカタチか?』
三和の言葉が忘れられない。
櫂の全てを肯定し、従うことが自分の愛のカタチなのか。
(――違う)
ただ、櫂の傍にいられれば良かった。
櫂の傍で、櫂だけを見て、櫂と笑いあう。それだけで幸せだった。
(私は――トシキがリバースしている事を…認めたくない…の…?)
何故?
彼に嫌われたくないから?
彼との関係が変わってしまうかもしれないから?
多分、そのどっちも。
(トシキを失うのが怖い…)
それが素直な本音だ。
だが櫂は既にリバースしているのだ。
本来の彼でないのならば、もう失いかけているではないか。それとも、自分が愛してるのは櫂の器だとでも言うのか。
(――違う。違う違う!)
私はトシキを――‥
「あれ~、ユッキーじゃないですか」
「――!?」
思い詰めた空気を破るような、ほわーっとした穏やかな声に振り向くと、福原の制服に身を包んだ雀ヶ森が立っていた。
この純白の制服が雀ヶ森以上に似合う人は、まずいないと推測する。
「っ、レン君……」
「やっぱりユッキーだ。最近よく会いますね。きっと――!」
柔らかい笑顔を浮かべた雀ヶ森は、言い終える前に言葉を止めた。幸子の瞳が潤んでいるのに気づいたからだ。
「ユッキー?!」
「好きなんだもん。だって…ずっと…。分かっていても…失いたくなくて。どうしたらいいか分からないの…」
「……」
彼女の途切れ途切れの言葉を黙って聞いていた雀ヶ森は、左手を伸ばして幸子の腰をそっと抱き寄せた。
「っ、レン君…!?」
腰を引き寄せた手はあがり、背中を撫でる。
「泣かないで、幸子」
「っ…」
雀ヶ森の顔が近づき、耳許で低くも高くもないちょうどよい音域が優しく響く。
「離れたくないよ……!!」
塞き止められていた感情が一気に吹き出し、幸子は雀ヶ森の胸に顔を埋めたまま わんわんと大声で泣いた。