優しい口づけを交わし、改めて櫂の腕に抱かれ そのまま二度目の眠りについた２人は、二時間後 温かいまどろみから覚めた。
黒いＴシャツの上にシャツを羽織り 短パンという いかにも南の島らしいラフな格好に着替えた櫂は、先に部屋を出ていった。
幸子はといえば、そのまま備え付けの浴室に入っていく。シャワーで汗を流し、この日の為に新調した水着に着替えた。
櫂と落ち合うべくテラスへ移動する途中で雀ヶ森に声をかけられる。
「ユッキー、ビーチバレーしませんか？」
ビーチボールを手に屈託なく笑う雀ヶ森と、彼をうっとりと見つめる鳴海。
楽しそうだ…と思いつつ、幸子は両手を軽く合わせた。
「すっごい楽しそう!! …なんだけど、トシキとテラスで待ち合わせしてるの」
「そうですか。それは残念です」
「トシキも誘ってみるね。…可能性は低そうだけど」
「正解です。さすがユッキー♪」
パチパチと屈託ない笑顔で手を叩く雀ヶ森。
「さっき櫂も誘ってみたんですけど…「断る」って言われちゃいました」
「あは、そう…なんだ」
雀ヶ森は丁寧に櫂の声真似までしてくれる。案外サービス精神旺盛だ。
「まあ、仕方ないですね。櫂はきっとユッキーと楽しみたいんでしょうし…」
「へっ!?」
「ミサッキーでも誘ってみます。暫くペンションには戻らないんで安心して下さい」
「？？？」
それじゃあ…と鳴海を連れて歩きかけた雀ヶ森は、くるりと振り返った。そして意味ありげに一言。
「その水着…よく似合ってますよ、幸子」