カラスの遠征
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7月の或る暑い週末。
期末テストも終わり、周囲の生徒達が夏休みを直前にして浮き足立つ中。
音駒高校男子バレーボール部は恒例の梟谷グループ合宿を迎えようとしていた。
今回の合宿は土日の2日のみで、夏に入ると本格的な長期合宿に入る。いつもと違うのは――‥
「今度の週末合宿、烏野も来るんだよね」
金曜の部活終わり。
幼馴染み3人で帰宅中、隣を歩く孤爪に幸子が嬉々として話しかけた。
「うん、そうみたいだね」
携帯ゲーム機から顔を上げずに孤爪が頷いた。
これが孤爪の通常運転なので然して気にも留めずに幸子は会話を続ける。
「あの子も来るんじゃない? ほら、烏野の」
「翔陽?」
「うん、そう!」
「来るみたいだよ。メールで言ってた」
「そっかぁ、楽しみだね」
孤爪がちょっとだけ顔を上げてニコッと控え目な笑みを見せる。やっぱり楽しみにしてるんだと思うとなんだか嬉しくなった。
「あのチビちゃんが来るんじゃ、お前もちっとはヤル気になるのかね」
幸子の逆隣から黒尾が孤爪に言う。
孤爪は既に携帯ゲーム機に視線を戻していた。
「どうかな。翔陽に逢えるのは楽しみだけど、合宿はめんどくさい」
全く孤爪らしい返答に苦笑してしまう。それにしても、
「烏野のみんな、元気かな」
「そーいや幸子、烏野のマネージャーと連絡取り合ってんだろ?」
烏野のマネージャーである清水とはゴールデンウィーク合宿の時にアドレス交換していた。
以来、他愛のない話から部活の話まで、何でも話せる友人として交流が続いている。
「うん、そうなんだ。そう言えば烏野に新しく女子マネージャーが入部したんだって」
「……虎がショックを受けそうだね」
「だな」
2人の反応を聞いて、確かに…と幸子も思った。たまにマネージャーが、恋人のいる自分しかいないのが山本に申し訳なくなる。
「でもさ、研磨は日向くんと、私は潔子ちゃんと交流があるってコトは…もしかして鉄朗も、烏野の主将さんと連絡取り合ってたりして?」
「そりゃねえな」
「はは、…だよね」
半分以上冗談であったが、やはりあっさりと否定されてしまった。
「…でも、浮き足立ってもいられねえな」
前を向いた黒尾が一瞬真剣な表情を見せた。
その通りだ。
自分達はインターハイ予選で負けた。
もう春高予選に向けての戦いは始まっている。
幸子は繋いでいる黒尾の大きな手をきゅっと握りしめた。それに気づいて黒尾は幸子を見る。
「合宿、頑張ろうね」
「俺達の目標への第一歩だからな」
黒尾が頼もしく笑った。
期末テストも終わり、周囲の生徒達が夏休みを直前にして浮き足立つ中。
音駒高校男子バレーボール部は恒例の梟谷グループ合宿を迎えようとしていた。
今回の合宿は土日の2日のみで、夏に入ると本格的な長期合宿に入る。いつもと違うのは――‥
「今度の週末合宿、烏野も来るんだよね」
金曜の部活終わり。
幼馴染み3人で帰宅中、隣を歩く孤爪に幸子が嬉々として話しかけた。
「うん、そうみたいだね」
携帯ゲーム機から顔を上げずに孤爪が頷いた。
これが孤爪の通常運転なので然して気にも留めずに幸子は会話を続ける。
「あの子も来るんじゃない? ほら、烏野の」
「翔陽?」
「うん、そう!」
「来るみたいだよ。メールで言ってた」
「そっかぁ、楽しみだね」
孤爪がちょっとだけ顔を上げてニコッと控え目な笑みを見せる。やっぱり楽しみにしてるんだと思うとなんだか嬉しくなった。
「あのチビちゃんが来るんじゃ、お前もちっとはヤル気になるのかね」
幸子の逆隣から黒尾が孤爪に言う。
孤爪は既に携帯ゲーム機に視線を戻していた。
「どうかな。翔陽に逢えるのは楽しみだけど、合宿はめんどくさい」
全く孤爪らしい返答に苦笑してしまう。それにしても、
「烏野のみんな、元気かな」
「そーいや幸子、烏野のマネージャーと連絡取り合ってんだろ?」
烏野のマネージャーである清水とはゴールデンウィーク合宿の時にアドレス交換していた。
以来、他愛のない話から部活の話まで、何でも話せる友人として交流が続いている。
「うん、そうなんだ。そう言えば烏野に新しく女子マネージャーが入部したんだって」
「……虎がショックを受けそうだね」
「だな」
2人の反応を聞いて、確かに…と幸子も思った。たまにマネージャーが、恋人のいる自分しかいないのが山本に申し訳なくなる。
「でもさ、研磨は日向くんと、私は潔子ちゃんと交流があるってコトは…もしかして鉄朗も、烏野の主将さんと連絡取り合ってたりして?」
「そりゃねえな」
「はは、…だよね」
半分以上冗談であったが、やはりあっさりと否定されてしまった。
「…でも、浮き足立ってもいられねえな」
前を向いた黒尾が一瞬真剣な表情を見せた。
その通りだ。
自分達はインターハイ予選で負けた。
もう春高予選に向けての戦いは始まっている。
幸子は繋いでいる黒尾の大きな手をきゅっと握りしめた。それに気づいて黒尾は幸子を見る。
「合宿、頑張ろうね」
「俺達の目標への第一歩だからな」
黒尾が頼もしく笑った。