風邪の特効薬ネコ
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前髪を分けて額に置かれた大きな手のひら。
次いで唇に触れた優しい感触に幸子は眠りから醒めた。
「ん…」
「起こしちまったか」
「てつ、ろ…?」
「声掠れてんな。喉辛くないか?」
目を開けると制服姿の黒尾が幸子の顔を覗き込むようにしてベッドサイドに立っていた。
黒尾が……そこにいる。
「てつろ…」
まだふわふわしてる頭では何も考えられず、ただただ黒尾がいてくれたのが嬉しくて、甘えるように両手を伸ばした。
黒尾の首に腕を絡め弱い力で引き寄せようとすると、意図に気づいた黒尾が自ら顔を近づけてくれた。
そのまま唇が重なる。
その感触が現実のものとなり、幸子の意識は一気に覚醒した。
「て、鉄朗っ?!!」
慌てて黒尾から離れると上体を起こしてなるべく彼と距離を取る。
「くっついたり離れたり、忙しいな幸子は」
「な、なんでここにいるのっ!?」
「後で看病に行くって言ったろ?」
「来ないでって頼んだ!」
「俺が行くって言ったんだから来ていいの」
黒尾らしい言い分で幸子の意見を跳ね除けた後、彼の口角が引き上がる。
「キスせがんできたりして――ホントは逢いたかったクセに~」
「…っ、あれは寝ぼけてただけなのっ!!」
「へいへい。そーいうコトにしといてやんよ」
「‥~~ッ」
顔が赤いのは熱のせいではないと断言できる。
「ん、コイツ…?」
ふと枕元に置かれた黒ネコの置物に気づき、黒尾は不思議そうな顔でそれを眺めた。
「鉄朗がお祭りで取ってくれたネコちゃんだよ」
「ああ、覚えてる。なんでコイツが幸子の枕元にいんだ?」
「一緒に寝てたから」
「……は?」
思いの外黒尾が怪訝そうな顔をしたので、幸子はドキリとした。
……引かれてしまっただろうか。
「あの、その子 鉄朗に似てない?」
「あの時もそんな風に言ってたな」
黒尾は祭の時を思い出している様子だ。
「鉄朗に似た黒ネコだから"黒尾ネコ"――なんてどうかな?」
誤魔化そうとしたが、もはや自分が何を言っているのかよく分からない。
黒尾は幸子と黒ネコ…黒尾ネコを交互に眺めていたが、急にいつものニヒルな笑みを見せた。
「ほほう。つまり俺が恋しくて俺に似たコイツと一緒に寝てた、と」
「っ……」
その通りだがはっきり言われると恥ずかしい。
俯き加減でコクリと頷けば、黒尾は満更でもなさそうな笑みを見せた。
「じゃ、コイツはもうお役御免だな」
ペチッと黒尾ネコを軽く叩く。
「ちょ、鉄朗。ネコちゃんに何するの!?」
「代わりとはいえ俺の彼女に添い寝してたんだ。調子のりすぎだろ?」
巻き添えを食ってしまった黒尾ネコに申し訳なく思いながらも、黒尾が小さな嫉妬を見せてくれたのを嬉しく感じてしまう自分もいて。
「という訳で」
「っ、鉄朗!?」
ベッドに上がってきた黒尾を止める間もなく抱き寄せられ、気がつけば彼の腕の中。
黒尾ネコはベッドボードに戻されていた。
「ここからは俺が添い寝してやるよ」
「――~っ」
そうして再び近づいてくる黒尾の唇に、慌てて制止を入れるが――。
「待って鉄朗。風邪うつっちゃう」
「うつらねえよ」
そのまま唇を塞がれた。
次いで唇に触れた優しい感触に幸子は眠りから醒めた。
「ん…」
「起こしちまったか」
「てつ、ろ…?」
「声掠れてんな。喉辛くないか?」
目を開けると制服姿の黒尾が幸子の顔を覗き込むようにしてベッドサイドに立っていた。
黒尾が……そこにいる。
「てつろ…」
まだふわふわしてる頭では何も考えられず、ただただ黒尾がいてくれたのが嬉しくて、甘えるように両手を伸ばした。
黒尾の首に腕を絡め弱い力で引き寄せようとすると、意図に気づいた黒尾が自ら顔を近づけてくれた。
そのまま唇が重なる。
その感触が現実のものとなり、幸子の意識は一気に覚醒した。
「て、鉄朗っ?!!」
慌てて黒尾から離れると上体を起こしてなるべく彼と距離を取る。
「くっついたり離れたり、忙しいな幸子は」
「な、なんでここにいるのっ!?」
「後で看病に行くって言ったろ?」
「来ないでって頼んだ!」
「俺が行くって言ったんだから来ていいの」
黒尾らしい言い分で幸子の意見を跳ね除けた後、彼の口角が引き上がる。
「キスせがんできたりして――ホントは逢いたかったクセに~」
「…っ、あれは寝ぼけてただけなのっ!!」
「へいへい。そーいうコトにしといてやんよ」
「‥~~ッ」
顔が赤いのは熱のせいではないと断言できる。
「ん、コイツ…?」
ふと枕元に置かれた黒ネコの置物に気づき、黒尾は不思議そうな顔でそれを眺めた。
「鉄朗がお祭りで取ってくれたネコちゃんだよ」
「ああ、覚えてる。なんでコイツが幸子の枕元にいんだ?」
「一緒に寝てたから」
「……は?」
思いの外黒尾が怪訝そうな顔をしたので、幸子はドキリとした。
……引かれてしまっただろうか。
「あの、その子 鉄朗に似てない?」
「あの時もそんな風に言ってたな」
黒尾は祭の時を思い出している様子だ。
「鉄朗に似た黒ネコだから"黒尾ネコ"――なんてどうかな?」
誤魔化そうとしたが、もはや自分が何を言っているのかよく分からない。
黒尾は幸子と黒ネコ…黒尾ネコを交互に眺めていたが、急にいつものニヒルな笑みを見せた。
「ほほう。つまり俺が恋しくて俺に似たコイツと一緒に寝てた、と」
「っ……」
その通りだがはっきり言われると恥ずかしい。
俯き加減でコクリと頷けば、黒尾は満更でもなさそうな笑みを見せた。
「じゃ、コイツはもうお役御免だな」
ペチッと黒尾ネコを軽く叩く。
「ちょ、鉄朗。ネコちゃんに何するの!?」
「代わりとはいえ俺の彼女に添い寝してたんだ。調子のりすぎだろ?」
巻き添えを食ってしまった黒尾ネコに申し訳なく思いながらも、黒尾が小さな嫉妬を見せてくれたのを嬉しく感じてしまう自分もいて。
「という訳で」
「っ、鉄朗!?」
ベッドに上がってきた黒尾を止める間もなく抱き寄せられ、気がつけば彼の腕の中。
黒尾ネコはベッドボードに戻されていた。
「ここからは俺が添い寝してやるよ」
「――~っ」
そうして再び近づいてくる黒尾の唇に、慌てて制止を入れるが――。
「待って鉄朗。風邪うつっちゃう」
「うつらねえよ」
そのまま唇を塞がれた。