初合宿〜エース編
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その"付き合ってる奴"とは無論 黒尾自身だ。
だが黒尾は木兎を傷つけないギリギリの真実を突きつけるに留めた。
付き合ってる人がいればさすがに諦めるだろう。…そう思ったのだが甘かった。
「かけおちか…」
「いや待て。なんでそーなる?!」
しかし木兎は腕組みしたまま至極真面目に応える。
「だってそれしかねえじゃん。木梨さんは俺との交際を望んでくれてんだからさ」
「望んでんのはお前だけだろーが!」
幸子の事となると、黒尾も些か冷静ではいられない所がある。
「往生際悪すぎだっつーの。彼氏いんだからさっさと諦めろ!!」
「黒尾、何でそう人の恋路の邪魔してくんだよ?!お前は木梨さんの前に立ちはだかるミドルブロッカーか!? 一々俺をブロックすんな!」
「お前のスパイクなんて何度でもブロックしてやるよ」
「なにィィィ?!」
ダメだ、止まらない。
「幸子は俺の彼女だからな!」
――‥長い静寂。
腕を組んだまま首を傾げる木兎。
「……幸子?」
「だからっ、木梨だよ。木梨幸子! 紛れもねえ俺の恋人!」
束の間の静寂。
そして、
「なんだとおおおっ!!?」
木兎の悲鳴がコートに響き渡るのだった。
―――――‥‥
「その…木兎。なんかわりィな」
頭を抱えた体勢のままフリーズし沈黙してしまった木兎を見兼ね、遠慮がちに声をかけてみる。
結局木兎を傷つけてしまった……不可抗力だとしても罪悪感が多少ある。だが、顔を上げ黒尾の肩をポンと叩いた木兎は、なやみって漢字でどう書くのかが悩みな彼らしいポジティブな通常運転で。
「黒尾、木梨さんは安心して俺に任せろ!」
「任すか! 別れねえし、ぜってー離さねえよ!!」
「うむむ…往生際悪いぞ、黒尾」
「それお前の方な」
「主将同士で何の話?」
突然話に割り込んだ女子の声。
パッと同時に振り返ると、渦中の人――幸子が笑顔を浮かべ立っていた。
たった今体育館に戻ってきたばかりなので、2人の会話は全く耳にしていない。
「木兎くん、指の痛みはどう?」
「木梨さん!!!」
「は、はいっ!」
突然ズズイと詰めよってきた木兎の迫力に圧されるようにして次の言葉を待つ。
「なんで黒尾と付き合ってんだ?!!」
思ってもなかった疑問を投げ掛けられ、一瞬目を丸くする。だが、すぐにその頬は赤く染まった。
幸子はチラリと黒尾を見て、それから視線を木兎へ戻す。
「それは……鉄朗が大好きだから…っ」
「というワケだ」
「??!――っ、うわぁああああっ!!!」
女神の審判に敗れた木兎は、それ以上何も言えずに走り去るのだった。
「全く…あいつら試合前になにやってんだ」
遠目から一部始終を目撃していた直井がさすがに注意をしようと動き出したのを猫又が制した。
「いいじゃねえか、青春。結構結構」
そう言って猫又は愉快そうに笑った。
試合になれば今のユルさは嘘のようにナリを潜め、そこにはバレーへの集中しかないと知っているのだ。
四校総当たり練習試合まであと10分を切っていた。
だが黒尾は木兎を傷つけないギリギリの真実を突きつけるに留めた。
付き合ってる人がいればさすがに諦めるだろう。…そう思ったのだが甘かった。
「かけおちか…」
「いや待て。なんでそーなる?!」
しかし木兎は腕組みしたまま至極真面目に応える。
「だってそれしかねえじゃん。木梨さんは俺との交際を望んでくれてんだからさ」
「望んでんのはお前だけだろーが!」
幸子の事となると、黒尾も些か冷静ではいられない所がある。
「往生際悪すぎだっつーの。彼氏いんだからさっさと諦めろ!!」
「黒尾、何でそう人の恋路の邪魔してくんだよ?!お前は木梨さんの前に立ちはだかるミドルブロッカーか!? 一々俺をブロックすんな!」
「お前のスパイクなんて何度でもブロックしてやるよ」
「なにィィィ?!」
ダメだ、止まらない。
「幸子は俺の彼女だからな!」
――‥長い静寂。
腕を組んだまま首を傾げる木兎。
「……幸子?」
「だからっ、木梨だよ。木梨幸子! 紛れもねえ俺の恋人!」
束の間の静寂。
そして、
「なんだとおおおっ!!?」
木兎の悲鳴がコートに響き渡るのだった。
―――――‥‥
「その…木兎。なんかわりィな」
頭を抱えた体勢のままフリーズし沈黙してしまった木兎を見兼ね、遠慮がちに声をかけてみる。
結局木兎を傷つけてしまった……不可抗力だとしても罪悪感が多少ある。だが、顔を上げ黒尾の肩をポンと叩いた木兎は、なやみって漢字でどう書くのかが悩みな彼らしいポジティブな通常運転で。
「黒尾、木梨さんは安心して俺に任せろ!」
「任すか! 別れねえし、ぜってー離さねえよ!!」
「うむむ…往生際悪いぞ、黒尾」
「それお前の方な」
「主将同士で何の話?」
突然話に割り込んだ女子の声。
パッと同時に振り返ると、渦中の人――幸子が笑顔を浮かべ立っていた。
たった今体育館に戻ってきたばかりなので、2人の会話は全く耳にしていない。
「木兎くん、指の痛みはどう?」
「木梨さん!!!」
「は、はいっ!」
突然ズズイと詰めよってきた木兎の迫力に圧されるようにして次の言葉を待つ。
「なんで黒尾と付き合ってんだ?!!」
思ってもなかった疑問を投げ掛けられ、一瞬目を丸くする。だが、すぐにその頬は赤く染まった。
幸子はチラリと黒尾を見て、それから視線を木兎へ戻す。
「それは……鉄朗が大好きだから…っ」
「というワケだ」
「??!――っ、うわぁああああっ!!!」
女神の審判に敗れた木兎は、それ以上何も言えずに走り去るのだった。
「全く…あいつら試合前になにやってんだ」
遠目から一部始終を目撃していた直井がさすがに注意をしようと動き出したのを猫又が制した。
「いいじゃねえか、青春。結構結構」
そう言って猫又は愉快そうに笑った。
試合になれば今のユルさは嘘のようにナリを潜め、そこにはバレーへの集中しかないと知っているのだ。
四校総当たり練習試合まであと10分を切っていた。