かけがえのない時間
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部活のない日曜は久々だ。しかも土曜が午前練習のみなので実質1日半も休みがある。
そんな貴重な休みの僅かでも黒尾と満喫できたら幸せだ。
――などと考えていたら、休日のほとんどを黒尾と過ごせる奇跡が起きた。
「ウチの家族、土曜の朝から旅行に行っちまうんだ。日曜の夜まで帰って来ねえ」
月曜の部活終わり。
帰路に着きながらふと黒尾がそんな話をした。
それならば食事は自分の家で食べてはどうかと提案しようとした幸子をチラリと見、黒尾は普段の口調で続けた。
「だから…ってワケじゃねーんだけど、ウチに泊まり来ねぇか?」
「私?!!」
「他に誰がいんだよ」
黒尾は苦笑した。
…全くその通りだ。変な事を聞いてしまったと恥ずかしくなる。
「まあ、無理にとは言わねえけどさ。幸子さえ良ければどーかなと思って」
「泊まりに行きたい!」
間髪入れず応えれば、黒尾はまたも苦笑した。だが今度は何処か照れたようなそれ。
「決まりだな。一応親にも了解取っとけよ」
そういう所が堂々としていると言うか、案外真面目できちんとしている黒尾らしい。
「うん、分かった。お母さんに話しておくね」
「おう、それがいい」
幼馴染みである黒尾は昔から家族に受けが良く、特に母親はとても彼を気に入っており信頼も厚い。
黒尾と恋人になったと告げた時の彼女の反応は嬉しいものだった。今回も味方になってくれるだろう。
「土曜の部活終わりから来いよ」
「あっ、それじゃうちにお昼食べにおいでよ」
「おー、ラッキー♪」
良かったら夜も…と言いかけてやめた。
変わりに頬染めた幸子はこう告げた。
「それで夜は、ね。私がご飯作っちゃう」
「幸子が!?」
「うん。…ダメかな?」
「ダメじゃねーけど、ちゃんと作れるのか?」
「土曜日までに特訓するもん」
繋いでいない方の手の拳をぐっと握りしめながら言えば、黒尾は愉快そうに笑った。
「じゃ、楽しみにしてるわ」
―――――‥‥
「土曜日、鉄朗の家に泊まりに行ってもいい?」
あまりにもストレートな物言いが逆に安心させたようで、母親は思ったより簡単に外泊を承諾してくれた。しかも父親にもうまい事話しておいてくれるという。心強い味方だ。
「ご飯はうちに食べに来てもらいなさい」
「うん、土曜のお昼はそうするつもり」
「夜はどうするの?」
「私が作る!」
「鉄くんがお腹壊したらどうするの?!」
さすが母親。娘の料理スキルを心得ている――と言いたい所だが、多分母親自身自分の手料理で黒尾をもてなしたいだけだろう。
「そうならないように指導よろしくね、お母さん」
「鉄くんのお腹を守る為にも猛特訓するわよ!」
理解ある茶目っ気たっぷりな母親で本当に有難い。
そんな貴重な休みの僅かでも黒尾と満喫できたら幸せだ。
――などと考えていたら、休日のほとんどを黒尾と過ごせる奇跡が起きた。
「ウチの家族、土曜の朝から旅行に行っちまうんだ。日曜の夜まで帰って来ねえ」
月曜の部活終わり。
帰路に着きながらふと黒尾がそんな話をした。
それならば食事は自分の家で食べてはどうかと提案しようとした幸子をチラリと見、黒尾は普段の口調で続けた。
「だから…ってワケじゃねーんだけど、ウチに泊まり来ねぇか?」
「私?!!」
「他に誰がいんだよ」
黒尾は苦笑した。
…全くその通りだ。変な事を聞いてしまったと恥ずかしくなる。
「まあ、無理にとは言わねえけどさ。幸子さえ良ければどーかなと思って」
「泊まりに行きたい!」
間髪入れず応えれば、黒尾はまたも苦笑した。だが今度は何処か照れたようなそれ。
「決まりだな。一応親にも了解取っとけよ」
そういう所が堂々としていると言うか、案外真面目できちんとしている黒尾らしい。
「うん、分かった。お母さんに話しておくね」
「おう、それがいい」
幼馴染みである黒尾は昔から家族に受けが良く、特に母親はとても彼を気に入っており信頼も厚い。
黒尾と恋人になったと告げた時の彼女の反応は嬉しいものだった。今回も味方になってくれるだろう。
「土曜の部活終わりから来いよ」
「あっ、それじゃうちにお昼食べにおいでよ」
「おー、ラッキー♪」
良かったら夜も…と言いかけてやめた。
変わりに頬染めた幸子はこう告げた。
「それで夜は、ね。私がご飯作っちゃう」
「幸子が!?」
「うん。…ダメかな?」
「ダメじゃねーけど、ちゃんと作れるのか?」
「土曜日までに特訓するもん」
繋いでいない方の手の拳をぐっと握りしめながら言えば、黒尾は愉快そうに笑った。
「じゃ、楽しみにしてるわ」
―――――‥‥
「土曜日、鉄朗の家に泊まりに行ってもいい?」
あまりにもストレートな物言いが逆に安心させたようで、母親は思ったより簡単に外泊を承諾してくれた。しかも父親にもうまい事話しておいてくれるという。心強い味方だ。
「ご飯はうちに食べに来てもらいなさい」
「うん、土曜のお昼はそうするつもり」
「夜はどうするの?」
「私が作る!」
「鉄くんがお腹壊したらどうするの?!」
さすが母親。娘の料理スキルを心得ている――と言いたい所だが、多分母親自身自分の手料理で黒尾をもてなしたいだけだろう。
「そうならないように指導よろしくね、お母さん」
「鉄くんのお腹を守る為にも猛特訓するわよ!」
理解ある茶目っ気たっぷりな母親で本当に有難い。