恋人‼︎
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それじゃあ行くか」
幸子が落ち着いたのを見計らって黒尾が切り出す。
「行くって…何処に?」
「お前ん家に決まってんだろ」
「ク…鉄朗の家で遊ぶんじゃないの?」
「何言ってんだ。幸子の親に挨拶に行くのが先だろ」
「っ、えっ…えええっ!?」
あああ挨拶っ?!!!
「俺達の結婚を認めてもらわねぇと、幸子をウチに住まわせらんねえからな」
「み、みと……っ」
「ウチの親は心配ねえ。幸子の事気に入ってるからさ。問題はお前の家族だ」
黒尾の親に気に入られているなど光栄すぎる。しかしその点なら同じく問題ない。
「うちも心配いらない…と思う。お母さんなんて鉄朗のこと大好きだし」
「んじゃ、まずおばさんに挨拶して味方になってもらう作戦で行くか」
最初のターゲットが決定し黒尾は着ていた制服を正し始めた。どうやら挨拶に行くので身なりを整えているようだ。
「ホラ、行くぞ。善は急げだ」
「う、うんっ!」
部屋を出てズカズカと階段を下りていく黒尾の後をついて行きながら、幸子はその頼りがいある背中を少しの戸惑いと大きな期待を持ち見つめていた。
30秒で木梨家に到着。
ドアノブに手をかけると、自分の家にも関わらず緊張してきた。
「な、なんか緊張する…」
「大丈夫だ。成功した所をイメージしろ」
励ます黒尾は緊張してないのだろうか。
いや、おそらく緊張を見せないだけだ。彼はそういう人だから。
意を決して玄関扉を開けると、すぐにターゲットを発見した。母親は家に備え付けられている電話で通話していた。
「電話してる。出直そっか?」
「いや、待つ」
黒尾はあくまで本日勝負をかける気だ。
彼の本気が伝わってきて、不謹慎にも嬉しさが込み上げてきた。
「分かったわ。伝えておく」
間もなく母親は通話を終えて受話器を戻した。そして玄関口にいる幸子と黒尾に気づく。
「おかえり。鉄くん、いらっしゃい」
「お邪魔します」
「上がって。すぐにおやつ持っていくから」
「おばさん、大切な話があるんです」
黒尾が仕掛けた。
母親は一瞬不思議そうな顔をし、すぐに笑顔に戻る。
「あら何かしら。実はおばさんも幸子に大切な話があるの。鉄朗君、先に話していい?」
「はい、どうぞ」
大切な話?
――何だろう。これからする話以上にそんなものあるとは思えない。
「なあに?」
「宮城に行かなくてよくなったわよ」
「「ええっ?!!」」
黒尾と幸子の声が重なる。
仲良しねえ…と母親はクスクス笑った。
「お父さんの転勤先ね、横浜に決まったの。横浜ならうちから通えるから引っ越す必要ないわ」
「それじゃ…?!」
「鉄くんと一緒に音駒高校に通えるのよ」
「――っ?!!」
ああ、なんという奇跡だ。
「さて、それじゃ鉄くんの大切なお話を聞かせてもらおうかしら」
「――?!」
幸子はドキリとした。
引っ越しがなくなったのなら同居話をする必要もない。
どうしようとすがるように黒尾を見れば、そんな動揺など微塵もないように黒尾は愛想よく応えた。
「今日、夕飯ご馳走になっていってもいいですか?」
幸子が落ち着いたのを見計らって黒尾が切り出す。
「行くって…何処に?」
「お前ん家に決まってんだろ」
「ク…鉄朗の家で遊ぶんじゃないの?」
「何言ってんだ。幸子の親に挨拶に行くのが先だろ」
「っ、えっ…えええっ!?」
あああ挨拶っ?!!!
「俺達の結婚を認めてもらわねぇと、幸子をウチに住まわせらんねえからな」
「み、みと……っ」
「ウチの親は心配ねえ。幸子の事気に入ってるからさ。問題はお前の家族だ」
黒尾の親に気に入られているなど光栄すぎる。しかしその点なら同じく問題ない。
「うちも心配いらない…と思う。お母さんなんて鉄朗のこと大好きだし」
「んじゃ、まずおばさんに挨拶して味方になってもらう作戦で行くか」
最初のターゲットが決定し黒尾は着ていた制服を正し始めた。どうやら挨拶に行くので身なりを整えているようだ。
「ホラ、行くぞ。善は急げだ」
「う、うんっ!」
部屋を出てズカズカと階段を下りていく黒尾の後をついて行きながら、幸子はその頼りがいある背中を少しの戸惑いと大きな期待を持ち見つめていた。
30秒で木梨家に到着。
ドアノブに手をかけると、自分の家にも関わらず緊張してきた。
「な、なんか緊張する…」
「大丈夫だ。成功した所をイメージしろ」
励ます黒尾は緊張してないのだろうか。
いや、おそらく緊張を見せないだけだ。彼はそういう人だから。
意を決して玄関扉を開けると、すぐにターゲットを発見した。母親は家に備え付けられている電話で通話していた。
「電話してる。出直そっか?」
「いや、待つ」
黒尾はあくまで本日勝負をかける気だ。
彼の本気が伝わってきて、不謹慎にも嬉しさが込み上げてきた。
「分かったわ。伝えておく」
間もなく母親は通話を終えて受話器を戻した。そして玄関口にいる幸子と黒尾に気づく。
「おかえり。鉄くん、いらっしゃい」
「お邪魔します」
「上がって。すぐにおやつ持っていくから」
「おばさん、大切な話があるんです」
黒尾が仕掛けた。
母親は一瞬不思議そうな顔をし、すぐに笑顔に戻る。
「あら何かしら。実はおばさんも幸子に大切な話があるの。鉄朗君、先に話していい?」
「はい、どうぞ」
大切な話?
――何だろう。これからする話以上にそんなものあるとは思えない。
「なあに?」
「宮城に行かなくてよくなったわよ」
「「ええっ?!!」」
黒尾と幸子の声が重なる。
仲良しねえ…と母親はクスクス笑った。
「お父さんの転勤先ね、横浜に決まったの。横浜ならうちから通えるから引っ越す必要ないわ」
「それじゃ…?!」
「鉄くんと一緒に音駒高校に通えるのよ」
「――っ?!!」
ああ、なんという奇跡だ。
「さて、それじゃ鉄くんの大切なお話を聞かせてもらおうかしら」
「――?!」
幸子はドキリとした。
引っ越しがなくなったのなら同居話をする必要もない。
どうしようとすがるように黒尾を見れば、そんな動揺など微塵もないように黒尾は愛想よく応えた。
「今日、夕飯ご馳走になっていってもいいですか?」