恋人‼︎
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週明けの月曜日。
自宅を出てすぐ。前方にゲームしながら登校する孤爪の背中が見えた。
「おはよう、研磨」
いつもなら画面に釘付けなままで「おはよう」と返してくる孤爪だが、今日は珍しくゲーム機から顔をあげて幸子を見た。なんとなく不服そうだ。
「幸子、まだクロに言ってないでしょ」
「あっ、うん…」
しまった、バレた。
「クロ、幸子と一緒に音駒に行く気満々でいるよ」
「うん……」
「どうするの」
幸子とて気持ちの上では音駒に行く気満々だ。
だから烏野高校の見学を終えホテルに戻った幸子は、涙ながらに東京に残りたいと、音駒高校に通いたいんだと母親に訴えた。
娘の気持ちを知ってか母親は東京に戻ってから一人暮らしの提案を父親にしてくれた。だが未成年の娘を一人残していく事を心配した父親から許しが出なかったのだ。
「…ちゃんと言うから」
「ホントに言える?」
「うん、言う。言わなくちゃ…」
「研磨! 幸子!」
背後からかけられた声の主は振り返らずとも分かる。大好きな人。
「どうした?」
2人の微妙な空気を感じ取ったのか、追いついてきた黒尾は怪訝な表情を見せた。
「なんでもないよ。ねっ、研磨」
「……うん」
孤爪は多くを語らず幸子に合わせ同意してくれた。
「そうか? それより幸子。お前週末どこ行ってたんだよ」
「ちょっと……旅行に」
「旅行?」
「そう。合格祝いで。宮城県に行って来たんだ」
「へえ、そうなのか」
頷いた黒尾は疑っているような素振りはない。……多分。
「ごめんね。お土産買って来るの忘れちゃった」
「お前もう一度宮城行って萩の月買って来い」
「えええーっ!?」
肩を揺らして黒尾が愉快そうに笑う。
何か言いたげな孤爪の視線に気づかないフリをして、幸子も明るく笑った。
―――――‥‥
授業終了後。帰宅しようとする幸子を黒尾が呼び止めた。
「急いでんのか?」
「特に急いでないけど」
「なら何で俺を置いて先に帰ろうとしてんだよ」
引っ越し話をしていない後ろめたさから、幸子は無意識に黒尾を避けていた。勘の良い黒尾はそれに気づいたかもしれない。
「ごめんね。クロ、部活に顔出してくのかと思ったんだ」
「いんや。今日は帰る」
鞄を掴んで勢いよく席から立ち上がった。
「幸子、暇ならウチに遊びに来いよ」
「う、ん…」
「予定あんのか?」
「そういう訳じゃないけど…」
「なら決まりだな」
黒尾がニヤリと笑った。
自宅を出てすぐ。前方にゲームしながら登校する孤爪の背中が見えた。
「おはよう、研磨」
いつもなら画面に釘付けなままで「おはよう」と返してくる孤爪だが、今日は珍しくゲーム機から顔をあげて幸子を見た。なんとなく不服そうだ。
「幸子、まだクロに言ってないでしょ」
「あっ、うん…」
しまった、バレた。
「クロ、幸子と一緒に音駒に行く気満々でいるよ」
「うん……」
「どうするの」
幸子とて気持ちの上では音駒に行く気満々だ。
だから烏野高校の見学を終えホテルに戻った幸子は、涙ながらに東京に残りたいと、音駒高校に通いたいんだと母親に訴えた。
娘の気持ちを知ってか母親は東京に戻ってから一人暮らしの提案を父親にしてくれた。だが未成年の娘を一人残していく事を心配した父親から許しが出なかったのだ。
「…ちゃんと言うから」
「ホントに言える?」
「うん、言う。言わなくちゃ…」
「研磨! 幸子!」
背後からかけられた声の主は振り返らずとも分かる。大好きな人。
「どうした?」
2人の微妙な空気を感じ取ったのか、追いついてきた黒尾は怪訝な表情を見せた。
「なんでもないよ。ねっ、研磨」
「……うん」
孤爪は多くを語らず幸子に合わせ同意してくれた。
「そうか? それより幸子。お前週末どこ行ってたんだよ」
「ちょっと……旅行に」
「旅行?」
「そう。合格祝いで。宮城県に行って来たんだ」
「へえ、そうなのか」
頷いた黒尾は疑っているような素振りはない。……多分。
「ごめんね。お土産買って来るの忘れちゃった」
「お前もう一度宮城行って萩の月買って来い」
「えええーっ!?」
肩を揺らして黒尾が愉快そうに笑う。
何か言いたげな孤爪の視線に気づかないフリをして、幸子も明るく笑った。
―――――‥‥
授業終了後。帰宅しようとする幸子を黒尾が呼び止めた。
「急いでんのか?」
「特に急いでないけど」
「なら何で俺を置いて先に帰ろうとしてんだよ」
引っ越し話をしていない後ろめたさから、幸子は無意識に黒尾を避けていた。勘の良い黒尾はそれに気づいたかもしれない。
「ごめんね。クロ、部活に顔出してくのかと思ったんだ」
「いんや。今日は帰る」
鞄を掴んで勢いよく席から立ち上がった。
「幸子、暇ならウチに遊びに来いよ」
「う、ん…」
「予定あんのか?」
「そういう訳じゃないけど…」
「なら決まりだな」
黒尾がニヤリと笑った。