幼馴染み‼︎
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「そァッ」
ネット際で勢いよく翔んだ黒尾の手が空を切り、その横をアタックされなかったボールがてんてんと転がっていった。
突然の行動に孤爪も幸子も唖然として黒尾を見る。
「…クロ、今のなに」
「"一人時間差"! 昨日テレビの試合でやってんの見た!」
説明はよく理解出来なかったが、必死に説明をしてくれる黒尾がとてもかっこよかったのを覚えている。だから幸子は感じたままを素直に口にした。
「一人時間差すごいね!」
「だろ? 今から沢山練習してなァ、他の奴らにできないこと俺達が一番に出来るようになるんだ!」
盛り上がる2人の横で置き去りにされた孤爪は渋い顔をしている。
しかし渋い顔をしていようとも、結局は練習に付き合ってくれる事を黒尾も幸子も分かっていた。彼はそういう人だ。
「今 使えない攻撃技だって、今から沢山練習してれば高校生くらいにはきっと、俺達の立派な必殺技のひとつになってるぜ!」
言い切った黒尾は幼心にとても頼もしく感じられて。
「クロ、かっこいい!」
「だろ?」
「私も一人時間差出来るようになりたい!」
「おう、そんで3人で春高行くぞ!」
「ハルコー?」
「全日本バレーボール高等学校選手権大会。完成した一人時間差をバンバン使えるぞ」
「うわぁ、クロと研磨と私で絶対行こうねっ!」
――などと浮かれながら話していた数日後に目標は一度挫けかけた。
練習していく中で、幸子は致命的にバレーボールが下手だと判明したからだ。
黒尾と孤爪は技術など全く気にしていなかったが、当人である幸子にとってそれは深刻な問題であった。
今思い返せば面倒な事この上ないが、当時の幸子はヘタクソな自分のせいで3人の夢が断たれてしまうように感じてしまい、罪悪感から泣きだしてしまった。
「私のせいでハルコーに行けなくなっちゃう…」
「幸子、そんなに責任感じなくても」
「でも…っ、約束…したのに…っ」
自分では宥めきれないと判断した孤爪は助けを求めるように黒尾に目をやる。
それを受けて黒尾は泣きじゃくる幸子にいつもの調子で声をかけた。
「幸子はマネージャーになればいい」
「ぐすっ……マネージャー…?」
顔を覆っていた両手を退かして黒尾を見た。
涙で少しボヤけた視界に映る黒尾はいつもの自信に満ちた彼。
「選手をサポートする重要なポジションだ。
幸子は俺と研磨をサポートする。それで3人で春高に行けばいい。俺と研磨は選手として。幸子はマネージャーとしてな」
「クロ…」
「だから泣くな」
「うんっ!」
その言葉はどれだけ勇気をくれたか。
いつだって、黒尾はこうして泣いている幸子を笑顔にしてしまうのだ。
そして月日は巡る――。
ネット際で勢いよく翔んだ黒尾の手が空を切り、その横をアタックされなかったボールがてんてんと転がっていった。
突然の行動に孤爪も幸子も唖然として黒尾を見る。
「…クロ、今のなに」
「"一人時間差"! 昨日テレビの試合でやってんの見た!」
説明はよく理解出来なかったが、必死に説明をしてくれる黒尾がとてもかっこよかったのを覚えている。だから幸子は感じたままを素直に口にした。
「一人時間差すごいね!」
「だろ? 今から沢山練習してなァ、他の奴らにできないこと俺達が一番に出来るようになるんだ!」
盛り上がる2人の横で置き去りにされた孤爪は渋い顔をしている。
しかし渋い顔をしていようとも、結局は練習に付き合ってくれる事を黒尾も幸子も分かっていた。彼はそういう人だ。
「今 使えない攻撃技だって、今から沢山練習してれば高校生くらいにはきっと、俺達の立派な必殺技のひとつになってるぜ!」
言い切った黒尾は幼心にとても頼もしく感じられて。
「クロ、かっこいい!」
「だろ?」
「私も一人時間差出来るようになりたい!」
「おう、そんで3人で春高行くぞ!」
「ハルコー?」
「全日本バレーボール高等学校選手権大会。完成した一人時間差をバンバン使えるぞ」
「うわぁ、クロと研磨と私で絶対行こうねっ!」
――などと浮かれながら話していた数日後に目標は一度挫けかけた。
練習していく中で、幸子は致命的にバレーボールが下手だと判明したからだ。
黒尾と孤爪は技術など全く気にしていなかったが、当人である幸子にとってそれは深刻な問題であった。
今思い返せば面倒な事この上ないが、当時の幸子はヘタクソな自分のせいで3人の夢が断たれてしまうように感じてしまい、罪悪感から泣きだしてしまった。
「私のせいでハルコーに行けなくなっちゃう…」
「幸子、そんなに責任感じなくても」
「でも…っ、約束…したのに…っ」
自分では宥めきれないと判断した孤爪は助けを求めるように黒尾に目をやる。
それを受けて黒尾は泣きじゃくる幸子にいつもの調子で声をかけた。
「幸子はマネージャーになればいい」
「ぐすっ……マネージャー…?」
顔を覆っていた両手を退かして黒尾を見た。
涙で少しボヤけた視界に映る黒尾はいつもの自信に満ちた彼。
「選手をサポートする重要なポジションだ。
幸子は俺と研磨をサポートする。それで3人で春高に行けばいい。俺と研磨は選手として。幸子はマネージャーとしてな」
「クロ…」
「だから泣くな」
「うんっ!」
その言葉はどれだけ勇気をくれたか。
いつだって、黒尾はこうして泣いている幸子を笑顔にしてしまうのだ。
そして月日は巡る――。