GW遠征合宿‼︎3
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新幹線普通車両の一角が音駒高校バレーボール部に充てられた席である。
三席並びの座席の窓側に孤爪、通路側に黒尾、そして真ん中に幸子が着席した。
これから約二時間の新幹線の旅を経て東京への帰路に着く。
席に着くやいなや、孤爪は足元に置いたリュックからゲーム機を取り出し、あっという間に自分の世界に入ってしまった。
「クリア出来そう?」
「あと30時間くらいやれば」
「うわぁ、先は長いね」
「…別に。やり込めばあっという間だし」
孤爪が集中し始め言葉少なになったので、今度は通路側に視線を滑らせた。
隣席の黒尾は肘置きに肘をついた姿勢で向こう側の窓の外を眺めている。
通路を隔てた向こう側の二席は空席だ。逆隣に座る孤爪はゲームに没頭中。
つまり…
ちょっとくらい2人きりの時間を満喫しても、周囲に気づかれる可能性は低いのでは!?
「鉄朗」
黒尾と自分の座席の間にある肘置きをあげ、まずは遮るものを無くす。
それからそっと黒尾の名を呼んでみた。
「……どうした?」
振り向いた黒尾にいつもの余裕な笑みはなく、その表情と空気が何となく幸子を不安にさせた。
「てつろ…」
「幸子。お前さ、烏野の主将と逢った事あんの?」
唐突な質問。
「えっ、なんで?」
「あの主将君、口説き文句なんて言えそうに見えねーからさ」
だからこそ澤村の言葉は真実味を帯びていて、その真意を気にしてしまうのだ。だが幸子としてはこう答える他ない。
「逢ったことあるような……ないような」
「曖昧だな」
「だって何処かでチラッと逢っただけで一々覚えていられないよ」
「ま、それもそっか」
黒尾が頷いた。
確かに以前澤村に逢った事があるように感じていたのは事実だが、場面も覚えていない曖昧な話をしても仕方ない。
そしてなにより、
「…ずっと鉄朗の傍にいるんだから、他の人なんて見てる余裕ないもん」
「それって俺以外の男なんて眼中にないってこと?」
「……っ」
押し黙り頬を赤く染めた幸子の表情から図星だったと悟る。
その瞬間、黒尾は小さく苦笑を洩らした。
「……………ねぇな、俺」
「えっ…?!」
「いんや、コッチの話。それより――」
と口角を引き上げた黒尾はいつもの彼。
「幸子。イチャつく気満々だった?」
「なっ、違う…っ」
「んじゃ、何でわざわざ肘置きあげたんだよ」
「そ、れは…」
動揺して言い淀む幸子の頬はりんごより真っ赤だ。
本当に分かりやすい。
だから余計にからかってやりたくて、黒尾はわざと幸子の耳許に唇を近づけて小さく言った。
「こうして欲しかったんじゃねーの?」
幸子の太股に置かれていた手の甲に被せるように己の手を添えると、指を動かして彼女の指の股を撫で擦った。
幸子の肩がびくっと震えたのを確認し、そのまま五指を絡めて繋ぐ。
「手」
「……へっ?」
「繋ぎたかったんだろ?」
「…っ、……う、うん」
頬染めたままコクコクと頷く幸子にニヤニヤとした笑顔を見せる。
「もしかして……なんか今期待してた?」
「やっ、ち、ちが…っ」
「違うんなら何でそんな声震えてるワケ~?」
「――‥~~っ」
ああ、本当に。
黒尾は何枚も上手だ。
三席並びの座席の窓側に孤爪、通路側に黒尾、そして真ん中に幸子が着席した。
これから約二時間の新幹線の旅を経て東京への帰路に着く。
席に着くやいなや、孤爪は足元に置いたリュックからゲーム機を取り出し、あっという間に自分の世界に入ってしまった。
「クリア出来そう?」
「あと30時間くらいやれば」
「うわぁ、先は長いね」
「…別に。やり込めばあっという間だし」
孤爪が集中し始め言葉少なになったので、今度は通路側に視線を滑らせた。
隣席の黒尾は肘置きに肘をついた姿勢で向こう側の窓の外を眺めている。
通路を隔てた向こう側の二席は空席だ。逆隣に座る孤爪はゲームに没頭中。
つまり…
ちょっとくらい2人きりの時間を満喫しても、周囲に気づかれる可能性は低いのでは!?
「鉄朗」
黒尾と自分の座席の間にある肘置きをあげ、まずは遮るものを無くす。
それからそっと黒尾の名を呼んでみた。
「……どうした?」
振り向いた黒尾にいつもの余裕な笑みはなく、その表情と空気が何となく幸子を不安にさせた。
「てつろ…」
「幸子。お前さ、烏野の主将と逢った事あんの?」
唐突な質問。
「えっ、なんで?」
「あの主将君、口説き文句なんて言えそうに見えねーからさ」
だからこそ澤村の言葉は真実味を帯びていて、その真意を気にしてしまうのだ。だが幸子としてはこう答える他ない。
「逢ったことあるような……ないような」
「曖昧だな」
「だって何処かでチラッと逢っただけで一々覚えていられないよ」
「ま、それもそっか」
黒尾が頷いた。
確かに以前澤村に逢った事があるように感じていたのは事実だが、場面も覚えていない曖昧な話をしても仕方ない。
そしてなにより、
「…ずっと鉄朗の傍にいるんだから、他の人なんて見てる余裕ないもん」
「それって俺以外の男なんて眼中にないってこと?」
「……っ」
押し黙り頬を赤く染めた幸子の表情から図星だったと悟る。
その瞬間、黒尾は小さく苦笑を洩らした。
「……………ねぇな、俺」
「えっ…?!」
「いんや、コッチの話。それより――」
と口角を引き上げた黒尾はいつもの彼。
「幸子。イチャつく気満々だった?」
「なっ、違う…っ」
「んじゃ、何でわざわざ肘置きあげたんだよ」
「そ、れは…」
動揺して言い淀む幸子の頬はりんごより真っ赤だ。
本当に分かりやすい。
だから余計にからかってやりたくて、黒尾はわざと幸子の耳許に唇を近づけて小さく言った。
「こうして欲しかったんじゃねーの?」
幸子の太股に置かれていた手の甲に被せるように己の手を添えると、指を動かして彼女の指の股を撫で擦った。
幸子の肩がびくっと震えたのを確認し、そのまま五指を絡めて繋ぐ。
「手」
「……へっ?」
「繋ぎたかったんだろ?」
「…っ、……う、うん」
頬染めたままコクコクと頷く幸子にニヤニヤとした笑顔を見せる。
「もしかして……なんか今期待してた?」
「やっ、ち、ちが…っ」
「違うんなら何でそんな声震えてるワケ~?」
「――‥~~っ」
ああ、本当に。
黒尾は何枚も上手だ。