GW遠征合宿‼︎2
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7時。
起床した部員達が眠たい目を擦りながら食堂へ集まれば、賑やかな朝食の始まりだ。
朝と言っても育ち盛りの男子バレーボール部の食欲は旺盛で、犬岡(と黒尾)と共に作った食事はあっという間にほぼ平らげられた。
みんなの気持ち良い食べっぷりに感心している中、ロクに食事も取らずに携帯ゲームに熱中している隣席の幼馴染みに幸子の注意が向いた。
「研磨、全然食べてないでしょ?」
「朝はお腹空かないから」
ゲームから顔を上げずに孤爪が応えた。
「ちゃんと食べないと、また迷子になっちゃうよ」
「幸子、朝ご飯と迷子は関係ないと思うけど」
「ぶはっ、フツーそこは『練習試合まで体力持たないよ』とかだろ?!」
孤爪がぼそりとツッこみ、それを聞いた孤爪と逆隣に座る黒尾が腹を抱えて笑った。真っ赤になった幸子が拗ねたように黒尾を睨む。
幸子がそんな事を言うのにはちゃんと訳があった。
話は昨日まで遡る。
宮城遠征の初日。
合宿所に着いた所で幸子は重大な事に気づいた。
「鉄朗、研磨は?」
「研磨なら…」
と振り返った黒尾の表情が固まった。
「……居ねえ」
ゲームしながら最後尾を歩いていたはずの孤爪の姿がいつの間にか消えていた。
はぐれた?!
見知らぬ土地で!?
「どうしよう、研磨が迷子になっちゃった!」
「落ち着けって、幸子。携帯に連絡してみりゃ済む話だろ」
動揺しながら詰めよってきた幸子を落ち着かせ、黒尾は携帯電話を取り出して孤爪に連絡を入れた。三コール目で電話は繋がる。
「研磨か!? 今何処にいるんだ?」
黒尾が電話している間、幸子はハラハラした様子で手を握り合わせていた。
何かあったらどうしよう。
一歳年下の孤爪は弟のようで、昔からつい過保護になってしまう。
「分かった。今から迎えに行くからそこ動くなよ」
最後にそう告げて黒尾は通話を終えた。
心配そうに己を見つめる幸子を安心させるようにポンと頭に手を置く。
「大丈夫だ。今から迎えに行ってくる」
「私も行っていい?」
「ああ、来い」
頷くと、今度は部員達に視線を向けた。
「――と言うワケだ。なるべく早く戻る」
「こっちは任せておいてくれ。帰ったら直ぐにアップ取れるよう、準備しておくよ」
「頼んだぜ、海」
頼れる副主将に後を任せ、黒尾と幸子は連れだって孤爪を迎えに出掛けた。
「しっかしアレだよなー」
2人の後ろ姿を見送りながら、腰に手を充てた夜久が苦笑いを浮かべた。
「俺にはあの2人が迷子の息子を迎えに行く夫婦にしか見えねーんだよな」
起床した部員達が眠たい目を擦りながら食堂へ集まれば、賑やかな朝食の始まりだ。
朝と言っても育ち盛りの男子バレーボール部の食欲は旺盛で、犬岡(と黒尾)と共に作った食事はあっという間にほぼ平らげられた。
みんなの気持ち良い食べっぷりに感心している中、ロクに食事も取らずに携帯ゲームに熱中している隣席の幼馴染みに幸子の注意が向いた。
「研磨、全然食べてないでしょ?」
「朝はお腹空かないから」
ゲームから顔を上げずに孤爪が応えた。
「ちゃんと食べないと、また迷子になっちゃうよ」
「幸子、朝ご飯と迷子は関係ないと思うけど」
「ぶはっ、フツーそこは『練習試合まで体力持たないよ』とかだろ?!」
孤爪がぼそりとツッこみ、それを聞いた孤爪と逆隣に座る黒尾が腹を抱えて笑った。真っ赤になった幸子が拗ねたように黒尾を睨む。
幸子がそんな事を言うのにはちゃんと訳があった。
話は昨日まで遡る。
宮城遠征の初日。
合宿所に着いた所で幸子は重大な事に気づいた。
「鉄朗、研磨は?」
「研磨なら…」
と振り返った黒尾の表情が固まった。
「……居ねえ」
ゲームしながら最後尾を歩いていたはずの孤爪の姿がいつの間にか消えていた。
はぐれた?!
見知らぬ土地で!?
「どうしよう、研磨が迷子になっちゃった!」
「落ち着けって、幸子。携帯に連絡してみりゃ済む話だろ」
動揺しながら詰めよってきた幸子を落ち着かせ、黒尾は携帯電話を取り出して孤爪に連絡を入れた。三コール目で電話は繋がる。
「研磨か!? 今何処にいるんだ?」
黒尾が電話している間、幸子はハラハラした様子で手を握り合わせていた。
何かあったらどうしよう。
一歳年下の孤爪は弟のようで、昔からつい過保護になってしまう。
「分かった。今から迎えに行くからそこ動くなよ」
最後にそう告げて黒尾は通話を終えた。
心配そうに己を見つめる幸子を安心させるようにポンと頭に手を置く。
「大丈夫だ。今から迎えに行ってくる」
「私も行っていい?」
「ああ、来い」
頷くと、今度は部員達に視線を向けた。
「――と言うワケだ。なるべく早く戻る」
「こっちは任せておいてくれ。帰ったら直ぐにアップ取れるよう、準備しておくよ」
「頼んだぜ、海」
頼れる副主将に後を任せ、黒尾と幸子は連れだって孤爪を迎えに出掛けた。
「しっかしアレだよなー」
2人の後ろ姿を見送りながら、腰に手を充てた夜久が苦笑いを浮かべた。
「俺にはあの2人が迷子の息子を迎えに行く夫婦にしか見えねーんだよな」