11月17日
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11月17日。
全日本バレーボール高等学校選手権大会 通称 春の高校バレー 東京都代表決定戦 3位決定戦ーー
灰羽のブロックによる重圧に怯み打たれたボールの先に待ち構えていた芝山が見事なレシーブを見せる。それを孤爪が絶妙なトスで繋ぎ、山本が力強いスパイクを戸美側のコートに叩きつけた。
チームワークがハマる瞬間ーーそれは音駒が春高進出を決めた瞬間でもあった。
決勝戦が終わり東京都の代表が出揃い、今日の試合の労いとご褒美にと猫又と直井が美味しい食事をご馳走してくれた。
部員達は皆陽気にはしゃぎ、山本は男泣きをして灰羽は試合の事を何度も繰り返し話していた。
幸子はと言えば、音駒応援団代表として打ち上げに参加した山本の妹と灰羽の姉から「幸子ちゃんと黒尾君はいつ結婚するの?」と尋ねられ、羞恥の前に食事の美味しさなど吹っ飛んでしまった。
そんな楽しい打ち上げも終わり、春高への期待に胸膨らませながら帰路に着いた夕暮れ時。
「寒くなってきたな」
隣を歩いていた黒尾が空を仰ぎながら呟く。それから黒尾はふと気づいたように幸子を見た。
「寒くないか?」
「うん、大丈夫。寒くないよ」
「そりゃそうか。俺と手繋いでりゃ幸子はポカポカだもんなー」
「ーーっ?!!」
言い様が一々恥ずかしい!!
しかも図星で、それを見透かして黒尾が意図的に言っているから余計羞恥を掻き立てられるのだ。だから精一杯強がって言い返してみたりする。
「それもあるけど・・・何より心がポカポカだから寒さを感じないのかも」
黒尾の頬が自然と緩んだ。
「春高だもんな」
「うん」
「高校生活最後の大舞台だ」
「っ、うん」
ずっと焦がれていた春高。
その舞台に、いよいよ立つ時が来た。
「夜久くんも海くんも泣いてたね」
「幸子が一番大泣きしてたけどな」
「っ、嬉しかったんだからいいのっ!」
そう、本当に嬉しかったのだから。
「最高のお誕生日になったね」
「ん? ・・・ああ、今日17日だったっけな」
そうだ。今日は11月17日。黒尾の生まれた日。
最高の誕生日ーーだが、
「春高出場はプレゼントじゃないよね。だって鉄朗が・・・みんなが努力して勝ち取ったものだもん」
熱っぽく語る幸子の表情を黒尾は笑みを浮かべたまま見つめていた。
「鉄朗?」
「いや、幸子らしいなって思ってさ」
幸子は不思議そうに黒尾を眺めた。目を細めて自分を見つめてくる黒尾の表情はとても優しい。
「そう言えば、鉄朗は泣いてなかったね」
「俺の涙は簡単には見れねーの」
「でも全国制覇したら泣くでしょ?」
「それはしてからのお楽しみ」
「じゃあその時はバッチリ写真撮っちゃお」
「んじゃ俺は幸子の大泣きシーンを撮る!」
「鉄朗の意地悪ーっ!」
ポカポカと黒尾を叩きじゃれあいながら、黒尾が涙を流す時は、それが嬉し涙でありますようにと切に願う。
でも今は、
「鉄朗、お誕生日おめでとう!帰ったらプレゼント渡すね」
「おー、楽しみにしてるわ」
繋いだ手をしっかり結びながら、彼の誕生日を精一杯お祝いするのだ。
願わくば、来年もずっとこの先も、生まれてきてくれた事に感謝できますように。
Happy birthday 11/17!!
全日本バレーボール高等学校選手権大会 通称 春の高校バレー 東京都代表決定戦 3位決定戦ーー
灰羽のブロックによる重圧に怯み打たれたボールの先に待ち構えていた芝山が見事なレシーブを見せる。それを孤爪が絶妙なトスで繋ぎ、山本が力強いスパイクを戸美側のコートに叩きつけた。
チームワークがハマる瞬間ーーそれは音駒が春高進出を決めた瞬間でもあった。
決勝戦が終わり東京都の代表が出揃い、今日の試合の労いとご褒美にと猫又と直井が美味しい食事をご馳走してくれた。
部員達は皆陽気にはしゃぎ、山本は男泣きをして灰羽は試合の事を何度も繰り返し話していた。
幸子はと言えば、音駒応援団代表として打ち上げに参加した山本の妹と灰羽の姉から「幸子ちゃんと黒尾君はいつ結婚するの?」と尋ねられ、羞恥の前に食事の美味しさなど吹っ飛んでしまった。
そんな楽しい打ち上げも終わり、春高への期待に胸膨らませながら帰路に着いた夕暮れ時。
「寒くなってきたな」
隣を歩いていた黒尾が空を仰ぎながら呟く。それから黒尾はふと気づいたように幸子を見た。
「寒くないか?」
「うん、大丈夫。寒くないよ」
「そりゃそうか。俺と手繋いでりゃ幸子はポカポカだもんなー」
「ーーっ?!!」
言い様が一々恥ずかしい!!
しかも図星で、それを見透かして黒尾が意図的に言っているから余計羞恥を掻き立てられるのだ。だから精一杯強がって言い返してみたりする。
「それもあるけど・・・何より心がポカポカだから寒さを感じないのかも」
黒尾の頬が自然と緩んだ。
「春高だもんな」
「うん」
「高校生活最後の大舞台だ」
「っ、うん」
ずっと焦がれていた春高。
その舞台に、いよいよ立つ時が来た。
「夜久くんも海くんも泣いてたね」
「幸子が一番大泣きしてたけどな」
「っ、嬉しかったんだからいいのっ!」
そう、本当に嬉しかったのだから。
「最高のお誕生日になったね」
「ん? ・・・ああ、今日17日だったっけな」
そうだ。今日は11月17日。黒尾の生まれた日。
最高の誕生日ーーだが、
「春高出場はプレゼントじゃないよね。だって鉄朗が・・・みんなが努力して勝ち取ったものだもん」
熱っぽく語る幸子の表情を黒尾は笑みを浮かべたまま見つめていた。
「鉄朗?」
「いや、幸子らしいなって思ってさ」
幸子は不思議そうに黒尾を眺めた。目を細めて自分を見つめてくる黒尾の表情はとても優しい。
「そう言えば、鉄朗は泣いてなかったね」
「俺の涙は簡単には見れねーの」
「でも全国制覇したら泣くでしょ?」
「それはしてからのお楽しみ」
「じゃあその時はバッチリ写真撮っちゃお」
「んじゃ俺は幸子の大泣きシーンを撮る!」
「鉄朗の意地悪ーっ!」
ポカポカと黒尾を叩きじゃれあいながら、黒尾が涙を流す時は、それが嬉し涙でありますようにと切に願う。
でも今は、
「鉄朗、お誕生日おめでとう!帰ったらプレゼント渡すね」
「おー、楽しみにしてるわ」
繋いだ手をしっかり結びながら、彼の誕生日を精一杯お祝いするのだ。
願わくば、来年もずっとこの先も、生まれてきてくれた事に感謝できますように。
Happy birthday 11/17!!