夏合宿‼︎ 1日目 夜
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幸子からボールを受けとった澤村は、向かい合う形で立つ。
「木梨さん、まずはオーバーで返してみて」
「はいっ!」
「もっと両手でおにぎりの形作るようにして」
「こ、こう…?」
「そう、上手い上手い」
「澤村くんの教え方が上手なんだよ」
パス回しを続けながら素直な感想を述べれば、澤村は少し照れたような笑みを浮かべた。
「でもさ、俺じゃなくて黒尾に教えて貰えば、コツとか伝授してくれるんじゃない?」
「それは…ダメ!秘密特訓にならないから」
…なんとなく分かった気がする。
「木梨さんが上達したい理由ってさ、黒尾と関係あるの?」
「っ、うん。そうなんだ」
澤村が黒尾に喋るとも思えない。本当の事を話しても大丈夫だろう。
「私ね、引退までに少しでもバレー上達して、鉄朗をびっくりさせたくて」
「なるほど。それで内緒で秘密特訓か」
「そうなの。だから普段は朝練前にうちの1年生達と一緒にこっそり練習させて貰ってるんだよ」
なんとも幸子らしいと澤村は思った。
そうして10分程オーバーでのパス回しを続けた頃、澤村が次の指示を飛ばす。
「今度はさ、アンダーで返してみようか」
「う、うんっ。……あっ」
アンダーになった途端、今まで順調に2人の間を行き来していたボールは在らぬ方向へと飛んでいってしまった。
「ご、ごめんなさい!」
「大丈夫大丈夫」
幸子を慰めながら澤村が転がったボールを取りに行っている隙に、幸子は着ていたジャージを脱いだ。運動を始めたからか、とにかく暑くて仕方なかった。
ボールを拾った澤村がこちらに走り寄ってきた。
「ごめんね、澤村くん」
「気にしなくていいって。アンダーはさ、こう手首だけで………?!」
「?」
「……っ」
何だろう…?
押し黙った澤村の顔が赤い。
「澤村くん?」
「あ、ああ。何でもない。手首だけであげようとすると失敗しやすいから、腕全体をあげる感じで打つといいよ」
「なるほど。やってみるね!」
無邪気にはしゃぐ幸子から離れた澤村の顔はまだ赤く。
(あれって、あれ…だよな)
やけに厚着をしているとは思っていたが、まさかあんな事になっているとは。
――いや、彼女の恋人が黒尾であると考えるならば有り得る。
黒尾は飄々とみえて意外と独占欲が強い。それは週末合宿で了承済みだ。
(参ったな…)
ぽりぽりと頬を掻きながら澤村は定位置に戻ったのであった。
「木梨さん、まずはオーバーで返してみて」
「はいっ!」
「もっと両手でおにぎりの形作るようにして」
「こ、こう…?」
「そう、上手い上手い」
「澤村くんの教え方が上手なんだよ」
パス回しを続けながら素直な感想を述べれば、澤村は少し照れたような笑みを浮かべた。
「でもさ、俺じゃなくて黒尾に教えて貰えば、コツとか伝授してくれるんじゃない?」
「それは…ダメ!秘密特訓にならないから」
…なんとなく分かった気がする。
「木梨さんが上達したい理由ってさ、黒尾と関係あるの?」
「っ、うん。そうなんだ」
澤村が黒尾に喋るとも思えない。本当の事を話しても大丈夫だろう。
「私ね、引退までに少しでもバレー上達して、鉄朗をびっくりさせたくて」
「なるほど。それで内緒で秘密特訓か」
「そうなの。だから普段は朝練前にうちの1年生達と一緒にこっそり練習させて貰ってるんだよ」
なんとも幸子らしいと澤村は思った。
そうして10分程オーバーでのパス回しを続けた頃、澤村が次の指示を飛ばす。
「今度はさ、アンダーで返してみようか」
「う、うんっ。……あっ」
アンダーになった途端、今まで順調に2人の間を行き来していたボールは在らぬ方向へと飛んでいってしまった。
「ご、ごめんなさい!」
「大丈夫大丈夫」
幸子を慰めながら澤村が転がったボールを取りに行っている隙に、幸子は着ていたジャージを脱いだ。運動を始めたからか、とにかく暑くて仕方なかった。
ボールを拾った澤村がこちらに走り寄ってきた。
「ごめんね、澤村くん」
「気にしなくていいって。アンダーはさ、こう手首だけで………?!」
「?」
「……っ」
何だろう…?
押し黙った澤村の顔が赤い。
「澤村くん?」
「あ、ああ。何でもない。手首だけであげようとすると失敗しやすいから、腕全体をあげる感じで打つといいよ」
「なるほど。やってみるね!」
無邪気にはしゃぐ幸子から離れた澤村の顔はまだ赤く。
(あれって、あれ…だよな)
やけに厚着をしているとは思っていたが、まさかあんな事になっているとは。
――いや、彼女の恋人が黒尾であると考えるならば有り得る。
黒尾は飄々とみえて意外と独占欲が強い。それは週末合宿で了承済みだ。
(参ったな…)
ぽりぽりと頬を掻きながら澤村は定位置に戻ったのであった。