梟の止まり木
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券売機で見たい映画を選択して座席を選ぶ。
迫力の大画面が余すところなく見渡せるセンター席も魅力的だが、今回は比較的周囲を気にせず映画が楽しめる上手側サイドにある2人席をチョイスした。
「ポップコーン買いますか?」
「ううん、今日は要らない」
劇場でよく御目にかかれる甘いキャラメルポップコーンは確かに好きだ。しかし今日は――それが例えポップコーンでも2人の間に遮るものを置きたくない。
「京治、私の観たい映画に付き合ってくれてありがとう」
「いつもの事ですから気にしないで下さい」
「試合で疲れてると思うし、もしアレだったら寝てていいからね」
「その言葉、そっくりそのまま幸子さんに返しますよ」
「……むぅ」
「ホラ、始まります」
頬を膨らませて軽く睨(ね)めつけると赤葦は涼しい顔を返して前を向く。
程なくして照明が落ち予告編が始まった。
「京治」
それを見計らい隣席の赤葦の肩にコテンと頭を乗せれば彼らしい無情な台詞。
「幸子さん、重いです」
「ちょ、酷…」
反射的に頭を上げようとして、乗せているのと逆側の赤葦の手のひらに制された。
「乗せてて構いませんよ」
「だって重いって言った」
「感想を述べただけです。退かせなんて言ってません」
そんな彼の優しさが嬉しくて更に密着すると、頭上から赤葦の溜め息混じりの声が聞こえてきた。
「これがしたくて今日ポップコーン買わなかったんスか?」
「うっ…」
「図星だね。単純な幸子らしい」
「い、いいでしょ。ホントはバスでだってこうしたかったんだから……っ」
真っ赤になり顔を上げた途端、大胆にもまた唇を塞がれてしまった。
「だから構わないって言ってるでしょう」
そう告げた年下の恋人に自分が敵う日は訪れないのだろうと、幸子は熱に浮かされた頭で実感したのだった。
迫力の大画面が余すところなく見渡せるセンター席も魅力的だが、今回は比較的周囲を気にせず映画が楽しめる上手側サイドにある2人席をチョイスした。
「ポップコーン買いますか?」
「ううん、今日は要らない」
劇場でよく御目にかかれる甘いキャラメルポップコーンは確かに好きだ。しかし今日は――それが例えポップコーンでも2人の間に遮るものを置きたくない。
「京治、私の観たい映画に付き合ってくれてありがとう」
「いつもの事ですから気にしないで下さい」
「試合で疲れてると思うし、もしアレだったら寝てていいからね」
「その言葉、そっくりそのまま幸子さんに返しますよ」
「……むぅ」
「ホラ、始まります」
頬を膨らませて軽く睨(ね)めつけると赤葦は涼しい顔を返して前を向く。
程なくして照明が落ち予告編が始まった。
「京治」
それを見計らい隣席の赤葦の肩にコテンと頭を乗せれば彼らしい無情な台詞。
「幸子さん、重いです」
「ちょ、酷…」
反射的に頭を上げようとして、乗せているのと逆側の赤葦の手のひらに制された。
「乗せてて構いませんよ」
「だって重いって言った」
「感想を述べただけです。退かせなんて言ってません」
そんな彼の優しさが嬉しくて更に密着すると、頭上から赤葦の溜め息混じりの声が聞こえてきた。
「これがしたくて今日ポップコーン買わなかったんスか?」
「うっ…」
「図星だね。単純な幸子らしい」
「い、いいでしょ。ホントはバスでだってこうしたかったんだから……っ」
真っ赤になり顔を上げた途端、大胆にもまた唇を塞がれてしまった。
「だから構わないって言ってるでしょう」
そう告げた年下の恋人に自分が敵う日は訪れないのだろうと、幸子は熱に浮かされた頭で実感したのだった。