見上げた先の景色
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幸運にも大して並ばずに天望デッキに上れた。
「鉄朗、見て見て!」
天望デッキに到着するなり黒尾の手を引っ張り窓際へと先導していく。引っ張られながら「いつになく積極的だなー」とからかってくる黒尾の声音も心なしか弾んでいた。
「素敵…」
暮れる夕陽。
広がる夜の闇。
日没前のこの時だけ。
赤と青のグラデーションが絶妙に空を彩る。
「トワイライトタイムだな」
「トワイライト…?」
「陽が沈んでから完全に夜になるまでの、夜景が最も美しいって言われてる時間帯の事だ」
「ホントに……すごく綺麗だね」
この僅かな時間にしか観れない特別な夜景を大好きな人と眺めているなんて、なんて幸せなんだろう。
「鉄朗…?」
寄り添うようにして見上げれば、なぜか黒尾は苦笑いを浮かべている。
「幸子、そんな顔で見んな」
「ん? 顔…?」
「キスしてくれって顔」
「――~っ?!!」
瞬時に赤くなり慌てふためくのはいつもの事。
「し、してないよ、そんな……っ!!!」
周囲に気づかれない程度の声で反論すれば、黒尾はその様子を面白がってまたからかってくる。
「じゃ、無意識に願望が顔に表れちまったんだな」
「や、だから違うって言って……!!」
ぐぅ~…
「おっ?!」
「あっ!?」
耳に届いた小さくもちょっと間の抜けた音。発生源は幸子の腹で。
「ぶっひゃひゃひゃ。やっぱり幸子は花より団子だよな――って、んな泣きそうな顔すんな」
「っ、だって…」
「別に恥ずかしがる必要ねえよ。腹の虫なんて誰でも鳴るだろーが」
「うん…」
「夜景も堪能したし、ソラマチ戻ってなんか食うか」
そう言って黒尾は己の腹を擦った。
「俺の腹もさっきから鳴りっぱなしだったりする」
「っ、あははっ」
飛び出した言葉に思わず笑ってしまった。
黒尾はこういう人だ。察する事ができる。
申し訳ないと思う反面、その気遣いが嬉しい。
「鉄朗、見て見て!」
天望デッキに到着するなり黒尾の手を引っ張り窓際へと先導していく。引っ張られながら「いつになく積極的だなー」とからかってくる黒尾の声音も心なしか弾んでいた。
「素敵…」
暮れる夕陽。
広がる夜の闇。
日没前のこの時だけ。
赤と青のグラデーションが絶妙に空を彩る。
「トワイライトタイムだな」
「トワイライト…?」
「陽が沈んでから完全に夜になるまでの、夜景が最も美しいって言われてる時間帯の事だ」
「ホントに……すごく綺麗だね」
この僅かな時間にしか観れない特別な夜景を大好きな人と眺めているなんて、なんて幸せなんだろう。
「鉄朗…?」
寄り添うようにして見上げれば、なぜか黒尾は苦笑いを浮かべている。
「幸子、そんな顔で見んな」
「ん? 顔…?」
「キスしてくれって顔」
「――~っ?!!」
瞬時に赤くなり慌てふためくのはいつもの事。
「し、してないよ、そんな……っ!!!」
周囲に気づかれない程度の声で反論すれば、黒尾はその様子を面白がってまたからかってくる。
「じゃ、無意識に願望が顔に表れちまったんだな」
「や、だから違うって言って……!!」
ぐぅ~…
「おっ?!」
「あっ!?」
耳に届いた小さくもちょっと間の抜けた音。発生源は幸子の腹で。
「ぶっひゃひゃひゃ。やっぱり幸子は花より団子だよな――って、んな泣きそうな顔すんな」
「っ、だって…」
「別に恥ずかしがる必要ねえよ。腹の虫なんて誰でも鳴るだろーが」
「うん…」
「夜景も堪能したし、ソラマチ戻ってなんか食うか」
そう言って黒尾は己の腹を擦った。
「俺の腹もさっきから鳴りっぱなしだったりする」
「っ、あははっ」
飛び出した言葉に思わず笑ってしまった。
黒尾はこういう人だ。察する事ができる。
申し訳ないと思う反面、その気遣いが嬉しい。