猫の牽制
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午前練習が滞りなく終了した。
食堂は腹を空かせたバレー部男子達の賑やかな声に包まれる。
孤爪が灰羽、日向と配膳口で食事を受け取っているのを眺めてから黒尾は食券機の前に立った。まだマネージャー業務をしてくれている幸子を待ちながら黒尾が何を食べようか考えていると、背後からかけられた声。
「意外と大胆な戦略を練るんだな」
振り返る。――思った通り澤村だった。
「……なんの話だ?」
「朝の……わざと見せつけたんだろ?」
「ほう。覗きですかー」
「ハハ、覗かせたんだろ。早朝のミーティングルームから笑い声が聞こえてくれば誰だって気になるよ」
澤村は苦笑した。
昨夜の黒尾の言葉通り早めに食堂に向かうと、僅かに開いていたミーティングルームのドアの隙間から笑い声が洩れ聞こえていた。
誰かいるのかと覗いてみれば――‥
「好き。鉄朗が好き」
幸子の表情は黒尾に隠れて見る事は出来なかったが、彼女の声音は黒尾に対する愛しさに溢れていて。直後に黒尾が身を屈めたのを見て、澤村は何が起きているのか悟った。
黒尾が長い月日を共に過ごしてきた幸子の気持ちを疑っているはずもない。
単に彼女を己のものだと澤村に誇示したかった、それなのだろう。
「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。木梨さんはお前しか見てない」
「――‥」
「鉄朗!」
口を開こうとして食堂に到着した幸子に呼ばれた。急いで来たのか彼女の息は上がっている。
「終わったのか?」
「うん、お待たせ。遅くなってごめんね。……あっ、澤村くんも一緒なんだね」
笑顔を見せた幸子から澤村に視線を移した黒尾は顎で券売機を指した。
「一緒に食わねーか?」
「…そうさせて貰うよ」
「決まりだな」
話がまとまった所で3人して食券を購入する。
「何にしよっかな」
「どーせオムライスだろ」
「っ、好きなんだからいいでしょ。鉄朗だって焼き魚定食にするクセにっ」
「残念だったな。今日の俺はA定食を食う」
「――~っ!!!」
幸子が拗ねたように黒尾を睨み付けた。そんな恋人同士のやりとりを眺め、澤村は愉快そうに笑う。
「さすがは幼馴染み兼恋人ってヤツだな」
「恋人兼幼馴染みだ」
食券を手にした黒尾がニヤリとしながら律儀に訂正してきた。
食堂は腹を空かせたバレー部男子達の賑やかな声に包まれる。
孤爪が灰羽、日向と配膳口で食事を受け取っているのを眺めてから黒尾は食券機の前に立った。まだマネージャー業務をしてくれている幸子を待ちながら黒尾が何を食べようか考えていると、背後からかけられた声。
「意外と大胆な戦略を練るんだな」
振り返る。――思った通り澤村だった。
「……なんの話だ?」
「朝の……わざと見せつけたんだろ?」
「ほう。覗きですかー」
「ハハ、覗かせたんだろ。早朝のミーティングルームから笑い声が聞こえてくれば誰だって気になるよ」
澤村は苦笑した。
昨夜の黒尾の言葉通り早めに食堂に向かうと、僅かに開いていたミーティングルームのドアの隙間から笑い声が洩れ聞こえていた。
誰かいるのかと覗いてみれば――‥
「好き。鉄朗が好き」
幸子の表情は黒尾に隠れて見る事は出来なかったが、彼女の声音は黒尾に対する愛しさに溢れていて。直後に黒尾が身を屈めたのを見て、澤村は何が起きているのか悟った。
黒尾が長い月日を共に過ごしてきた幸子の気持ちを疑っているはずもない。
単に彼女を己のものだと澤村に誇示したかった、それなのだろう。
「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。木梨さんはお前しか見てない」
「――‥」
「鉄朗!」
口を開こうとして食堂に到着した幸子に呼ばれた。急いで来たのか彼女の息は上がっている。
「終わったのか?」
「うん、お待たせ。遅くなってごめんね。……あっ、澤村くんも一緒なんだね」
笑顔を見せた幸子から澤村に視線を移した黒尾は顎で券売機を指した。
「一緒に食わねーか?」
「…そうさせて貰うよ」
「決まりだな」
話がまとまった所で3人して食券を購入する。
「何にしよっかな」
「どーせオムライスだろ」
「っ、好きなんだからいいでしょ。鉄朗だって焼き魚定食にするクセにっ」
「残念だったな。今日の俺はA定食を食う」
「――~っ!!!」
幸子が拗ねたように黒尾を睨み付けた。そんな恋人同士のやりとりを眺め、澤村は愉快そうに笑う。
「さすがは幼馴染み兼恋人ってヤツだな」
「恋人兼幼馴染みだ」
食券を手にした黒尾がニヤリとしながら律儀に訂正してきた。