#11 マキシマ
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暫く発見された被害者について語り合っていた幸子と常守であったが、話が一段落した所で沈黙が訪れた。
そうなると思い出してしまうのは、美術室の前でドミネーターが計測した犯罪係数について。
『犯罪係数27。刑事課登録特別執行官 木梨幸子』
シビュラの目であるドミネーターが係数測定を間違えるなど皆無だ。そうなると必然的に導かれるある事実。
(幸子さんは……潜在犯じゃない?)
頷ける。が、同時に湧き出す当たり前の疑問。
(なんで幸子さんはわざわざ執行官に…?)
「朱ちゃん?」
「あっ、な、なに?」
常守はドキリとして顔を上げた。幸子が心配そうに眺めている。
「大丈夫…?」
「う、うん。ちょっと考え事してただけだから」
「……そう」
そしてまた沈黙。
「ねえ、幸子さん」
「ん?」
「常守監視官、木梨執行官」
ガラガラとドアが開き 宜野座が入ってきた。
狡噛の姿はなく、一人だ。
「ギノ、狡……慎也は?」
仲がバレてしまった今 隠す必要もなく、幸子は普段通りの呼び方で尋ねた。
「ああ、狡噛なら…」
幸子は美術室を出て最初にあった階段を降りた。その先の踊り場。狡噛は片手をポケットに突っ込み、背を向けて窓から外を眺めていた。
「慎也」
振り返った狡噛が笑みを湛えている。
「幸子だと思った」
「えっ…!?」
「足音。お前のはすぐ分かる」
刑事という職業柄と言ってしまえばそれまでだが、そんな些細な聞き分けをしてくれる恋人が愛しい。
嬉しさから走り寄れば、すぐに腕を引かれて抱き寄せられた。狡噛の筋肉質な逞しい腕の中に閉じ込められる。
「し、慎也……っ、誰か来たら…!!」
「誰も来ないさ。校舎は閉鎖中だからな」
そう言われてしまえば拒む理由は何もなく。
幸子は狡噛の胸に顔を埋(うず)めた。
煙草が混じる狡噛の匂いと温もりに安心する…。
頭上から降り注ぐのは、いつもの激しさを纏わない優しい声音。
「お前が潜入捜査をしてると聞いて、気が気じゃなかった」
「なにも問題ないよ。朱ちゃんも慎也も心配性なんだから」
「常守?」
なぜそこで彼女の名前が出てくるのか分からない、不思議そうな声。
「うん。危険だ、って…心配してくれたんだ」
「……うかうかしてられないな」
「なにそれっ」
顔を上げて笑いながら尋ねると、同じく笑みを浮かべている狡噛が冗談混じりに言った。
「幸子は俺だけのものだって意味だ」
そっと額に口づけされた。
そうなると思い出してしまうのは、美術室の前でドミネーターが計測した犯罪係数について。
『犯罪係数27。刑事課登録特別執行官 木梨幸子』
シビュラの目であるドミネーターが係数測定を間違えるなど皆無だ。そうなると必然的に導かれるある事実。
(幸子さんは……潜在犯じゃない?)
頷ける。が、同時に湧き出す当たり前の疑問。
(なんで幸子さんはわざわざ執行官に…?)
「朱ちゃん?」
「あっ、な、なに?」
常守はドキリとして顔を上げた。幸子が心配そうに眺めている。
「大丈夫…?」
「う、うん。ちょっと考え事してただけだから」
「……そう」
そしてまた沈黙。
「ねえ、幸子さん」
「ん?」
「常守監視官、木梨執行官」
ガラガラとドアが開き 宜野座が入ってきた。
狡噛の姿はなく、一人だ。
「ギノ、狡……慎也は?」
仲がバレてしまった今 隠す必要もなく、幸子は普段通りの呼び方で尋ねた。
「ああ、狡噛なら…」
幸子は美術室を出て最初にあった階段を降りた。その先の踊り場。狡噛は片手をポケットに突っ込み、背を向けて窓から外を眺めていた。
「慎也」
振り返った狡噛が笑みを湛えている。
「幸子だと思った」
「えっ…!?」
「足音。お前のはすぐ分かる」
刑事という職業柄と言ってしまえばそれまでだが、そんな些細な聞き分けをしてくれる恋人が愛しい。
嬉しさから走り寄れば、すぐに腕を引かれて抱き寄せられた。狡噛の筋肉質な逞しい腕の中に閉じ込められる。
「し、慎也……っ、誰か来たら…!!」
「誰も来ないさ。校舎は閉鎖中だからな」
そう言われてしまえば拒む理由は何もなく。
幸子は狡噛の胸に顔を埋(うず)めた。
煙草が混じる狡噛の匂いと温もりに安心する…。
頭上から降り注ぐのは、いつもの激しさを纏わない優しい声音。
「お前が潜入捜査をしてると聞いて、気が気じゃなかった」
「なにも問題ないよ。朱ちゃんも慎也も心配性なんだから」
「常守?」
なぜそこで彼女の名前が出てくるのか分からない、不思議そうな声。
「うん。危険だ、って…心配してくれたんだ」
「……うかうかしてられないな」
「なにそれっ」
顔を上げて笑いながら尋ねると、同じく笑みを浮かべている狡噛が冗談混じりに言った。
「幸子は俺だけのものだって意味だ」
そっと額に口づけされた。