#03 決断の波紋
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総合分析室を退室した常守は、はあ…と深い溜め息をついた。
第二当直勤務の前に、分析官の唐之杜に狡噛の容体を尋ねに来たのだが。案の定というか、自分の判断した結果を思い知らされる事となってしまった。
頭(かぶり)を振って憂鬱を追い出した常守は、磨かれた廊下を歩き始めようとして呼び止められた。
「常守監視官!」
振り向けば、手を振りながらこちらへ足早に近づいてくる女が一人。
(あの人は確か…)
常守の脳裏に昨日の出来事が甦る。
彼女は倒れた狡噛を悲痛な表情で抱き起こしていた執行官だ。名前は確か――‥
「執行官の木梨幸子。よろしくね」
「よ、よろしく…」
幸子が手を差し出して名乗ると、常守はその手を握り ぎこちない笑顔を向けた。
「常守監視官も第二当直だよね?」
「は、はい!」
「私もなんだ。オフィスまで一緒に行こうよ」
「は、はい!」
返事をしながら常守は、自分が同じ返事を繰り返しているのに気がついた。幸子もそれに気づいていたらしい。クスッと笑った。
「そんなに恐縮しなくても大丈夫だよ。もっと気楽に…ね?」
「は、はい! って今のは決して狙ったとか、わざとじゃなくて…!」
「ふふ…分かってる。リラックスリラックス」
と幸子が常守の両肩をさすった。人懐っこい幸子の様子に、徐々に常守の緊張も和らいでいく。
「父や恩師によく言われてたんですよね。『お前は能天気すぎる!』って」
頭を掻いて苦笑いをすると、幸子は同じように笑ってから こう言った。
「常守監視官はきっと、能天気なんじゃなくて おおらかなんじゃないかな。背伸びしてなくて、自然体だからゆったりと構えてられる。それが見ようによっては能天気に見えるのかもしれないね」
なんというフォロー上手。
常守は照れながらも思わず感心してしまった。
何よりすごいのは、幸子が常守に媚びを売ろうとして言っている雰囲気が全く感じられない事実だ。どうやら本心で思っているらしい。
不思議な人だと常守は思った。でも……
(話しやすいし、木梨さんとは上手くやっていけそうだな)
何もかも初めての職場で、幸子のような同僚がいるのは心強い。
第二当直勤務の前に、分析官の唐之杜に狡噛の容体を尋ねに来たのだが。案の定というか、自分の判断した結果を思い知らされる事となってしまった。
頭(かぶり)を振って憂鬱を追い出した常守は、磨かれた廊下を歩き始めようとして呼び止められた。
「常守監視官!」
振り向けば、手を振りながらこちらへ足早に近づいてくる女が一人。
(あの人は確か…)
常守の脳裏に昨日の出来事が甦る。
彼女は倒れた狡噛を悲痛な表情で抱き起こしていた執行官だ。名前は確か――‥
「執行官の木梨幸子。よろしくね」
「よ、よろしく…」
幸子が手を差し出して名乗ると、常守はその手を握り ぎこちない笑顔を向けた。
「常守監視官も第二当直だよね?」
「は、はい!」
「私もなんだ。オフィスまで一緒に行こうよ」
「は、はい!」
返事をしながら常守は、自分が同じ返事を繰り返しているのに気がついた。幸子もそれに気づいていたらしい。クスッと笑った。
「そんなに恐縮しなくても大丈夫だよ。もっと気楽に…ね?」
「は、はい! って今のは決して狙ったとか、わざとじゃなくて…!」
「ふふ…分かってる。リラックスリラックス」
と幸子が常守の両肩をさすった。人懐っこい幸子の様子に、徐々に常守の緊張も和らいでいく。
「父や恩師によく言われてたんですよね。『お前は能天気すぎる!』って」
頭を掻いて苦笑いをすると、幸子は同じように笑ってから こう言った。
「常守監視官はきっと、能天気なんじゃなくて おおらかなんじゃないかな。背伸びしてなくて、自然体だからゆったりと構えてられる。それが見ようによっては能天気に見えるのかもしれないね」
なんというフォロー上手。
常守は照れながらも思わず感心してしまった。
何よりすごいのは、幸子が常守に媚びを売ろうとして言っている雰囲気が全く感じられない事実だ。どうやら本心で思っているらしい。
不思議な人だと常守は思った。でも……
(話しやすいし、木梨さんとは上手くやっていけそうだな)
何もかも初めての職場で、幸子のような同僚がいるのは心強い。