#10 桜霜学園
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彼女の言葉を黙って聞いていた柴田は、やはり窓の外を眺めたままで。
しかしその口角は 昨日の職員室と同様に自然と引き上がっていた。
一滴(ひとしずく)の濁りもないサイコパスの持ち主であろうこの女から、まさかこんな言葉が聞けるとは。
柴田は笑みを浮かべたままで幸子を振り返った。
「やはり君は面白い」
「えっ…!?」
「柴田先生」
言葉の真意を聞き返そうとすると 廊下から声がかけられた。立っていたのは王陵璃華子。
愛想の良い璃華子にしては無表情の幾分低い声音で、彼女は柴田に告げた。
「部活が始まります」
美術室にいる時は いつでも熱心にカンバスに向かっている璃華子が、今日はその限りではなかった。
整った顔の、その美しい眉を潜めて 読書をする柴田を見据える。
「…なにか不満でもあるのかい?」
分かっているくせに。
わざと柴田は璃華子に問いかける。
「あんな女といると…先生の品位が下がります」
「あんな女とは――」
柴田がチラリと璃華子を見た。
「木梨幸子のことかな?」
璃華子の返事を待たずに彼はまた本に視線を落とす。
「彼女は実に面白い」
「!」
璃華子は唇を噛みしめた。
自分だけが――自分の芸術こそが 柴田を楽しませる事の出来る唯一のはずなのだ。あんなお人好しな新米教師にそれが出来る訳がない。
「私なら、もっと槙島先生を楽しませられます」
胸に片手を充て、璃華子ははっきりと宣言した。
「うん、期待しているよ」
再び本から顔をあげた槙島聖護が不敵に笑った。
しかしその口角は 昨日の職員室と同様に自然と引き上がっていた。
一滴(ひとしずく)の濁りもないサイコパスの持ち主であろうこの女から、まさかこんな言葉が聞けるとは。
柴田は笑みを浮かべたままで幸子を振り返った。
「やはり君は面白い」
「えっ…!?」
「柴田先生」
言葉の真意を聞き返そうとすると 廊下から声がかけられた。立っていたのは王陵璃華子。
愛想の良い璃華子にしては無表情の幾分低い声音で、彼女は柴田に告げた。
「部活が始まります」
美術室にいる時は いつでも熱心にカンバスに向かっている璃華子が、今日はその限りではなかった。
整った顔の、その美しい眉を潜めて 読書をする柴田を見据える。
「…なにか不満でもあるのかい?」
分かっているくせに。
わざと柴田は璃華子に問いかける。
「あんな女といると…先生の品位が下がります」
「あんな女とは――」
柴田がチラリと璃華子を見た。
「木梨幸子のことかな?」
璃華子の返事を待たずに彼はまた本に視線を落とす。
「彼女は実に面白い」
「!」
璃華子は唇を噛みしめた。
自分だけが――自分の芸術こそが 柴田を楽しませる事の出来る唯一のはずなのだ。あんなお人好しな新米教師にそれが出来る訳がない。
「私なら、もっと槙島先生を楽しませられます」
胸に片手を充て、璃華子ははっきりと宣言した。
「うん、期待しているよ」
再び本から顔をあげた槙島聖護が不敵に笑った。