銃口を司る正義
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ぬるりとした気持ちの悪い感触が 幸子に今、狡噛以外の男と唇を重ねているのだと実感させた。
「ふ……、や、だ……!」
渾身の力で警備員の胸を押し退けた。そうしてようやく悪夢から解放される。いや、そうじゃない。むしろ悪夢は続いていて これからもつきまとうのだ。
「うっ……」
嗚咽を洩らし、幸子は手で口許を抑えた。涙が止めどなく溢れる。まだ自分の身に起きた事が信じられなかった。
刑事として 危ない橋もそれなりに渡って来たし、ストーカー事件に関わった事もある。
しかしそれは第三者の立場としての話だ。渦中に置かれればこんな簡単に刑事の仮面は剥がれ、狼狽している。
なんと自分は脆いのかと思い知らされる。
「木梨さん、泣かないで下さい…。あなたにそんな顔は似合わない」
「っ、触らないで…っ」
反射的に自分を守ろうとして、頬に伸びてきた警備員の手を払う。が、警備員は全く動じることなく再び幸子に手を伸ばし、抱き寄せると背中をさすった。
「や、嫌っ!離して…っ」
「落ち着いて下さい。大丈夫ですから」
もがく幸子を力で押さえつけ、自分勝手な抱擁に浸る警備員。
己が仕掛けた罪が幸子を泣かせるきっかけを作ったというのに……まるで他人事のように彼女を心配するその様は何処か狂気めいて映り、幸子の背筋をぞくりとさせた。
「……お願い…帰して…」
「諦めて下さい」
無情な声が耳の割りと近くで響いた。
(っ、慎也…)
狡噛を想う。
そういえば勤務あけに食堂で落ち合う約束だった。
あれから何時間経ったのだろう。
狡噛は…自分を探しているだろうか。それとも待ちくたびれて帰ったと思っているか。
会いたい――‥
ここから連れ出して。
助けて、ほしい。助けて。
「助けて……慎也……、きゃあ!」
その名を呟いたのと、背中に強い衝撃を受けたのが、ほぼ同時だった。
「ふ……、や、だ……!」
渾身の力で警備員の胸を押し退けた。そうしてようやく悪夢から解放される。いや、そうじゃない。むしろ悪夢は続いていて これからもつきまとうのだ。
「うっ……」
嗚咽を洩らし、幸子は手で口許を抑えた。涙が止めどなく溢れる。まだ自分の身に起きた事が信じられなかった。
刑事として 危ない橋もそれなりに渡って来たし、ストーカー事件に関わった事もある。
しかしそれは第三者の立場としての話だ。渦中に置かれればこんな簡単に刑事の仮面は剥がれ、狼狽している。
なんと自分は脆いのかと思い知らされる。
「木梨さん、泣かないで下さい…。あなたにそんな顔は似合わない」
「っ、触らないで…っ」
反射的に自分を守ろうとして、頬に伸びてきた警備員の手を払う。が、警備員は全く動じることなく再び幸子に手を伸ばし、抱き寄せると背中をさすった。
「や、嫌っ!離して…っ」
「落ち着いて下さい。大丈夫ですから」
もがく幸子を力で押さえつけ、自分勝手な抱擁に浸る警備員。
己が仕掛けた罪が幸子を泣かせるきっかけを作ったというのに……まるで他人事のように彼女を心配するその様は何処か狂気めいて映り、幸子の背筋をぞくりとさせた。
「……お願い…帰して…」
「諦めて下さい」
無情な声が耳の割りと近くで響いた。
(っ、慎也…)
狡噛を想う。
そういえば勤務あけに食堂で落ち合う約束だった。
あれから何時間経ったのだろう。
狡噛は…自分を探しているだろうか。それとも待ちくたびれて帰ったと思っているか。
会いたい――‥
ここから連れ出して。
助けて、ほしい。助けて。
「助けて……慎也……、きゃあ!」
その名を呟いたのと、背中に強い衝撃を受けたのが、ほぼ同時だった。