目を覚ますと見慣れない天井が目に入った。
「ここは…？」
体を起こそうとするが、全身がだるくうまくいかなかった。…先程嗅がされた睡眠薬が体に残っているのだろう。
起きるのを諦めてキョロキョロと辺りを伺う。
殺風景な部屋だ。なんだかすごく天井が低い。
ここは姿見えぬ者のアジトだろうか。なんだかゾッとする。
(早く逃げなくちゃ…)
幸い部屋に人影はない。
幸子が起きないと思い油断しているのか。ならば絶好のチャンス。
気力を奮い起たせてだるい体を起こした幸子は、足元から聞こえたジャラ…という金属音に驚愕する。
「な、なにこれ…？」
幸子の左足首には枷。
枷には鎖が繋がっており、鎖の先端はベッドの足にくくりつけられていた。
「目が覚めましたか？」
突然聞こえた声に、反射的に顔をあげる。幸子は信じられないものを見たように目を見開き、小さく声を出した。
「あ、あなたは…警備員さん……!?」
そこには公安局で見た姿そのままの警備員が立っていた。