銃口を司る正義
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ふうと小さく息をついて狡噛慎也は電話を切った。
コール音が鳴り響くだけで一向に出る気配のない相手に痺れを切らせたのだ。
「何処へ行ったんだ……幸子」
電話をかけた相手は幸子。解決した事件の報告書作成の為、残業した己の一時間前に幸子は退勤している。
「食堂で待ってるね」
はにかむように小声で告げてデスクを立った幸子。彼女の言葉通り食堂に来てみたものの、その姿は何処にもなかった。
エレベーターを使い 一度刑事課オフィスのあるフロアへ戻った狡噛は、幸子に電話をかけ今に至る。
なんとなく心がざわめくのは、最近の幸子の様子のおかしさからだ。
(幸子……!)
それが刑事の勘だとしたら皮肉なものだ。狡噛は頭(かぶり)を振って嫌な想像を追い出した。
「お疲れさまです」
ふいに声をかけられ振り返ると、見知った顔が人懐っこい笑顔を湛えて立っていた。
彼は…公安局の警備員だ。
廊下で何度か擦れ違っており、その都度挨拶を交わす内に雑談をするようになった。
「やあ、お疲れさま」
焦燥を隠し笑みを見せながら挨拶を返した。
警備員は狡噛の様子に何か思う所があったのだろう。眉を八の字に潜めた。
「お疲れのようですね、狡噛監視官」
「……仕事が立て込んでいて」
それは大変ですね…と警備員は労る口調で応えた。彼は狡噛より年上であるが礼儀正しく敬意を持って接してくれる。
「そういえば……不審な人物を目撃しませんでしたか?」
「不審な人物…? いえ、特には」
警備員は首を横に振った。
「不審者が公安局に出入りするなんて我々が許しませんからね」
警備員の言う通りだ。
彼らの職務を軽んじる愚かな質問をしてしまったと狡噛は罪悪感を感じた。
「確かにそうでした。すみません、無粋な質問をしました」
「気になさらないで下さい」
と警備員が笑顔を作る。
このような懐深い青年が砦である公安局をしっかりと護ってくれているからこそ、自分達は安心して刑事という任を全うできるのだと実感する。
コール音が鳴り響くだけで一向に出る気配のない相手に痺れを切らせたのだ。
「何処へ行ったんだ……幸子」
電話をかけた相手は幸子。解決した事件の報告書作成の為、残業した己の一時間前に幸子は退勤している。
「食堂で待ってるね」
はにかむように小声で告げてデスクを立った幸子。彼女の言葉通り食堂に来てみたものの、その姿は何処にもなかった。
エレベーターを使い 一度刑事課オフィスのあるフロアへ戻った狡噛は、幸子に電話をかけ今に至る。
なんとなく心がざわめくのは、最近の幸子の様子のおかしさからだ。
(幸子……!)
それが刑事の勘だとしたら皮肉なものだ。狡噛は頭(かぶり)を振って嫌な想像を追い出した。
「お疲れさまです」
ふいに声をかけられ振り返ると、見知った顔が人懐っこい笑顔を湛えて立っていた。
彼は…公安局の警備員だ。
廊下で何度か擦れ違っており、その都度挨拶を交わす内に雑談をするようになった。
「やあ、お疲れさま」
焦燥を隠し笑みを見せながら挨拶を返した。
警備員は狡噛の様子に何か思う所があったのだろう。眉を八の字に潜めた。
「お疲れのようですね、狡噛監視官」
「……仕事が立て込んでいて」
それは大変ですね…と警備員は労る口調で応えた。彼は狡噛より年上であるが礼儀正しく敬意を持って接してくれる。
「そういえば……不審な人物を目撃しませんでしたか?」
「不審な人物…? いえ、特には」
警備員は首を横に振った。
「不審者が公安局に出入りするなんて我々が許しませんからね」
警備員の言う通りだ。
彼らの職務を軽んじる愚かな質問をしてしまったと狡噛は罪悪感を感じた。
「確かにそうでした。すみません、無粋な質問をしました」
「気になさらないで下さい」
と警備員が笑顔を作る。
このような懐深い青年が砦である公安局をしっかりと護ってくれているからこそ、自分達は安心して刑事という任を全うできるのだと実感する。