銃口を司る正義
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翌日。三人の監視官を乗せたパトカーは 首都高を走り 事件現場から公安局へと帰還した。
「先にオフィスへ戻っていてくれ。車を停めてくる」
「すまないな 狡噛」
「慎也ありがとう」
幸子と宜野座を玄関前に降ろし、狡噛は駐車場へ車を停めにいった。
「それで?」
遠ざかるパトカーから幸子に視線を移しながら 宜野座がくいっと眼鏡を上げて問う。
「なに?」
「狡噛に何を隠しているんだ?」
宜野座の質問は簡潔だったが あまりにも的を射た内容だった。すぐに己を見つめる姿見えぬ人物の影が頭に浮かぶ。
「別に。なーんにも隠してないよ」
動揺を隠しつつ あっけらかんとした体を装い答えてみるが、宜野座はその答えを予期していたかのように口角を引き上げた。
「ちょっと伸元…なにその笑い?!」
「いや、狡噛の言う通りだと思ってな」
「慎也の…?」
「俺も常々思っていたことだ」
宜野座は幸子を見た。切れ長の涼しげな瞳が幸子を捉えていた。
「お前は嘘をつくのが下手だな、幸子」
「う、嘘なんて…っ、いたっ!」
宜野座は反論しようとする幸子の眉間に人差し指を向け、そこをつんっと軽く弾いた。
「一人で抱え込むな。もっと頼れ。狡噛や……俺を」
「伸元…」
頼りにしてない訳じゃない(むしろ頼りまくっている)だからと言って狡噛や宜野座を確証なき話に巻き込む気にはなれないのだが……彼になら聞いてもらっても良いのだろうか?
「…慎也には絶対に話さないって約束してくれる?」
「ああ、分かった」
幸子は一呼吸置くと一瞬躊躇う様子を見せたが口を開いた。
「視線を感じるの」
「視線…?」
「うん、公安局にいる時に限って誰かに見られてるような気がして…」
「なんだそれは!? まるきりストーカーじゃないか」
「う、うん…」
宜野座は両腕を組んだまま暫し沈黙した。
幸子は自意識過剰な方ではない。むしろ思慮深いくらいだ。
そんな彼女がこんな風に言うからには、それなりの根拠があるのだろう。
しかし同時に公安局のセキュリティが不審者の徘徊を許すほど甘くないのもまた事実で。
「局内はサイコパススキャナーが張り巡らされているのは周知の事実だ。そんな場所で堂々と犯罪を犯そうとするなど無謀すぎる。無いに等しい」
「…そうなんだよね」
ストーカーなどサイコパススキャナーにかかれば真っ先に御用になっているだろう。
「――だが、お前が感じたというならば 刑事の勘がそう告げているのかもしれないな。注意するに越した事はないだろう」
言いながら宜野座はチラリと時計を気にして歩みを進めた。自動ドアが音もなく開く。
「幸子」
自動ドアを潜った所で宜野座は足を止め、後ろを歩く幸子もまた必然的に歩みを止めた。
「お前の言葉を信じる」
「!?」
「何かあったら直ぐに言え」
「伸元…」
「さっさとオフィスへ戻るぞ。事件は待ってはくれない」
「っ、うん!」
冷静なように見えて温かい。そんな宜野座の言葉は幸子の心を軽くした。
「………」
そんな2人の様子を食い入るように見つめる狂気の瞳に、この時の幸子は気づいていなかった。
「先にオフィスへ戻っていてくれ。車を停めてくる」
「すまないな 狡噛」
「慎也ありがとう」
幸子と宜野座を玄関前に降ろし、狡噛は駐車場へ車を停めにいった。
「それで?」
遠ざかるパトカーから幸子に視線を移しながら 宜野座がくいっと眼鏡を上げて問う。
「なに?」
「狡噛に何を隠しているんだ?」
宜野座の質問は簡潔だったが あまりにも的を射た内容だった。すぐに己を見つめる姿見えぬ人物の影が頭に浮かぶ。
「別に。なーんにも隠してないよ」
動揺を隠しつつ あっけらかんとした体を装い答えてみるが、宜野座はその答えを予期していたかのように口角を引き上げた。
「ちょっと伸元…なにその笑い?!」
「いや、狡噛の言う通りだと思ってな」
「慎也の…?」
「俺も常々思っていたことだ」
宜野座は幸子を見た。切れ長の涼しげな瞳が幸子を捉えていた。
「お前は嘘をつくのが下手だな、幸子」
「う、嘘なんて…っ、いたっ!」
宜野座は反論しようとする幸子の眉間に人差し指を向け、そこをつんっと軽く弾いた。
「一人で抱え込むな。もっと頼れ。狡噛や……俺を」
「伸元…」
頼りにしてない訳じゃない(むしろ頼りまくっている)だからと言って狡噛や宜野座を確証なき話に巻き込む気にはなれないのだが……彼になら聞いてもらっても良いのだろうか?
「…慎也には絶対に話さないって約束してくれる?」
「ああ、分かった」
幸子は一呼吸置くと一瞬躊躇う様子を見せたが口を開いた。
「視線を感じるの」
「視線…?」
「うん、公安局にいる時に限って誰かに見られてるような気がして…」
「なんだそれは!? まるきりストーカーじゃないか」
「う、うん…」
宜野座は両腕を組んだまま暫し沈黙した。
幸子は自意識過剰な方ではない。むしろ思慮深いくらいだ。
そんな彼女がこんな風に言うからには、それなりの根拠があるのだろう。
しかし同時に公安局のセキュリティが不審者の徘徊を許すほど甘くないのもまた事実で。
「局内はサイコパススキャナーが張り巡らされているのは周知の事実だ。そんな場所で堂々と犯罪を犯そうとするなど無謀すぎる。無いに等しい」
「…そうなんだよね」
ストーカーなどサイコパススキャナーにかかれば真っ先に御用になっているだろう。
「――だが、お前が感じたというならば 刑事の勘がそう告げているのかもしれないな。注意するに越した事はないだろう」
言いながら宜野座はチラリと時計を気にして歩みを進めた。自動ドアが音もなく開く。
「幸子」
自動ドアを潜った所で宜野座は足を止め、後ろを歩く幸子もまた必然的に歩みを止めた。
「お前の言葉を信じる」
「!?」
「何かあったら直ぐに言え」
「伸元…」
「さっさとオフィスへ戻るぞ。事件は待ってはくれない」
「っ、うん!」
冷静なように見えて温かい。そんな宜野座の言葉は幸子の心を軽くした。
「………」
そんな2人の様子を食い入るように見つめる狂気の瞳に、この時の幸子は気づいていなかった。