銃口を司る正義
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廊下を歩きながら幸子は小さく溜め息をついた。
やはり狡噛は鋭い。幸子の事なら何でもお見通しだ。
(やっぱり慎也に話すべきかな…)
思いながら幸子はエレベーターのボタンを押した。
心配事がある。
いや、心配というより不安要素というべきか。でも……。
(誰かに見られてる気がするなんて…慎也に話せないよ……)
2週間程前から視線を感じるようになった。
オフィスへ向かう途中で。
研究室へ向かう途中で。
食堂へ向かう途中で。
様々な場所で、何者かに見られていると感じることがあった。――しかし
(視線を感じるのって、決まって公安局にいる時なんだよね)
それはつまり、姿見えぬ者(便宜上"ストーカー"と呼ぶ)が内部にいる事実を示している。
シビュラシステムの膝下である公安局内部で、そんな怪しい行動をする者が徘徊できる訳がない。
公安局の関係者がストーカー? …そんなの馬鹿げている。犯罪係数が高い者が働ける場所ではないのだ。
幸子自身、自意識過剰だと己を嘲笑できればどれほど気が楽だろうか。だがどうしても気のせいで済ます事が出来ない。
「あっ…」
なんとなしに横を向いた幸子は、こちらに歩いて来る人物に気づいて軽く会釈した。
どうやら向こうも幸子に気づいたらしい。会釈を返してくる。
「木梨さん、お疲れさまです」
人懐っこそうな笑顔の男は20代後半くらいだろう。
日焼けした肌と、がっしりしているが引き締まった筋肉質な体格から健康的な印象を受ける。
「お疲れさまです、警備員さん」
「上がりですか?」
「はい、今日も無事に勤めを終えました」
「それはご苦労さまです」
公安局の警備員である彼とは数日前に知り合った。幸子の落とした手帳を拾って届けてくれたのだ。
ちなみに幸子は しでかしてしまった大ぽかに、この時初めて気づくという有り様。…我ながら情けない。
つまり彼は恩人である。
「木梨さん…なんだか疲れた顔してますね。帰ったら早く休んで下さい」
「ありがとうございます」
優しい気遣いに癒される。
その時、ちょうどエレベーターが来てドアが開いた。
「お先に失礼します。警備員さんもお仕事頑張って下さいね」
「はい!ありがとうございます」
エレベーターに乗り込み、ボタンを押しながら幸子はふと思う。
もしかしたら彼になら、打ち明けられるだろうか…。
やはり狡噛は鋭い。幸子の事なら何でもお見通しだ。
(やっぱり慎也に話すべきかな…)
思いながら幸子はエレベーターのボタンを押した。
心配事がある。
いや、心配というより不安要素というべきか。でも……。
(誰かに見られてる気がするなんて…慎也に話せないよ……)
2週間程前から視線を感じるようになった。
オフィスへ向かう途中で。
研究室へ向かう途中で。
食堂へ向かう途中で。
様々な場所で、何者かに見られていると感じることがあった。――しかし
(視線を感じるのって、決まって公安局にいる時なんだよね)
それはつまり、姿見えぬ者(便宜上"ストーカー"と呼ぶ)が内部にいる事実を示している。
シビュラシステムの膝下である公安局内部で、そんな怪しい行動をする者が徘徊できる訳がない。
公安局の関係者がストーカー? …そんなの馬鹿げている。犯罪係数が高い者が働ける場所ではないのだ。
幸子自身、自意識過剰だと己を嘲笑できればどれほど気が楽だろうか。だがどうしても気のせいで済ます事が出来ない。
「あっ…」
なんとなしに横を向いた幸子は、こちらに歩いて来る人物に気づいて軽く会釈した。
どうやら向こうも幸子に気づいたらしい。会釈を返してくる。
「木梨さん、お疲れさまです」
人懐っこそうな笑顔の男は20代後半くらいだろう。
日焼けした肌と、がっしりしているが引き締まった筋肉質な体格から健康的な印象を受ける。
「お疲れさまです、警備員さん」
「上がりですか?」
「はい、今日も無事に勤めを終えました」
「それはご苦労さまです」
公安局の警備員である彼とは数日前に知り合った。幸子の落とした手帳を拾って届けてくれたのだ。
ちなみに幸子は しでかしてしまった大ぽかに、この時初めて気づくという有り様。…我ながら情けない。
つまり彼は恩人である。
「木梨さん…なんだか疲れた顔してますね。帰ったら早く休んで下さい」
「ありがとうございます」
優しい気遣いに癒される。
その時、ちょうどエレベーターが来てドアが開いた。
「お先に失礼します。警備員さんもお仕事頑張って下さいね」
「はい!ありがとうございます」
エレベーターに乗り込み、ボタンを押しながら幸子はふと思う。
もしかしたら彼になら、打ち明けられるだろうか…。