#08 宴あと
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狡噛と幸子が去った後――常守は後を追いかけようとしてソファに躓いた。
「おいおい、朱ちゃん。酔っぱらってんの~?」
嵐が去り、既にいつもの調子を取り戻した縢がヘラッと笑った。
ソファの背もたれ部分に掴まり辛うじて体勢を立て直した常守は、ガバリと縢を振り返って捲し立てた。
「ど、どうしよう縢くん。さっきの話…狡噛さんに聞かれちゃったかな!?」
「話~?さーあ、どうだかなー…」
「幸子さん、大丈夫かな?」
「おしおきされちまうんじゃねーの?」
「??!」
何気なくさらりと縢の言い放った言葉に過剰に反応する常守。ヘタリとソファに座り込み頭を抱える。
「あー…どうしよう、私のせいで幸子さんが…。ていうか、なんで狡噛さんはいつも幸子さんを標的にするかなぁ…」
「あん? 標的?」
完全にハテナ顔の縢。
「この前だって幸子さんにセクハラしたんだよ、狡噛さん」
「コウちゃんが幸子ちゃんにセクハラ?!!」
目を丸くした縢が次には盛大に吹き出した。
「あはははは、そりゃいいや!まさかあのコウちゃんが公衆の面前でねえ」
「笑い事じゃないよ!」
最初、縢は常守が冗談で言っているんだと思っていた。しかし彼女が到って真面目に話していると知ると、今度はきょとんとした目で常守を見た。
「もしかして朱ちゃん……知らないの?」
「何を?」
「いや、だからコウちゃんと――」
「ごめん、縢くん。私やっぱり幸子さんを助けに行ってくる!」
「助けにって……おい、朱ちゃん!?」
止める間もなく常守は走り去った。
後に残された縢はソファに深く座り直してくいっと酒を煽った。
「ま、いっか。真相は自分の目で確かめねーとな」
酔いも手伝い勢いで狡噛の部屋の前まで来た常守は、ドアに手をかけようとして動きを止めた。
「っ、あ……」
呻くような声が聞こえた。
声は小さいが どうやらドアのすぐ近くで発されたようだ。声の主は幸子に間違いない。
(幸子さん…今助けるからね!)
そんな常守の意気込みは、次の瞬間ものの見事に砕けてしまった。
「あ……慎也…っ」
「幸子…」
「??!!」
聞いたことのないような幸子の甘えた声と……狡噛の低く優しい声音。
そして常守は全てを悟った。
(あの2人……恋人同士だったんだ…)
それでは今、この部屋の中では――‥
ふらりと一、二歩後ずさる。
常守は顔を火照らせながら暫くドアを見つめていた。
「おいおい、朱ちゃん。酔っぱらってんの~?」
嵐が去り、既にいつもの調子を取り戻した縢がヘラッと笑った。
ソファの背もたれ部分に掴まり辛うじて体勢を立て直した常守は、ガバリと縢を振り返って捲し立てた。
「ど、どうしよう縢くん。さっきの話…狡噛さんに聞かれちゃったかな!?」
「話~?さーあ、どうだかなー…」
「幸子さん、大丈夫かな?」
「おしおきされちまうんじゃねーの?」
「??!」
何気なくさらりと縢の言い放った言葉に過剰に反応する常守。ヘタリとソファに座り込み頭を抱える。
「あー…どうしよう、私のせいで幸子さんが…。ていうか、なんで狡噛さんはいつも幸子さんを標的にするかなぁ…」
「あん? 標的?」
完全にハテナ顔の縢。
「この前だって幸子さんにセクハラしたんだよ、狡噛さん」
「コウちゃんが幸子ちゃんにセクハラ?!!」
目を丸くした縢が次には盛大に吹き出した。
「あはははは、そりゃいいや!まさかあのコウちゃんが公衆の面前でねえ」
「笑い事じゃないよ!」
最初、縢は常守が冗談で言っているんだと思っていた。しかし彼女が到って真面目に話していると知ると、今度はきょとんとした目で常守を見た。
「もしかして朱ちゃん……知らないの?」
「何を?」
「いや、だからコウちゃんと――」
「ごめん、縢くん。私やっぱり幸子さんを助けに行ってくる!」
「助けにって……おい、朱ちゃん!?」
止める間もなく常守は走り去った。
後に残された縢はソファに深く座り直してくいっと酒を煽った。
「ま、いっか。真相は自分の目で確かめねーとな」
酔いも手伝い勢いで狡噛の部屋の前まで来た常守は、ドアに手をかけようとして動きを止めた。
「っ、あ……」
呻くような声が聞こえた。
声は小さいが どうやらドアのすぐ近くで発されたようだ。声の主は幸子に間違いない。
(幸子さん…今助けるからね!)
そんな常守の意気込みは、次の瞬間ものの見事に砕けてしまった。
「あ……慎也…っ」
「幸子…」
「??!!」
聞いたことのないような幸子の甘えた声と……狡噛の低く優しい声音。
そして常守は全てを悟った。
(あの2人……恋人同士だったんだ…)
それでは今、この部屋の中では――‥
ふらりと一、二歩後ずさる。
常守は顔を火照らせながら暫くドアを見つめていた。