銃口を司る正義
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
宜野座への報告を終え、幸子は一息つこうと紅茶をストレートのまま口に含んだ。
渋い茶葉の香りが口内に広がっていく。
「思ったよりあっさりしてたな」
「そう、かな。伸元らしい反応だったと思うけど」
「そうか?」
「?……」
歯切れの悪い狡噛。
「何か気になる所でもあった?」
「てっきりギノは――」
「ん?」
「………」
「……慎也?」
「いや、何でもない。とにかく肩の荷が降りたよ」
「?……そう、だね」
コーヒーを飲み始めた狡噛に倣い、幸子ももう一口紅茶を口に運んだ。
(俺の思い違いだったようだな)
目の前に置かれた主のないコーヒーカップを見て狡噛は思う。
(ギノも幸子を好きなんじゃないかと思っていたんだが)
思い違いなら、その方が良い。
友人の恋の芽を摘んでしまったのなら、その方が辛いから。
―――――‥‥
「宜野座君じゃない」
仕事上がりに腹を満たそうと食堂に寄った青柳は、奥の座席に宜野座の姿を認め声をかけた。
「ご一緒しても構わないかしら?」
尋ねると小さく縦に頷く。
青柳がカレーうどんおんたま乗せをトレイごとテーブルに置いたと同時に宜野座は口を開いていた。
「……狡噛と幸子の関係を聞いた」
「…そう」
割り箸を持つ手を一瞬止めて応えた青柳は、パチンと割り箸をふたつに割る。レンゲでスパイシーなスープを掬うとまずは一口。
「それで? 宜野座君は何て応えたの?」
「公私混同しなければ好きにしろ、と」
「ふうん」
頷いた青柳がちらりと宜野座を見ると、拗ねたような表情。
もう一度視線をうどんに戻して絶妙にカレールウの絡んだ麺を食べる。
「宜野座君にも良い人が見つかるわよ」
「っ…な、なんの話だ!?」
「そういう話」
こちらを見た青柳がぱちんとウインクする。
心の内を見透かされたようで、宜野座は真っ赤になりながら否定する。
「お、俺は別に……!!」
「誰も宜野座君が幸子を好きだなんて言ってないでしょ」
「――~っ」
茶化されているように感じた宜野座が言い返そうとしたが、勘づいた青柳が先手を打つ。
「狡噛君と幸子の間に入るのは誰だって無理よ」
「なぜそう言い切れる?」
「あの2人は磁石みたいなモンなのよ。放っておいても自然と惹かれあって鞘に収まる」
宜野座は黙って話を聞いていた。その様子に青柳は肩を竦めた。
「まあ、恋愛云々抜きにしても戸惑うわよね。友人と幼馴染みが、ある日突然恋人同士になってたりしたら」
「俺は」
「?……」
だが宜野座がその先を続ける事はなかった。
代わりに青柳はテーブルの上に乗せられていた宜野座の手にポンと己の手を乗せた。
「ほら、宜野座君も顔をあげて。もしかしたら、素敵な人があなたの目の前にいるかもしれないわよ?」
悪戯っぽく笑う青柳に釣られて宜野座も小さく笑みを見せた。
渋い茶葉の香りが口内に広がっていく。
「思ったよりあっさりしてたな」
「そう、かな。伸元らしい反応だったと思うけど」
「そうか?」
「?……」
歯切れの悪い狡噛。
「何か気になる所でもあった?」
「てっきりギノは――」
「ん?」
「………」
「……慎也?」
「いや、何でもない。とにかく肩の荷が降りたよ」
「?……そう、だね」
コーヒーを飲み始めた狡噛に倣い、幸子ももう一口紅茶を口に運んだ。
(俺の思い違いだったようだな)
目の前に置かれた主のないコーヒーカップを見て狡噛は思う。
(ギノも幸子を好きなんじゃないかと思っていたんだが)
思い違いなら、その方が良い。
友人の恋の芽を摘んでしまったのなら、その方が辛いから。
―――――‥‥
「宜野座君じゃない」
仕事上がりに腹を満たそうと食堂に寄った青柳は、奥の座席に宜野座の姿を認め声をかけた。
「ご一緒しても構わないかしら?」
尋ねると小さく縦に頷く。
青柳がカレーうどんおんたま乗せをトレイごとテーブルに置いたと同時に宜野座は口を開いていた。
「……狡噛と幸子の関係を聞いた」
「…そう」
割り箸を持つ手を一瞬止めて応えた青柳は、パチンと割り箸をふたつに割る。レンゲでスパイシーなスープを掬うとまずは一口。
「それで? 宜野座君は何て応えたの?」
「公私混同しなければ好きにしろ、と」
「ふうん」
頷いた青柳がちらりと宜野座を見ると、拗ねたような表情。
もう一度視線をうどんに戻して絶妙にカレールウの絡んだ麺を食べる。
「宜野座君にも良い人が見つかるわよ」
「っ…な、なんの話だ!?」
「そういう話」
こちらを見た青柳がぱちんとウインクする。
心の内を見透かされたようで、宜野座は真っ赤になりながら否定する。
「お、俺は別に……!!」
「誰も宜野座君が幸子を好きだなんて言ってないでしょ」
「――~っ」
茶化されているように感じた宜野座が言い返そうとしたが、勘づいた青柳が先手を打つ。
「狡噛君と幸子の間に入るのは誰だって無理よ」
「なぜそう言い切れる?」
「あの2人は磁石みたいなモンなのよ。放っておいても自然と惹かれあって鞘に収まる」
宜野座は黙って話を聞いていた。その様子に青柳は肩を竦めた。
「まあ、恋愛云々抜きにしても戸惑うわよね。友人と幼馴染みが、ある日突然恋人同士になってたりしたら」
「俺は」
「?……」
だが宜野座がその先を続ける事はなかった。
代わりに青柳はテーブルの上に乗せられていた宜野座の手にポンと己の手を乗せた。
「ほら、宜野座君も顔をあげて。もしかしたら、素敵な人があなたの目の前にいるかもしれないわよ?」
悪戯っぽく笑う青柳に釣られて宜野座も小さく笑みを見せた。