銃口を司る正義
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アールグレイティーをアイスで注文し、それを片手に隅の4人掛けテーブルへと移動した。
椅子に鞄を置いてその隣に腰をかける。
(だめだ。じっとなんかしていられないよ)
完全にこの後の事を考えて浮き足立ってしまっていた。居ても立ってもいられないとはこの事か。
とにかく落ち着いて読書でもしようと幸子は通勤鞄から一冊の本を取り出した。この時代には珍しい紙の本。
挟んでいたしおりを外し読み進めようとするが、
「な、内容が頭に入ってこない…」
全く集中できない。
狡噛と恋人同士になって初めて一緒に出掛けるのだ。実際呑気に本を読んでいる場合ではない。
何を食べてどんな会話をしよう。
どうせなら狡噛が喜んでくれるような場所に食事に行きたい。
それに――当然だが2人きりだ。
今までも何回かそんなシチュエーションがあったが、今までとは意味合いが違う。
(改めて2人きりなんて…なんだか恥ずかしいよ)
学生時代に憧れや好きな人もいたが、どれも交際に発展する程ではなかった。
つまり世間一般の恋人がする行為を全くした事がない。
男性に抱きしめられたのもあれが初めてだ。
幸子の体には先程狡噛に抱きしめられた時の温かさや感触が残っていた。
これからもまた、あんな風に抱きしめられたりするのだろうか。
……もしかしたら、それ以上も。
(やだな。私、何考えてるんだろう)
「木梨」
「っ、きゃあぁあっ!!!」
突然声をかけられて幸子は声を上げてしまった。
テーブルの脇に狡噛が立っていた。僅かに息を切らしている。
今のはしたない思考がバレてないかと動揺する。
「どうした。大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ちょっとボーッとしてたから、驚いただけ」
「はは。本を読みながらボーッとしてたのか?」
「う、うん……そう」
は、恥ずかしすぎる!
開いていた本を読んでなかったのもバレバレだ。
なんとなく幸子の羞恥を察したのか、狡噛は芝居がかった口調で尋ねてくる。
「…もしかして、俺の事を考えてた?」
「……っ?!!!」
分かりやすく動揺を見せた幸子に、尋ねた狡噛本人も動揺してしまった。
「参ったな、図星だとは思わなかった。…でも嬉しいよ」
照れたような笑顔を見せる狡噛の姿に安堵した。
「自分から誘っておいて遅刻してすまない」
「ううん。忙しいのはお互い様だもん。…仕事は大丈夫だった?」
「ああ。和久さんとの引き継ぎに少し時間を食っただけだ。……それより」
と狡噛の視線が幸子の手に移る。
「木梨も紙の本を読むんだな」
「あっ、そうなの。手触りとか何回も読み返せるのが好きで、何冊か買ってみたんだ。
狡噛くんも読むの? 紙の本」
「実はそうなんだ。なあ、それ面白いか?」
「まだ途中だけど、中々面白いよ。あのね――」
「待った。せっかくだから場所を移すか」
「うんっ!」
幸子は本を閉じ、自然な笑顔で頷いた。
椅子に鞄を置いてその隣に腰をかける。
(だめだ。じっとなんかしていられないよ)
完全にこの後の事を考えて浮き足立ってしまっていた。居ても立ってもいられないとはこの事か。
とにかく落ち着いて読書でもしようと幸子は通勤鞄から一冊の本を取り出した。この時代には珍しい紙の本。
挟んでいたしおりを外し読み進めようとするが、
「な、内容が頭に入ってこない…」
全く集中できない。
狡噛と恋人同士になって初めて一緒に出掛けるのだ。実際呑気に本を読んでいる場合ではない。
何を食べてどんな会話をしよう。
どうせなら狡噛が喜んでくれるような場所に食事に行きたい。
それに――当然だが2人きりだ。
今までも何回かそんなシチュエーションがあったが、今までとは意味合いが違う。
(改めて2人きりなんて…なんだか恥ずかしいよ)
学生時代に憧れや好きな人もいたが、どれも交際に発展する程ではなかった。
つまり世間一般の恋人がする行為を全くした事がない。
男性に抱きしめられたのもあれが初めてだ。
幸子の体には先程狡噛に抱きしめられた時の温かさや感触が残っていた。
これからもまた、あんな風に抱きしめられたりするのだろうか。
……もしかしたら、それ以上も。
(やだな。私、何考えてるんだろう)
「木梨」
「っ、きゃあぁあっ!!!」
突然声をかけられて幸子は声を上げてしまった。
テーブルの脇に狡噛が立っていた。僅かに息を切らしている。
今のはしたない思考がバレてないかと動揺する。
「どうした。大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ちょっとボーッとしてたから、驚いただけ」
「はは。本を読みながらボーッとしてたのか?」
「う、うん……そう」
は、恥ずかしすぎる!
開いていた本を読んでなかったのもバレバレだ。
なんとなく幸子の羞恥を察したのか、狡噛は芝居がかった口調で尋ねてくる。
「…もしかして、俺の事を考えてた?」
「……っ?!!!」
分かりやすく動揺を見せた幸子に、尋ねた狡噛本人も動揺してしまった。
「参ったな、図星だとは思わなかった。…でも嬉しいよ」
照れたような笑顔を見せる狡噛の姿に安堵した。
「自分から誘っておいて遅刻してすまない」
「ううん。忙しいのはお互い様だもん。…仕事は大丈夫だった?」
「ああ。和久さんとの引き継ぎに少し時間を食っただけだ。……それより」
と狡噛の視線が幸子の手に移る。
「木梨も紙の本を読むんだな」
「あっ、そうなの。手触りとか何回も読み返せるのが好きで、何冊か買ってみたんだ。
狡噛くんも読むの? 紙の本」
「実はそうなんだ。なあ、それ面白いか?」
「まだ途中だけど、中々面白いよ。あのね――」
「待った。せっかくだから場所を移すか」
「うんっ!」
幸子は本を閉じ、自然な笑顔で頷いた。