銃口を司る正義
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全く仕事に集中出来ずにいた狡噛は、濃いめのコーヒーでも飲もうと席を立ち休憩所に向かった。
カツカツと磨かれた廊下を歩きながら考えるのは昨日の食堂でのこと。
弱った幸子に対してきつい言い方をしたか。
だがこの先刑事という職を全うしていくつもりなら何度でもぶち当たる壁だ。幸子が自分で迷いを払拭し覚悟を決めていかなくてはならない。
耳に触りの良い励ましで誤魔化し甘やかすだけが思いやりではない、そう判断した。
いや、そうだとしても―
(本当にそれだけだったのか?)
狡噛は己に問うた。
3日前の佐々山の言葉が甦る。
『まあ、木梨の事はちゃんと解ってるつもりだ』
だとしたら一見きつく感じる佐々山の言葉の意図は後輩への激励と先導。
真意が分かれば幸子は早くに気持ちを切り替えられたはず。
(なのになぜ、俺は木梨にそれを伝えてやれなかった?)
――簡単だ。
いい加減に見える佐々山が実は後輩の幸子を可愛がっているだなんて、教えたくなかったからだ。
「(クソッ。一体どうしたって言うんだ、俺は)‥――?!!」
狡噛は思考を止め前方を見据えた。
休憩所に先客がいるのに気づいたのだ。
(霜村監視官と……木梨?!)
休憩所のベンチの側に立つ2人はまだ狡噛の存在に気づいていない様子だ。
よく見ると2人の体はかなり密着していて、霜村は幸子の腰に手を添えている。
胸がひとつ、鳴った。
「――…っ」
カッと頭に血が昇り、唇を噛んだ。
締め付けられた胸を抑えるようにぎゅっとスーツの胸ポケット付近を鷲掴む。
人気のない休憩所で、一体霜村と幸子は何をしているというのだ!?
己の気持ちを持て余し、どうしていいか分からず立ち尽くす狡噛と、焦ったようにこちらを振り向いた幸子の目が合う。
酷く怯えた目をした幸子の震える唇が「助けて」と小さく動いた。
胸がふたつ、鳴った。
「霜村監視官!」
堂々と声をかけ靴音を響かせ大股に近づいていく。
狡噛に気づいた霜村は幸子の腰に回していた手をようやく離した。
「突然どうしたというんだ、狡噛監視官?!」
「緊急事態です。彼女は連れて行きます!」
「あっ…!!」
ぐいっと力強く手を引かれた。
そのまま狡噛に連れられ、幸子は霜村を置き去りに休憩所を後にした。
カツカツと磨かれた廊下を歩きながら考えるのは昨日の食堂でのこと。
弱った幸子に対してきつい言い方をしたか。
だがこの先刑事という職を全うしていくつもりなら何度でもぶち当たる壁だ。幸子が自分で迷いを払拭し覚悟を決めていかなくてはならない。
耳に触りの良い励ましで誤魔化し甘やかすだけが思いやりではない、そう判断した。
いや、そうだとしても―
(本当にそれだけだったのか?)
狡噛は己に問うた。
3日前の佐々山の言葉が甦る。
『まあ、木梨の事はちゃんと解ってるつもりだ』
だとしたら一見きつく感じる佐々山の言葉の意図は後輩への激励と先導。
真意が分かれば幸子は早くに気持ちを切り替えられたはず。
(なのになぜ、俺は木梨にそれを伝えてやれなかった?)
――簡単だ。
いい加減に見える佐々山が実は後輩の幸子を可愛がっているだなんて、教えたくなかったからだ。
「(クソッ。一体どうしたって言うんだ、俺は)‥――?!!」
狡噛は思考を止め前方を見据えた。
休憩所に先客がいるのに気づいたのだ。
(霜村監視官と……木梨?!)
休憩所のベンチの側に立つ2人はまだ狡噛の存在に気づいていない様子だ。
よく見ると2人の体はかなり密着していて、霜村は幸子の腰に手を添えている。
胸がひとつ、鳴った。
「――…っ」
カッと頭に血が昇り、唇を噛んだ。
締め付けられた胸を抑えるようにぎゅっとスーツの胸ポケット付近を鷲掴む。
人気のない休憩所で、一体霜村と幸子は何をしているというのだ!?
己の気持ちを持て余し、どうしていいか分からず立ち尽くす狡噛と、焦ったようにこちらを振り向いた幸子の目が合う。
酷く怯えた目をした幸子の震える唇が「助けて」と小さく動いた。
胸がふたつ、鳴った。
「霜村監視官!」
堂々と声をかけ靴音を響かせ大股に近づいていく。
狡噛に気づいた霜村は幸子の腰に回していた手をようやく離した。
「突然どうしたというんだ、狡噛監視官?!」
「緊急事態です。彼女は連れて行きます!」
「あっ…!!」
ぐいっと力強く手を引かれた。
そのまま狡噛に連れられ、幸子は霜村を置き去りに休憩所を後にした。