銃口を司る正義
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だが捜査は思わぬ形であっけない結末を迎えた。
「東金財団が樋野製薬を傘下から外した!?」
色相浄化サプリメントの件で事情聴取に向かった東金財団。
理事長の代理人という若い男にきっぱりと告げられ、更には話す事はおろか樋野製薬との関係など一切ないと釘を刺されてしまったのだ。
それでも公安の権限で理事長に任意同行を求めようとした矢先、突如 局長禾生直々に通達があり撤退命令が下った。
現場に赴いていた幸子達一係は真相を目の前にして帰還を余儀なくされてしまったのだ。
「結局東金財団は今回の事件に関わっていたんでしょうか」
覆面パトカーで公安局に帰還する道すがら。
後部座席に座った幸子がぽつりと口にした。助手席の帝塚がミラー腰に幸子をちらりと見やる。
「限りなく黒に近いグレーである事は確かだろう。それ以上の追求は今の時点では不可能だ」
「でも、ここに来ての撤退命令だなんて。何か裏がある気がしてなりません」
「幸子、憶測で妙な事を口走るな」
パトカーを運転していた宜野座が幸子をたしなめた。
無論 宜野座とて思う所はあるだろう。
だが公安局のトップである禾生が撤退を命じた以上、そこに疑問を持つ余地はないのだ。
それが社会。
監視官という枠組み。
「構わん、宜野座。木梨のように考えるのが自然だ」
「帝塚監視官…」
「噂では東金財団は政府と密接な繋がりがあるとも言われているからな。おそらくは…」
公安局に何らかの圧力をかけたのだと、濁した帝塚の言葉はそう続くのだろう。
東金財団と事件との関連性の調査を事実上禁じた行為そのものが証明だ。
「三係が樋野製薬に出動している。そちらの捜査に期待しよう」
それきり車内は静まり返ってしまった。
―――――‥‥
運転手を務めてくれた宜野座は公安局の前で幸子と帝塚を降ろし、そのまま駐車場へパトカーを走らせていった。
直後に帝塚のデバイスに禾生から連絡が入り、彼女はその足で局長執務室へと向かった。
残された幸子は一人オフィスへ戻る。
中途半端な捜査展開にモヤモヤする。三係の調査報告を待って仕切り直しだ。
「ん…?」
廊下を歩きながら幸子は首を傾げた。
誰かが無人の一係オフィスを覗いている。あれは――
「天利さん?」
「あっ、木梨さん。大変です!」
声に振り向いた天利は酷く慌てた様子で。
幸子は嫌な予感を感じて足を止めた。
「どうしたんですか?」
「狡噛さんが! 狡噛さんが怪我をして…!」
「?!!」
心臓がドクリと一際大きく鳴り響き、血液が沸騰したかのように全身が痺れた。
「東金財団が樋野製薬を傘下から外した!?」
色相浄化サプリメントの件で事情聴取に向かった東金財団。
理事長の代理人という若い男にきっぱりと告げられ、更には話す事はおろか樋野製薬との関係など一切ないと釘を刺されてしまったのだ。
それでも公安の権限で理事長に任意同行を求めようとした矢先、突如 局長禾生直々に通達があり撤退命令が下った。
現場に赴いていた幸子達一係は真相を目の前にして帰還を余儀なくされてしまったのだ。
「結局東金財団は今回の事件に関わっていたんでしょうか」
覆面パトカーで公安局に帰還する道すがら。
後部座席に座った幸子がぽつりと口にした。助手席の帝塚がミラー腰に幸子をちらりと見やる。
「限りなく黒に近いグレーである事は確かだろう。それ以上の追求は今の時点では不可能だ」
「でも、ここに来ての撤退命令だなんて。何か裏がある気がしてなりません」
「幸子、憶測で妙な事を口走るな」
パトカーを運転していた宜野座が幸子をたしなめた。
無論 宜野座とて思う所はあるだろう。
だが公安局のトップである禾生が撤退を命じた以上、そこに疑問を持つ余地はないのだ。
それが社会。
監視官という枠組み。
「構わん、宜野座。木梨のように考えるのが自然だ」
「帝塚監視官…」
「噂では東金財団は政府と密接な繋がりがあるとも言われているからな。おそらくは…」
公安局に何らかの圧力をかけたのだと、濁した帝塚の言葉はそう続くのだろう。
東金財団と事件との関連性の調査を事実上禁じた行為そのものが証明だ。
「三係が樋野製薬に出動している。そちらの捜査に期待しよう」
それきり車内は静まり返ってしまった。
―――――‥‥
運転手を務めてくれた宜野座は公安局の前で幸子と帝塚を降ろし、そのまま駐車場へパトカーを走らせていった。
直後に帝塚のデバイスに禾生から連絡が入り、彼女はその足で局長執務室へと向かった。
残された幸子は一人オフィスへ戻る。
中途半端な捜査展開にモヤモヤする。三係の調査報告を待って仕切り直しだ。
「ん…?」
廊下を歩きながら幸子は首を傾げた。
誰かが無人の一係オフィスを覗いている。あれは――
「天利さん?」
「あっ、木梨さん。大変です!」
声に振り向いた天利は酷く慌てた様子で。
幸子は嫌な予感を感じて足を止めた。
「どうしたんですか?」
「狡噛さんが! 狡噛さんが怪我をして…!」
「?!!」
心臓がドクリと一際大きく鳴り響き、血液が沸騰したかのように全身が痺れた。