#08 宴あと
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縢の部屋を訪ねると常守もいて、既に宴は始まっていた。
「幸子さん!」
「朱ちゃんも来てたんだぁ!」
ソファに座った常守が振り返り嬉しそうに言った。幸子は小さく手を振ってソファに近づいていく。
「幸子ちゃん遅かったじゃんよ~。待ちくたびれちまったぜ」
「ごめんごめん。引き継ぎに時間がかかっちゃって」
「幸子さん、ここ座って」
「うん、ありがとう」
常守の隣に座ると 既に酔いつぶれ寸前の縢が危なっかしい手つきでグラスに酒を注いでくれた。
その間におつまみを摘む。味わい豊かな風味が口の中いっぱいに広がった。
「相変わらず美味しいね、縢くんの料理」
「だろ~?だから早く俺んトコに嫁に来ちゃえって」
「ふふっ。それは慎んで辞退させて頂きます」
「んだよ、つれねーな~幸子ちゃんは」
「当然だよ。幸子さんは縢くんには渡さないから」
2人のやりとりを聞いていた常守が頬を膨らませながら幸子の腕に自分の腕を絡めた。酔っているのだろう。いつもより大胆だ。
幸子は笑いながらグラスを口に運んだ。メディカルトリップでもバーチャルでもない本物の酒はやはり美味しい。
美味しいが…一杯飲んだだけで早くも頭がクラクラしてきた。
暫く他愛のない話に花を咲かせていた3人だったが、酔いが回り幸子が言葉少なになると 話はおかしな方向へと発展していった。
「だから~…俺が採用された時にはもうコウちゃん監視官下ろされてたからさぁ……詳しいことはよく分っかんねーし」
「!?」
思わずグラスを取り落としそうになった。心臓がやけに速く鼓動を打つ。
幸い常守も縢も酔いが回っているせいか幸子の様子には気づいていないようだ。
「なーんか、その時コウちゃんの部下だった執行官が殺されちまったって話だけど~…」
「殺された?」
「そ。犯人追っかけてたはずが逆に犠牲者になっちゃったのさ。確か佐々山とか言ったっけか……」
"佐々山"――忘れることのないその名前。
じんじんと頭が痺れる。
「それでコウちゃんおかしくなって、犯罪係数ぶっちぎっちゃって――」
ゴトッ!
グラスの倒れる音がして会話が中断した。
「ご、ごめんなさい…」
幸子が慌てて倒れたグラスを起こした。
「幸子さん、大丈夫?!」
「う、うん……」
グラスを起こしている幸子を覗き込んだ常守は、彼女の表情が強張っているのに気づいた。
「幸子さん、青ざめてる……飲み過ぎちゃった?」
「う、うん…そうみたい。私…部屋に戻るね……」
立ち上がった幸子の体がふらりと流れそうになり、慌てて縢が腕を掴んだ。
「おいおい、ホントに大丈夫かよ!?」
そのまま縢はテーブルを回り込んで幸子の背中を支える。
大丈夫…と言おうとする前に、部屋のドアが荒々しい音を立てて開いた。
「幸子さん!」
「朱ちゃんも来てたんだぁ!」
ソファに座った常守が振り返り嬉しそうに言った。幸子は小さく手を振ってソファに近づいていく。
「幸子ちゃん遅かったじゃんよ~。待ちくたびれちまったぜ」
「ごめんごめん。引き継ぎに時間がかかっちゃって」
「幸子さん、ここ座って」
「うん、ありがとう」
常守の隣に座ると 既に酔いつぶれ寸前の縢が危なっかしい手つきでグラスに酒を注いでくれた。
その間におつまみを摘む。味わい豊かな風味が口の中いっぱいに広がった。
「相変わらず美味しいね、縢くんの料理」
「だろ~?だから早く俺んトコに嫁に来ちゃえって」
「ふふっ。それは慎んで辞退させて頂きます」
「んだよ、つれねーな~幸子ちゃんは」
「当然だよ。幸子さんは縢くんには渡さないから」
2人のやりとりを聞いていた常守が頬を膨らませながら幸子の腕に自分の腕を絡めた。酔っているのだろう。いつもより大胆だ。
幸子は笑いながらグラスを口に運んだ。メディカルトリップでもバーチャルでもない本物の酒はやはり美味しい。
美味しいが…一杯飲んだだけで早くも頭がクラクラしてきた。
暫く他愛のない話に花を咲かせていた3人だったが、酔いが回り幸子が言葉少なになると 話はおかしな方向へと発展していった。
「だから~…俺が採用された時にはもうコウちゃん監視官下ろされてたからさぁ……詳しいことはよく分っかんねーし」
「!?」
思わずグラスを取り落としそうになった。心臓がやけに速く鼓動を打つ。
幸い常守も縢も酔いが回っているせいか幸子の様子には気づいていないようだ。
「なーんか、その時コウちゃんの部下だった執行官が殺されちまったって話だけど~…」
「殺された?」
「そ。犯人追っかけてたはずが逆に犠牲者になっちゃったのさ。確か佐々山とか言ったっけか……」
"佐々山"――忘れることのないその名前。
じんじんと頭が痺れる。
「それでコウちゃんおかしくなって、犯罪係数ぶっちぎっちゃって――」
ゴトッ!
グラスの倒れる音がして会話が中断した。
「ご、ごめんなさい…」
幸子が慌てて倒れたグラスを起こした。
「幸子さん、大丈夫?!」
「う、うん……」
グラスを起こしている幸子を覗き込んだ常守は、彼女の表情が強張っているのに気づいた。
「幸子さん、青ざめてる……飲み過ぎちゃった?」
「う、うん…そうみたい。私…部屋に戻るね……」
立ち上がった幸子の体がふらりと流れそうになり、慌てて縢が腕を掴んだ。
「おいおい、ホントに大丈夫かよ!?」
そのまま縢はテーブルを回り込んで幸子の背中を支える。
大丈夫…と言おうとする前に、部屋のドアが荒々しい音を立てて開いた。