銃口を司る正義
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第一当直勤務を終えて帰路に着く宜野座と一緒にオフィスを出た。
「何処に行くんだ?」
「三係にね。ちょっと聞きたい事があって」
「…わざわざ三係まで聞きに行く必要のある内容なのか?」
「そういう訳でもないんだけど…」
宜野座が歩みを止めた。自然と幸子の足も止まる。
何事かと思い彼を見れば眉間にシワを寄せていた。眼鏡の奥の瞳には怒りとはまた違った感情が揺らいでいるようで。
「……狡噛に逢いに行くのか?」
その声は掠れていた。
幸子はゆっくりと首を横に振る。
「狡噛くんじゃない。用があるのは別の人」
「それは――」
誰だと尋ねようと口を開きかけた所で幸子の意識が他に逸れた。
前方を見て手を振る幸子に釣られて前を向いた宜野座の顔が途端に強張る。
「智己おじさん!」
「よう、幸子。それに――伸元か」
周囲に誰もいないからか、征陸は宜野座を名前で呼んできた。
宜野座はそれに応えるでもなく片手を腰に充てたままプイとソッポを向く。もう片方の手で神経質そうに眼鏡をくいっと上げた。
「2人とも非番か?」
「伸元は。私はまだ勤務中で、三係に行く途中です」
「そういえば合同捜査になったもんな。まあ、よろしく頼むぜ」
「老いぼれた貴様こそ足を引っ張るなよ」
「伸元っ!」
ここぞとばかりに征陸に悪態をつく宜野座。
幸子がたしなめるが、フンと鼻を鳴らし謝る素振りも見せなかった。
…宜野座の気持ちは解るがもう少し素直になっても良いものを。
当の征陸は負い目を感じているからか、それとも慣れてしまったのか…対して気分を害した様子もなく、むしろその視線は自然と宜野座へ向いていた。
憤る宜野座と視線が合う事はなかったが、それでも征陸は目を細めて嬉しそうに監視官になった息子の晴れ姿を観察していた。
「……なんだ、人をジロジロと眺めて」
さすがに視線に気づいた宜野座がギロリと睨みつけるも、やはり征陸の表情は変わらず。
「まさかお前が刑事(デカ)になるたぁ思ってもみなかったぜ」
「?!――‥ッ、勘違いするな。別に貴様を意識した訳じゃない!」
「そんな事承知してるよ、監視官。ただ意外だっただけだ」
征陸はそんな意味で言ったのではない。多分宜野座も頭の隅では察していたはずだ。
だが父への情と意地が宜野座の複雑な心情の中で変な方向に噴出してしまった。
「どうせ俺には刑事なんて勤まらない。そう思ってるんだろ!?」
「伸元! そんな事言ってないでしょ?!」
「俺はアンタのようにはならない! きちんと監視官として職務を全うしてみせる!」
一方的に捲し立てた宜野座は もう一度眼鏡をあげると踵を返し立ち去った。
「あんな風に強がってるけど……伸元、本当は智己おじさんの背中を追って来たんだと思います」
遠ざかる宜野座の背中から征陸に視線を移して幸子。
「だって職能適正で他にたくさんA判定をもらってたのに、伸元が選んだのはB判定の公安局だったんですよ」
黙って聞いていた征陸のまなざしは、やはり嬉しそうに息子の背中を映していた。
「何処に行くんだ?」
「三係にね。ちょっと聞きたい事があって」
「…わざわざ三係まで聞きに行く必要のある内容なのか?」
「そういう訳でもないんだけど…」
宜野座が歩みを止めた。自然と幸子の足も止まる。
何事かと思い彼を見れば眉間にシワを寄せていた。眼鏡の奥の瞳には怒りとはまた違った感情が揺らいでいるようで。
「……狡噛に逢いに行くのか?」
その声は掠れていた。
幸子はゆっくりと首を横に振る。
「狡噛くんじゃない。用があるのは別の人」
「それは――」
誰だと尋ねようと口を開きかけた所で幸子の意識が他に逸れた。
前方を見て手を振る幸子に釣られて前を向いた宜野座の顔が途端に強張る。
「智己おじさん!」
「よう、幸子。それに――伸元か」
周囲に誰もいないからか、征陸は宜野座を名前で呼んできた。
宜野座はそれに応えるでもなく片手を腰に充てたままプイとソッポを向く。もう片方の手で神経質そうに眼鏡をくいっと上げた。
「2人とも非番か?」
「伸元は。私はまだ勤務中で、三係に行く途中です」
「そういえば合同捜査になったもんな。まあ、よろしく頼むぜ」
「老いぼれた貴様こそ足を引っ張るなよ」
「伸元っ!」
ここぞとばかりに征陸に悪態をつく宜野座。
幸子がたしなめるが、フンと鼻を鳴らし謝る素振りも見せなかった。
…宜野座の気持ちは解るがもう少し素直になっても良いものを。
当の征陸は負い目を感じているからか、それとも慣れてしまったのか…対して気分を害した様子もなく、むしろその視線は自然と宜野座へ向いていた。
憤る宜野座と視線が合う事はなかったが、それでも征陸は目を細めて嬉しそうに監視官になった息子の晴れ姿を観察していた。
「……なんだ、人をジロジロと眺めて」
さすがに視線に気づいた宜野座がギロリと睨みつけるも、やはり征陸の表情は変わらず。
「まさかお前が刑事(デカ)になるたぁ思ってもみなかったぜ」
「?!――‥ッ、勘違いするな。別に貴様を意識した訳じゃない!」
「そんな事承知してるよ、監視官。ただ意外だっただけだ」
征陸はそんな意味で言ったのではない。多分宜野座も頭の隅では察していたはずだ。
だが父への情と意地が宜野座の複雑な心情の中で変な方向に噴出してしまった。
「どうせ俺には刑事なんて勤まらない。そう思ってるんだろ!?」
「伸元! そんな事言ってないでしょ?!」
「俺はアンタのようにはならない! きちんと監視官として職務を全うしてみせる!」
一方的に捲し立てた宜野座は もう一度眼鏡をあげると踵を返し立ち去った。
「あんな風に強がってるけど……伸元、本当は智己おじさんの背中を追って来たんだと思います」
遠ざかる宜野座の背中から征陸に視線を移して幸子。
「だって職能適正で他にたくさんA判定をもらってたのに、伸元が選んだのはB判定の公安局だったんですよ」
黙って聞いていた征陸のまなざしは、やはり嬉しそうに息子の背中を映していた。