#08 宴あと
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「お、なんだい。コウの所に行くのか?」
公安局にある執行官の宿舎フロア。その廊下を歩いていると前から来た征陸に声をかけられた。
「ううん、縢くんの部屋に行くの。お酒をご馳走に」
言えば征陸はすぐにピンときたようだ。
それはそうだろう。縢に酒を譲渡したのは他ならぬ征陸なんだから。
「…2人きりでか?」
「なんか妖しい言い方。友達と飲むってだけで他意はないですからね?」
あっけらかんとした口調で言う幸子。
縢は同僚であり気心の知れた友人の一人だ。何があると言うのか。しかし征陸にとってその状況は心配らしい。
「お前さん…確か酒は強い方じゃなかったよな。ほどほどにしとけよ」
「はーい♪」
悪戯っぽい仕草で敬礼すると、ようやく征陸は愉快そうに笑った。釣られて幸子も笑う。征陸とのこんな他愛のないやりとりが好きだ。
「ところで…最近 伸元はどうだ?」
場が落ち着いた頃、征陸がふと尋ねてきた。
自分だって毎日顔を突き合わせているのに あえて聞いてくる辺りに 征陸の気持ちが見え隠れしている。
「変わりないんじゃないかなぁ。仕事では厳しい面も見せるけど…今でも私のことを心配してくれてるし。ん、でも、相変わらず智己おじさんへのあたりは強すぎだけど」
「ハハハ。俺のこたぁどーでもいいさ。アイツにとって目の上のタンコブなんだろーからな」
肩を揺らして笑う征陸が何処か寂しそうに見えるのは――幸子が2人の事情を知っているからに他ならない。
幸子は言葉を選びながら、しかし心の芯から思っている事を伝えた。
「ギノ…伸元も強がってはいるけど、本当は智己おじさんを必要としてると思います。ただ 監視官だから虚勢を張ってるだけで」
征陸は何も言わなかった。
穏やかな顔で黙って幸子の話を聞いてくれた後、彼女の肩をぽんと叩く。
「まあ、取っつきにくい奴とは思うが……よろしく頼むぜ」
公安局にある執行官の宿舎フロア。その廊下を歩いていると前から来た征陸に声をかけられた。
「ううん、縢くんの部屋に行くの。お酒をご馳走に」
言えば征陸はすぐにピンときたようだ。
それはそうだろう。縢に酒を譲渡したのは他ならぬ征陸なんだから。
「…2人きりでか?」
「なんか妖しい言い方。友達と飲むってだけで他意はないですからね?」
あっけらかんとした口調で言う幸子。
縢は同僚であり気心の知れた友人の一人だ。何があると言うのか。しかし征陸にとってその状況は心配らしい。
「お前さん…確か酒は強い方じゃなかったよな。ほどほどにしとけよ」
「はーい♪」
悪戯っぽい仕草で敬礼すると、ようやく征陸は愉快そうに笑った。釣られて幸子も笑う。征陸とのこんな他愛のないやりとりが好きだ。
「ところで…最近 伸元はどうだ?」
場が落ち着いた頃、征陸がふと尋ねてきた。
自分だって毎日顔を突き合わせているのに あえて聞いてくる辺りに 征陸の気持ちが見え隠れしている。
「変わりないんじゃないかなぁ。仕事では厳しい面も見せるけど…今でも私のことを心配してくれてるし。ん、でも、相変わらず智己おじさんへのあたりは強すぎだけど」
「ハハハ。俺のこたぁどーでもいいさ。アイツにとって目の上のタンコブなんだろーからな」
肩を揺らして笑う征陸が何処か寂しそうに見えるのは――幸子が2人の事情を知っているからに他ならない。
幸子は言葉を選びながら、しかし心の芯から思っている事を伝えた。
「ギノ…伸元も強がってはいるけど、本当は智己おじさんを必要としてると思います。ただ 監視官だから虚勢を張ってるだけで」
征陸は何も言わなかった。
穏やかな顔で黙って幸子の話を聞いてくれた後、彼女の肩をぽんと叩く。
「まあ、取っつきにくい奴とは思うが……よろしく頼むぜ」