銃口を司る正義
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幸子は目を見開いたまま身動ぎひとつ出来ずにいた。
目の前の現実に思考が追いついていかない。
なぜ犯人が倒れ、被害者がそこに立ち尽くしているのだ…?!
「サイコハザードってヤツだ」
幸子の思考を読んだように佐々山が言った。
「事件に遭遇し極限状態に陥った人間がパニックを起こし、犯人の犯罪心理をそのままコピーしちまう」
「そんな…そんなこと…」
「ドミネーターを向けて自分の目で確認してみろ」
幸子はおそるおそる女子高生にドミネーターを向けた。
『犯罪係数312・リーサル・エリミネーター・慎重に照準を定め・対象を排除して下さい』
「?!!」
「あいつはもう、300越えの立派な潜在犯になっちまったんだよ」
そんな馬鹿な――!!?
「彼女は被害者です!」
「そうだ。だから正当防衛をして、何とか生き延びようとしたんだ」
その結果、彼女が排除される側に回ってしまうなんて……?!
「木梨、俺は猟犬としての仕事を全うさせて貰うぜ」
「わた…しは、悪く…ない!」
佐々山の構えるドミネーターの銃口が真っ直ぐ己に向けられている事を知り、女子高生は唇を震わせ歯をガタガタさせながら、懸命に言葉を紡いだ。
「そいつが…そいつが、悪いのよ! 私は…私はああぁああっ!!!」
彼女は錯乱状態にある。このまま野放しにしておくのは危険だ。幸子が泣き喚こうが執行するしかない!
そう判断した佐々山の横を幸子がすり抜けた。一目散に女子高生へと駆け寄っていく。
「木梨!」
「いやぁああ! 来ないでよぉおおお!」
先割れた置物を滅茶苦茶に振り回す女子高生。
置物が反射的に顔を庇った幸子の腕を殴打した。
「うぐ…っ!」
痛みに顔をしかめながら幸子は手を伸ばし、次の瞬間思いきり女子高生を抱きしめた。
「離して! 離してぇえええ!」
「怖かったでしょ。遅くなってごめんね。でももう大丈夫だから」
少しでも女子高生の感じた恐怖を払拭してやるように強く抱擁する。
彼女が恐怖に飲み込まれて自分を見失わないように。強く。強く。
やがて――。
女子高生の手から置物が滑り落ち、ゴロリと鈍い音を立て床に転がった。
それから女子高生は堰を切ったように泣き出した。
「うっ…う…う、うわぁああああん!!!」
「もう怖いことないから。大丈夫」
後頭部を優しく撫でてやると、彼女は幸子の胸に顔を埋めて声が枯れるまで泣きじゃくった。
佐々山はドミネーターを手にしたままその様子を遠巻きに眺めていた。
目の前の現実に思考が追いついていかない。
なぜ犯人が倒れ、被害者がそこに立ち尽くしているのだ…?!
「サイコハザードってヤツだ」
幸子の思考を読んだように佐々山が言った。
「事件に遭遇し極限状態に陥った人間がパニックを起こし、犯人の犯罪心理をそのままコピーしちまう」
「そんな…そんなこと…」
「ドミネーターを向けて自分の目で確認してみろ」
幸子はおそるおそる女子高生にドミネーターを向けた。
『犯罪係数312・リーサル・エリミネーター・慎重に照準を定め・対象を排除して下さい』
「?!!」
「あいつはもう、300越えの立派な潜在犯になっちまったんだよ」
そんな馬鹿な――!!?
「彼女は被害者です!」
「そうだ。だから正当防衛をして、何とか生き延びようとしたんだ」
その結果、彼女が排除される側に回ってしまうなんて……?!
「木梨、俺は猟犬としての仕事を全うさせて貰うぜ」
「わた…しは、悪く…ない!」
佐々山の構えるドミネーターの銃口が真っ直ぐ己に向けられている事を知り、女子高生は唇を震わせ歯をガタガタさせながら、懸命に言葉を紡いだ。
「そいつが…そいつが、悪いのよ! 私は…私はああぁああっ!!!」
彼女は錯乱状態にある。このまま野放しにしておくのは危険だ。幸子が泣き喚こうが執行するしかない!
そう判断した佐々山の横を幸子がすり抜けた。一目散に女子高生へと駆け寄っていく。
「木梨!」
「いやぁああ! 来ないでよぉおおお!」
先割れた置物を滅茶苦茶に振り回す女子高生。
置物が反射的に顔を庇った幸子の腕を殴打した。
「うぐ…っ!」
痛みに顔をしかめながら幸子は手を伸ばし、次の瞬間思いきり女子高生を抱きしめた。
「離して! 離してぇえええ!」
「怖かったでしょ。遅くなってごめんね。でももう大丈夫だから」
少しでも女子高生の感じた恐怖を払拭してやるように強く抱擁する。
彼女が恐怖に飲み込まれて自分を見失わないように。強く。強く。
やがて――。
女子高生の手から置物が滑り落ち、ゴロリと鈍い音を立て床に転がった。
それから女子高生は堰を切ったように泣き出した。
「うっ…う…う、うわぁああああん!!!」
「もう怖いことないから。大丈夫」
後頭部を優しく撫でてやると、彼女は幸子の胸に顔を埋めて声が枯れるまで泣きじゃくった。
佐々山はドミネーターを手にしたままその様子を遠巻きに眺めていた。