６ヶ月に及ぶキャリア研修も終わってみればあっという間だった気がする。
月変わりの明後日より、監視官として刑事課に配属される事が決まった。
キャリア研修最終日。
修了式を終えた若き監視官達は、公安局にある局長執務室を訪れていた。
「まずは６ヶ月に及ぶキャリア研修ご苦労だった」
豪華なデスク前。横一列に並び敬礼した４人を禾生が満足げに眺めている。
「さて。諸君らはいよいよ明後日から監視官として職務に就く。どの係に配属されるか――今からそれを発表させて貰うよ」
いよいよ本格的に監視官としての人生がスタートするのだ。
敬礼を解きながら、幸子は胸の高鳴りを覚えた。
「まず、狡噛慎也監視官」
「はい」
幸子の隣に立った狡噛が凛とした声で返事をした。
「配属先は三係だ。和久監視官からの強い推薦があってね」
「光栄です」
おそらくモールでの事件の時に和久は狡噛を買ったのだろう。
「狡噛監視官。聞けば君はキャリア研修を首席で終えたそうだね。大いに期待しているよ」
「期待に添えるよう全力を尽くします」
ビシッと敬礼した狡噛の瞳は希望に満ちていて。何故だか強く惹きつけられた。
続いて宜野座が一係。青柳が二係の配属に決まり、いよいよ幸子の番となった。
「木梨幸子監視官」
「は、はいっ！」
禾生に敬礼をして天命を待つ。
刑事課の係は３つなので、幸いにも誰かと同じ係に配属されるのは決定だ。誰となっても心強い。――だが。
「君の配属先は一係だ」
「……っ、はい」
刑事課一係。
新たな出発地点。
「一係の帝塚(てづか)監視官はキャリア研修所への異動が決まっている。つまり実質一係は宜野座君に木梨君。君達２人で統率していく事になる。先導者の離脱が早い分 苦労は多いと思うが 君達なら問題ないだろう。宜しく頼んだよ」
「お任せ下さい」
「が、頑張ります！」
椅子に深く身を預けた禾生は４人を見渡した。
「諸君らが６ヶ月の研修を糧に、監視官として更なる飛躍を遂げる事を祈っているよ」