銃口を司る正義
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非常出入口の外で娘を待っていた母親は、愛娘の姿を見るやいなや思いっきり抱きしめた。
「美佳ぁっ!」
「ママ!」
女の子を無事に母親の元に帰せて良かった。
目の前の再会に自身も涙ぐみながら幸子は思う。
「ママ、このお姉ちゃんがみかを連れて来てくれたんだよ。けいじさんなんだって」
「本当に なんてお礼を言ったらいいか…ありがとうございました!」
「いえ。無事で良かったです」
本当に…良かった。
母親に手を引かれて帰る途中、女の子は輝く笑顔で幸子を振り返った。
「みか、大きくなったら お姉ちゃんのようなかっこいいけいじさんになる!」
「うんっ。美佳ちゃんと一緒に働けるの楽しみにしてるね」
隣に立つ狡噛は、女の子に手を振り返している幸子をニヤリとしながら横目で見た。
「すっかりあの子の中で憧れ認定されたな」
「はは…光栄です」
苦笑いした幸子は、急に体の力が抜けるのを感じた。
がくがくと膝が笑いだし、立っていられずよろけた所を狡噛が支えてくれる。
「おい、急にどうした!?」
「ごめんなさい。あの子が無事に帰って行くのをみたら……なんだか安心して…気が抜けちゃって」
「?!……」
初めての現場だ。
自分でさえ緊張した。
幸子が緊張しなかった訳がない。
…いや、もしかしたら恐怖すら感じていただろう。
それでも不安にさせないよう女の子の前では気丈に振る舞っていたのだ。
生意気な言い方をすれば…彼女もやはり刑事なのだ。
「木梨、ここで待ってろよ」
幸子を近くのベンチに座らせ、狡噛は何処かへ行ってしまった。
それから程なくして戻った狡噛の手には缶がふたつ。その一本を差し出された。
「お疲れさん」
受け取ったのは紅茶。しかも幸子の好きなアールグレイだ。
「うわぁ、ありがとう」
「頑張ったご褒美だ」
悪戯っぽく笑いながら隣に腰かけた狡噛が自分の缶コーヒーを飲む。
本当にご褒美を貰うべく功労者は自分ではない。狡噛だ。
あの時自分はトリガーを引けなかったのだから。
嫌な役を全て、狡噛に押し付けてしまったのだ。
「木梨」
「ん?」
「あの女の子だけじゃなくて犯人も救ったな」
「えっ…!?」
「犯罪係数…パラライザーまで下げたのはお前の説得の賜物だよ。あの犯人には更正のチャンスが与えられた」
「!!……」
幸子は胸がいっぱいになるのを感じた。
寛いだ様子でいる隣の狡噛は、また一口コーヒーを飲んだ。
「なんだか落ち着くな…」
「……私も…落ち着く」
あなたの――隣。
そんな二の句を心の中で接ぎながら、プルトップのリングを開けた。そのまま乾杯の要領で缶を胸の高さまで。
「狡噛くんもお疲れさま」
「おう」
察した狡噛が己の持つ缶を幸子の缶に合わせた。
ふたつの缶が出逢い、カチンと小気味良い音を響かせた。
「美佳ぁっ!」
「ママ!」
女の子を無事に母親の元に帰せて良かった。
目の前の再会に自身も涙ぐみながら幸子は思う。
「ママ、このお姉ちゃんがみかを連れて来てくれたんだよ。けいじさんなんだって」
「本当に なんてお礼を言ったらいいか…ありがとうございました!」
「いえ。無事で良かったです」
本当に…良かった。
母親に手を引かれて帰る途中、女の子は輝く笑顔で幸子を振り返った。
「みか、大きくなったら お姉ちゃんのようなかっこいいけいじさんになる!」
「うんっ。美佳ちゃんと一緒に働けるの楽しみにしてるね」
隣に立つ狡噛は、女の子に手を振り返している幸子をニヤリとしながら横目で見た。
「すっかりあの子の中で憧れ認定されたな」
「はは…光栄です」
苦笑いした幸子は、急に体の力が抜けるのを感じた。
がくがくと膝が笑いだし、立っていられずよろけた所を狡噛が支えてくれる。
「おい、急にどうした!?」
「ごめんなさい。あの子が無事に帰って行くのをみたら……なんだか安心して…気が抜けちゃって」
「?!……」
初めての現場だ。
自分でさえ緊張した。
幸子が緊張しなかった訳がない。
…いや、もしかしたら恐怖すら感じていただろう。
それでも不安にさせないよう女の子の前では気丈に振る舞っていたのだ。
生意気な言い方をすれば…彼女もやはり刑事なのだ。
「木梨、ここで待ってろよ」
幸子を近くのベンチに座らせ、狡噛は何処かへ行ってしまった。
それから程なくして戻った狡噛の手には缶がふたつ。その一本を差し出された。
「お疲れさん」
受け取ったのは紅茶。しかも幸子の好きなアールグレイだ。
「うわぁ、ありがとう」
「頑張ったご褒美だ」
悪戯っぽく笑いながら隣に腰かけた狡噛が自分の缶コーヒーを飲む。
本当にご褒美を貰うべく功労者は自分ではない。狡噛だ。
あの時自分はトリガーを引けなかったのだから。
嫌な役を全て、狡噛に押し付けてしまったのだ。
「木梨」
「ん?」
「あの女の子だけじゃなくて犯人も救ったな」
「えっ…!?」
「犯罪係数…パラライザーまで下げたのはお前の説得の賜物だよ。あの犯人には更正のチャンスが与えられた」
「!!……」
幸子は胸がいっぱいになるのを感じた。
寛いだ様子でいる隣の狡噛は、また一口コーヒーを飲んだ。
「なんだか落ち着くな…」
「……私も…落ち着く」
あなたの――隣。
そんな二の句を心の中で接ぎながら、プルトップのリングを開けた。そのまま乾杯の要領で缶を胸の高さまで。
「狡噛くんもお疲れさま」
「おう」
察した狡噛が己の持つ缶を幸子の缶に合わせた。
ふたつの缶が出逢い、カチンと小気味良い音を響かせた。